序曲
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突如鳴り響く聞いたこともない警戒音
いつになく焦りの色を感じる上司らの声
いつも以上の不安を胸に抱き魔法陣に乗りこむと、苦しく重いなにかに潰されそうな錯覚を覚えて吐き気を催した。
やっとの思いで着いた先には逃げ惑う人々の叫び声、泣き声、喚き声が溢れていて、地に落ちる涙と汗と血肉からなんだか嫌な臭いがして
「─────っ!」
ゾクゾクッと、身体に悪寒が走った。
姿もまだ目にしていないのに。
人々が逃げてくる方角から感じた″嫌な感覚″で、もう足は地に根を下ろしたように動かなくなった
勝てない、こんな奴には。
何人でかかっても全員殺されるのがオチだと。
止めどない禍々しさを放つソレは、勇敢にも立ち向かっていく人達を次々と凪ぎ払う。
目の前で知っている人が倒れていく様はまさに悪夢そのもので、その光景を見た自分がどうなったのかいまいち覚えていない。
ただ握った剣を振り回した。
それが何に当たったのか分からない。
もしかしたら仲間を殺したかもしれないし、自分の腕でも落としたかもしれない。
叫び声と唸り声、誰かの骨が折れる音、
血液が噴き出し、肉が地に落ちる音、
声にならない声と、うるさい心臓の音、
いつのまにか呼吸の仕方も忘れたかのように息が苦しくなり、喉元から鉄の味が這い上がってくる。
敵から逃げているのか、はたまた立ち向かっているのかすら定かでない状態で
目の前は、言葉通り真っ赤に染まっていた
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気が付くと、白いベッドの上にいた。
先程のは悪い夢だったのだろうか。
開いた窓から流れ込んだ風で、カーテンが揺れる
隙間から見えたどこまでも青い空に、一直線の飛行機雲が白い息を残していた。
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