「ごゆっくりどうぞー」
「あー、あまーい!勝負に勝った後の甘味は最高だね!」
「どうして正規の値段からここまで跳ね上がるんだ……?」
一口含めばキャラメルの甘味と豆乳のまろやかさが広がる。学校帰りの学生でそこそこに混んでいる店内で、勝利の美酒、ならぬフラペチーノを味わった。かくれんぼとはいえ勝負に負けたことが悔しいのか、黙々と滝もフラペチーノを口に含む。かーわーいーいー!!
「んふふふ、滝、私がどこに隠れてたか教えてあげようか?」
「ああ、たのむ」
「最後に庄左ヱ門と話してた所あるでしょ?」
「ああ、あそこか。私も先程までそこにいたんだがな」
「あそこの階段の裏にずーっといたの!」
だから桜子ちゃん滝がどれだけ私のこと好きかわかっちゃいましたー!
そう言ってみると、えっ、と目を真ん丸にして滝はカップを握る。ある程度飲んでいたから溢れることはなかったけど。固まってしまった滝は、小さくどこから?と尋ねる。
「どこが好きなんですか?全部!から」
「最初からじゃないかああ!!」
「お店でうるさくしたらダメだよ」
「あ、すいません」
勢い余って立ち上がった滝は、慌てて傍の席の人にぺこりとお辞儀をする。大きく深呼吸をして、へこんでしまったカップをべこべこと直しながら一口啜る。
落ち着いた滝は少し拗ねたみたいだ。と言ってもいつもよりすました顔をしている分イケメン度が高いというか。大川以外の学校の人が今の滝を見たら一目惚れしちゃいそうなくらいにかっこいい。
「桜子は私がどれだけお前を好きなのか知ってるのに、私には教えてくれないのか?」
「えー」
本人にいうのはちょっと恥ずかしいな。それにほら、秘密があった方が女は魅力的だってさあ。誤魔化すように笑ってみるが、ぺち、と軽く頭をはたかれる。
「桜子、そこは秘密にしてはいけない部分だろう」
「やっぱり?私も実際秘密にされたら多分あの手この手で吐かせるわ」
「……」
吐かせるっていうのはちょっと、と呟く。その目は何だろう。笑顔で首を傾げて圧力をかけてみたり。びくりと体を固くして少しのけぞる。失礼な!でも滝が可愛いから許そう。
「多分庄左ヱ門の新聞に載るんじゃないの?」
「桜子の口からは言ってくれないのか?」
中々食い下がるなー。机に肘をついて手を組み、その上に顎を載せて滝を見つめる。かっちりとあった視線からはとても不満なのが伝わってきた。
「こんなところで言うのはなー」
「じゃあ家にいこう!」
「飲み終わったらね」
今にも立ち上がりそうな滝にそうそっけなく言ってみると、そわそわしたようにフラペチーノのカップをいじる。もうべこべこになってるよ。
「滝」
「な、何だ?」
「だーいすき」
「!?」
今度こそ完全に、滝の手の中身は潰れてしまった。
某コーヒーショップで
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そうやって私に一生懸命になっちゃうところも大好き!
2013/07/26 如月アスカ