Memento mori

メモ帳を浸して浮き出た文字を掻き混ぜる

砂丘 更新 ⚠️

DUNE 2話 更新しました

「あの人が僕を呼んでる」
「求めて、与えて、そして僕らは」

二つとも年齢制限あり。
あとがきも未成年者は閲覧禁止です。


「あの人が僕を呼んでる」:
ガーニィはポールが恋している相手が人妻だと考え、アドバイスをする。「大人になって妾にすればいい。それは救済を与えたことになる」と。然し実際はポールよりも正式に高位な身分に位置する姉。女であるからこそいつかは嫁ぎ、家を出ていく。そんな姉には妾にすることが救済だとは言えませんし、絶対に出来ません。いくらこの世界が基本的に男尊女卑であってもポールは妾の子、姉は正妻の子。しかしそんなままならぬ関係であっても心に「救済」を与えることが出来ると気付きます。それはバルコニーに飛び込んできて「抱け」と命じた錯乱状態の姉の前で、ポールの自己意識を引き戻す重要な思考に変わるのでした。

さて、姉上がベネ・ゲセリットの声を使うのは初めてではありません。姉上どころか、ポールも無自覚で使っています。ジェシカが見たら首を傾げるレベルに二人はナチュラルに声を発動させる時がある。@ポール、姉上に使用する。すごく初期。背後から抱き締めて「動くな。」姉上は鏡の前で自分の欲に落ちていく姿を見せられる。Aポール、ハーピンシャー嬢に「来い。」姉上の奉仕を年若い少女に見せ付ける。Bポール、姉上に「行くな。」これで姉上は不安になりダンカンを誘惑。C姉上、ポールに「触れるな。」調子に乗ったポールに、初めて姉上が明確に命じる。Dそして今回………「私を抱きなさい」

連載タイトルにも含まれるように、この作品のテーマは「声」です。

「求めて、与えて、そして僕らは」:
ポールが少し前、姉上を無理矢理に自分のものにしてしまったように。姉上もまた罪を犯す寸前でした。人形のように弟を言葉で使役し、快楽のために使おうとする様はかつてのポールと同じ。ポールはそんな言葉の支配からなんと自力で抜け出してきます。ポールはこの時点では何にも分からないただの少年のはずですが、何千年も待ち望んだ真の男のベネ・ゲセリット、クィサッツ・ハデラック。つまり、ベネ・ゲセリットの技術のみをコピーして声を発動させている姉上は絶対にポールを支配し続けることは出来ません。

ポールは、姉を抱く寸前になっても問い掛け続けるのです。「どうされたいか、どうしたいか、それはあなたの言葉で選び取らねばならない」と。今までの姉弟とは、完全に逆転しています。

縋って縋って、姉上がもう嫌だと言っても逃がさない。逃げられない体質の姉上を支配し続けたポールは、行いを悔やみ、彼女の言葉で「人間として」ポールを選ぶまで耐えました。そしてようやく彼女が救済を求めた時。

ふわふわとした黒髪は柔らかな女の腹の上で揺れ、その額から汗が伝う。長い黒髪が華奢な少年の上で舞い上がり、傷付いた首筋は仰け反って悦びの悲鳴を上げる。二人の指先は夜が明けるまで離れることは無い。

前回、シャワールームでの悲劇や、朝食前に本能的にラインを越えかけた時とは全く違います。今回は「自分の意思で」ポールを求めて、「自分の意思で」ポールに与えられた。二人の行為は罪や罰といった負の感情ではありませんでした。あるのは愛情と救済です。

2022/08/11/23:53
Category : 更新履歴(砂丘)
prev back next
F.A.L