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「それ、手伝おうか…」
衣装をたくさん抱えて歩く転校生を廊下で見かけて声をかけると転校生は俺を見てぱちくりと目を開いた。
どうしたんですか、みょうじ先輩。最近たくさん手伝ってくれるし…
プロデュース、やる気出てきましたか?!
転校生に詰め寄られて俺は後ずさる。
「…そんなのじゃない…。ただ…暇だから…」
決して心境に変化があったとかそういうのじゃない…多分。
ただ…俺は大神みたいなやつがいるから少しは手伝ってやろうかなって最近思うだけで…。
歯切れ悪く否定するも転校生は嬉しそうに笑うからそれ以上言えなかった。
この衣装片付けたあとはポスター作成なんです。
色塗るだけなので簡単です。
そう言われて色を塗るくらいなら俺にもできると思い頷いた。転校生についていき、美術室に入ると絵の具独特の匂いが鼻をついた。
このポスター2枚完成しましょう。
転校生に言われて渡されたポスター。絵の具を使うわけではなくペンらしい。
塗り絵みたいなもんだ簡単だ、と真っ白な用紙に書かれた薄い線に沿って水性のペンを走らせてみたけどすこしよれてしまった。
「難しいな…」
集中してもう一度、とペンをなぞらせる。
「やっほ〜〜!たんぽぽちゃん!なになに、何してるの〜?」
突然聞こえた声に振り向くと羽風が美術室に入ってきているところだった。羽風を見てすぐさま顔を逸らす転校生。
転校生…もしかして羽風が苦手なのか…?
俺に気づいた羽風はあからさまに嫌な顔をしてため息を吐いた。
「あっれ、根暗くんじゃん。えー、今から俺と転校生ちゃん二人で話すんだからさ、男はお呼びじゃないんだよね〜」
要約すると出ていけということだろう。嫌な奴だ。
陰気臭いとか根暗とか言ってきたと思えば、前髪切れとか言ってくるし、やっぱり俺は羽風も嫌いだ。あいつの次に。
内心ムッとしたけど相手にしないのが1番だと俺は黙って色を塗ることに集中した。
羽風先輩…!今みょうじ先輩がせっかくやってるんです…!邪魔しないでください!
少し怒った顔の転校生に羽風は驚いた顔で肩を竦めた。
「怒った顔も可愛いね。まー、確かに?最近やる気になってる根暗くんの邪魔したのは謝るよ。」
「…別にやる気になんかなってない…」
俯きつつ、白い紙に色を足していきながら答えた。
「へぇ、じゃああのUNDEADのマスコットは違うんだ?」
「…?なんのことだよ…」
顔をあげて羽風の目を見た。整った顔が俺を見下ろしている。
「え、自分であげて覚えてないの?朔間さんがつけてるあの歪なコウモリ。根暗くんが作ったんでしょ?」
「………は?」
「はあ、とぼけちゃってさあ。まあいいけど。俺には関係ないし。」
羽風が言っている意味が理解できなくて俺は眉を寄せた。歪なコウモリって…。俺が作ったやつって…。……まさかこの間俺が大神に上げたコウモリ…のことか…?
あれは…俺が大神に捨てるなり好きにしろってあげたやつで…。なんであいつが持ってるんだ…?
「ちょ、ちょっと待て、なんでアイツが…朔間零が持ってるんだよ…」
「え?あげたんじゃないの?根暗くんから貰ったって言ってたよ。」
「……は、はぁっ?!」
何だよそれ、俺があんなのアイツにプレゼントするわけ…ていうかあいつに何かあげるわけないじゃないか!
なんで俺があいつにあげた話になってるんだ…っ?
大神…。大神だ…!
「…っ、ごめん、ちょっと…席外す…」
「どーぞどーぞ♪存分に外してねー、あと1時間は戻ってこなくてもいいよ〜」
ひらひらと手を降る羽風なんか目に入ってなかった。俺は大神を探すために美術室を飛び出した。
「…っ、はぁっ、大神っ!」
どういうことだ…?!