ピンポーン…
「宅配便でーす!」
玄関越しに聞こえる声にパソコンから離れて玄関へ向かった。
「はい…」
「サインおねがいします!」
開けるといつもの宅配のお兄さんがいてサインをして荷物を受け取るとすぐに鍵をしめる。
多分あの宅配のお兄さんにはいつも同じ服来ているし日中でも毎日いるから引きこもりニートだと思われているだろう。
それでも外に出て人の目がある場所に行くよりかは一人の人間と接触するほうがマシだった。
届いたものを確認していると玄関ポストからカタンと音が聞こえた。
何だろうと玄関ポストをそっと開いて、中を確認した。
白い封筒が入っていた。
封筒には何も書かれていない。糊付けされていて、ハサミで切って中身を見た。
紙が1枚折りたたまれている。抜き出して折りたたまれた紙を広げた。
そこに書いてあるものを見て固まってしまった。
急いで玄関のドアスコープから外を見たけど玄関の周りには誰もいない。
もう1度手にある紙を見た。
『お前みたいな引きこもりニートの世話を真緒くんにやかせるなんて、死ねばいいのに。生きる価値がない人間は死ね。真緒くんの視界に入るな。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』
「………。」
差出人は誰か分からないけどこの手紙を書いた人間は真緒が俺のところへ度々来ているのを知っているということだ。
差出人に俺自身に心当たりはない。真っ先に頭に浮かんだのは真緒のファンなんじゃないかということ。
お前みたいな…引きこもりニート…まさにその通りだと思った。
そりゃ反感かうよな。大人気多忙アイドルがわざわざこんな汚い部屋に来て掃除して料理して何もできない堕落した生活をしている引きこもりニートの世話をしているなんて。
幻滅させないためにも、こんな手紙が来てすることと言えば1つだけだ。
「なまえー、今日はロールキャベツを…って」
俺の部屋に入ってきた真緒は目を見開いた。
「なまえどした…??」
座って真緒を待っていた俺にびっくりしたんだろう。
「座って。」
「何かあったのか…?」
いつもどおりスーパーの袋を冷蔵庫の近くに置いて俺と向かい合わせに座った。
「真緒…出禁ね。」
「……は?」
「もうここに来ないで。」
「え?いや、説明しろよっ」
「決めたことだから。もう真緒は出禁。」
「ちょ、押すなって、何ごと?」
「てことで帰って。ほら、荷物も」
「ちょ、ちょ、っと、」
慌てる真緒に上着と荷物を持たせて玄関へ押しやる。
「…もう来ないでね。」
訳が分からないという顔をした真緒を玄関の外に押し出して扉を締めた。
鍵をかけてその場に立ち尽くした。
真緒は鍵を持っているから開けられるはずなのに、コンコンと静かにノックして「何かあったのか?聞くから話してくれよ…。なまえ…?」と玄関越しに言った。
俺は聞こえたけど聞こえぬふりをして黙った。
それからしばらく黙って玄関で立っていたが、ガサリと袋を持ち直す音が聞こえて足音が遠ざかっていった。
真緒は帰っていった。
今までどれだけ世話してもらってたか…。それなのにあんな言い方をして追い出して…。完全に嫌われたかもしれない。
でも真緒の生活に支障が出ないことを考えるとこれでよかったと思う。
罪悪感と虚しい気持ちは入り乱れて、こんな気持ち早く忘れたくてネトゲにログインした。
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