「朔間先輩っ!おはようございます!」
朝1番に挨拶するために学校に登校して直ぐに朔間先輩を探し出した。
「…またお主かえ。」
「はい!今日も明日も明後日も!朔間先輩のところへ来ますっ」
「…無理やり起こされてまだ寝たりんのじゃけど…。帰ってくれんかのう…」
「もうっ、朔間先輩は噂通りずっと寝てばかりなんですね。仕方ありません、眠れる森の姫ならず眠れる森の王子様、いつか俺が目を覚まさせてあげないと…」
「うう…寒い。鳥肌がたつようなことを言わんでおくれ」
「んふふふ、じゃあまた来ますっ」
「もう来なくていいんじゃが…」
運命の王子様が見つかれば猛アタックは必然!少女漫画にも当たって砕けろ、恋する乙女は強し!って決まってるんだからな。
ああ、毎日が楽しい!かっこいいかっこいい王子様…。守って笑顔を向けられて、愛の言葉を……。
「ふふふ…」
1人で笑っているとすれ違う生徒に変な目で見られてしまった。
今日も朔間先輩に挨拶できたし、いい1日をスタートできそうだ!
「朔間先輩っ、移動教室ですか?途中まで一緒に行きます〜!」
「朔間せんぱーい!ここです!体育中です〜!」
「さーくーま先輩!お昼ご飯一緒に食べましょうっ」
「朔間先輩!もう夕方ですよー!」
「朔間せんぱーい…?」
コンコンと棺桶をノックしても朔間先輩が出てこない。
「ねえねえ大神くん。朔間先輩いないのかな?」
同じ軽音部で、同じユニットの大神くんが近くでギターを鳴らしていたから聞いてみた。
「…知るか!お前が1日中つきまとってるから籠ってんじゃね〜の。」
「えっ!つきまとってなんかない!俺は王子様とコミュニケーションを育もうと…」
「その王子様って何だよ。」
「あれはね……運命的な出会いだったんだよ……。俺の落としたハンカチを…朔間先輩が拾ってくれて…なまえ、好きだっ、て…ほんとうにあの時ビビッときて…」
うっとりしながら大神くんに語っているとギギギと棺桶が開いた。
「あの時話かけたのが間違いじゃった…。それと名前で読んだこともなければ好きなんて言葉1回も言ってないんじゃが…」
「あっ、朔間先輩!今度からは名前で読んでください!俺の名前はみょうじなまえです、覚えてくれたでしょうかっ?」
「……こうも毎日つけられていれば名前も覚えるわい…みょうじクン。」
「あっ、だから名前で〜…っ」
意地悪だなぁ、朔間先輩は。でもそういうところもかっこいいし少女漫画でもよくあること!めげずにトライあるのみ!
「それなら、俺は零先輩って呼んでもいいですか…?」
うわぁ、恥ずかしい!結構大胆な発言だと思うけどどうだろう!照れつつもちらりと朔間先輩を見てみる。
「却下。」
真顔で即答!!ひどい!
「ええっ!!ほ、他の人は零くんとか同じクラスの逆先くんは零にいさん、って呼んでるし…!いずれはお互い名前で呼び合う仲になるんですよ…っ?!」
「何を言っておるのかさっぱりわからんのう。」
「いじわるです…」
「あっみょうじ先輩今日も来てたんですか〜」
「飽きないですね〜」
1年生の葵くんたちが軽音部の部室に入ってきた。
「飽きるなんて…!そんな!まだまだこれから愛を…」
「はぁ、いい加減にしね〜とキレるぞ?」
髪をかきあげた朔間先輩の口から普段より低い声が聞こえた。
「さ、朔間先輩…っ?」
「大人しく黙ってりゃ周りをうろちょろ…。表出ろよ。」
目を細める朔間先輩。
こんな一面があったんなんて…!
か、かっこいい…!!
「そ、外行きますか…っ?デートですかっ?お、俺プランちゃんと考えてますっ!どれがいいですか!」
「あちゃ〜みょうじ先輩、目がハートになってるじゃん」
「ありゃ効いてないね、アニキ。」
「ていうか、カバンの中からデートプラン出してきたよ、ゆうたくん。」
「やばい…さすがの朔間先輩も引いてる…」
「チッ、うざい。ほんとお前もう俺に話しかけんな。」
「何でですか〜!運命の相手ですよ!朔間先輩もビビッと来ましたよね?!」
「来るかぼけ。ビビッのビの字も来てね〜よ。」
「ええっ!おかしいですよ!だってこの小指と朔間先輩の小指は赤い糸で…ふがっ!」
「うるせーよ。」
顔面を朔間先輩の大きな手のひらで塞がれて最後まで言えなかった!
「大丈夫です、意地悪な王子様もいるんですよ…っでも最後は結ばれる運命なんです…っ、」
主人公に最初は意地悪なことばかり言ってくるけどだんだん2人の距離が近づいて結ばれるんです!と熱く語る俺の言葉を朔間先輩は聞いているのか聞こえていないのか無視してギターをかき鳴らし始めた。
「ああ…荒れ狂う朔間先輩も素敵です…っ!」
いつか王子様が俺の手を取って愛を囁いてくれるはず…。
その日まで俺は胸をときめかせて待つんです!
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