朔間零×オトメン男主(ちょっとおバカ、チョロい)
「な、なんと……!!!」
【あなたの運命の相手は落し物を拾って声をかけてくれた人!きっと、ビビビッとくるはず!】
【その人があなたの『運命の王子様』です!】
「運命の…っ!!王子様っ…!!」
俺の体は漫画を手にぷるぷる震えている。
漫画もただの漫画じゃない。月刊少女漫画だ!
全国の女子が恋に恋して手にする少女漫画!俺の中では聖書になっている。
毎月楽しみにしているその占いコーナーに運命の王子様が現れる、なんて書かれているのだ…。
興奮しないわけがないじゃないか!!
「どうしよう…現れたらどうしよう…どんな人だろう…」
まだ落し物を拾われてもないのに想像して胸が高鳴った。注意書きを見るとわざと落し物をしないこと!普段通り生活すること!と書いてあった。
よし…いつも通りで…。
俺は数々の少女漫画を読んできた。優しい王子様も意地悪な王子様も、完璧な王子様も色んな王子様を見てきたけどみんなかっこよかった。
俺にもそんな王子様が…現れる…。
まだ見ぬ王子様を夢見てうっとりした俺は明日からの生活に期待を馳せて布団に潜り込んだ。
****
「いってきまーす!」
家の扉を元気よく開けていつも通り登校をする。昨日、漫画の占いコーナーで衝撃的なお告げを見たばかりだからドキドキだ。
落し物拾われるとか、漫画チック!うわー!ほんとにそんなこと起こるのかな!ドキドキだ…!!
想像してまた興奮して顔が赤くなりそうだった。
校門をくぐって昇降口で靴を履き替える。
「なまえちゃんおはよぉ〜」
「あ、嵐くんおはよー!」
「なあに?何か嬉しそうねぇ?」
「ん?んふふふ」
「…ちょっと、笑い方が…」
「ふふふ…俺の王子様が…現れるからね…」
「…王子様……?」
訝しげに首を傾げた嵐くんと別れて自分のクラスの教室に入る。皆におはようと声をかけながら席についた。
未だに落ち着かない胸の高鳴り。
顔がニヤけそうなのを我慢して俺は朝の授業の準備を始めた。
普段通り過ごすことが大切だと書いてあったけど、普段通りすごしていると何事もなく昼を迎えてしまった。
ああ、これは運命の出会いが起きるまで気長に待つしかないパターンかなぁ…。
ちょっとだけ気落ちしながら購買にお昼ご飯を買いに来た。
「サンドイッチと、サラダと、あとヨーグルトで。」
お金を払って袋を受け取り自分の教室に帰るため廊下を歩いている時だった。
「これを落とさんかったかえ?」
後ろから声が聞こえてふい、と振り向いた。
「お主のポケットからさっき落ちたのが見えてのう…」
目の前に差し出された淡い桃色のハンカチ。桜の刺繍が片隅にされているのは紛れもなく俺のハンカチだ。
「…………。」
「…おーい?」
「…王子様…」
「ん?」
「……っ!王子様です!!」
「……はて?」
差し出しれているハンカチを受け取り、握りしめて目をぎゅっと瞑った。それからもう一度開いて、目の前にいる朔間先輩を見つめた。
「朔間先輩……!!これは…!これは…!運命の出会いです…!!」
俺は喜びではち切れんばかりに嬉しくて、声高らかに朔間先輩に伝えた。
ついに…!!ついにっ、占いのお告げどおり運命の王子様が現れた…!!俺の落し物を拾って声をかけてくれた人!!ビビビっときたらそれは運命の相手!運命の王子様!
「…よく理解できんのじゃが」
「今ビビビッと来ました!朔間先輩は、俺の運命の王子様なんです!!」
廊下のど真ん中で告げた真実に朔間先輩は眉を潜めた。
ああ!その姿でさえもかっこいい!イケメン!美男子!そんな言葉じゃ表現できないほど顔も整ってる、スタイルもいい、人気アイドルな朔間先輩が俺の王子様だなんて…っ!!
「…王子様…?」
「はい!!二人は結ばれる『運命』なんです!」
「…………は?」
皆さん!俺の運命の王子様!!見つかりました!!
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