01

誰も己の人生設計において、引きこもりになる予定なんてないと思う。

かく言う俺もそうだ。

自分が引きこもりになるなんて思ってもいなかったし、そんなこと微塵も考えてなかった。

なのに、現在絶賛引きこもり、通称ヒッキーなう。


なんで俺が引きこもりなのか。
それは去年の話になる。

実は俺、今高校2年生。
引きこもったのは1年の終わり頃。

原因?笑われそうだから人には言えないけど、俺にとっては学校に行く気力さえなくなるくらいの出来事だった。

俺が通っていたのは夢ノ咲学院という高校。アイドルが数多く輩出された伝統校として有名だけど、俺はそんなものには関係なく普通科の生徒として通っていた。

学院はアイドル校として有名なだけあって、アイドル科の生徒はかなり人気だ。

入学して早々、地元の知り合いもいなくて高校デビューもできず友達といえる存在もできないまま過ごしていた俺は毎日が暇だった。

だから暇つぶしがてら我が校のアイドルユニットたちのイベントライブとやらに足を運んだんだ。もちろん一人で。

で、そこで見かけたのが朔間零という人だった。

一目見た瞬間、雷が落ちたみたいに衝撃が走った。正直、同性から見ても惚れるっていうレベルでかっこよくて目が話せなかった。

後で調べてみるとその人は俺の1つ上だということがわかった。それからはファンの女子みたいに朔間零の追っかけが俺の趣味になった。

もちろんストーカーとかじゃなくて、ただただファンとして憧れていただけだ。

今思えばその時の俺を殴りたい。ていうか首締めたい。何やってんだよお前、って。激しく後悔しかない。

そしてそんなかっこいい朔間零に憧れて、崇拝して、俺は何をとち狂ったのか朔間零に接触してしまったのだ。

その日はライブが終わってかなりの女子が出待ちしている状況で、俺もライブ後でハイテンションで男一人でも全然構わなかった。

朔間零が出てきて、さらに黄色い声で色めく女子にさんざん取り囲まれやっと解放されたあとを狙って朔間零のもとに行った。

あの朔間零が目の前にいる。それだけで緊張して、手が震えた。

「あ、あの…!!こ、これ受け取ってほし「はー…うぜえ。」

「え…?」

「今気分わりぃから話しかけんな。」

「え、や、え…」

キャーキャーとうるさい女子に疲れたのかかなり不機嫌そうな顔をして朔間零に見下ろされた俺はその威圧感に何も言えず手渡したかったプレゼントを握って固まるしかなかった。

そんな俺を一瞥してスタスタと去っていった朔間零を俺は呆然として見た。

あの今まで崇拝並に憧れて追っていた人から拒絶され、頭に石が落ちてきたような衝撃だった。

そこで俺はかなりのショックを受け、人間不信に陥った。

そんなことで引きこもり?不登校?
メンタル弱い?言ってろ。

笑いたきゃ笑えばいい。もう俺はズタズタのボロボロになったんだ。皆いい顔してたって中身は最悪なんだ。

だから嫌い。アイツが嫌い。顔も名前もすべて忘れたいほど嫌い。

あんな奴に潰された俺も嫌い。あんな奴を崇拝してた俺も嫌い、消えたい、全てから逃げたい、なくなりたい。

全部全部アイツのせいなんだ。