04. ふたふり
「主ー!俺、今日も誉取ったよ!」
本丸へ帰ると、元気な初期刀≠フ声が響く。彼もまた俺で、加州清光だ。
俺は元¥炎刀だが、この本丸では二振目≠フ俺だった。
「おかえり。どこ行ってたの?」
「遊女屋。」
「えっ、お前が?」
そして、この顔を真っ赤にして驚いて居る大和守安定も、俺と同じ二振目≠フ安定だ。
最初こそ驚いていたものの、安定は然程気にしていないのか、直ぐに「どんな子だったの?」「どんな感じだったの?」と、言葉をしきりに投げ掛けて来る。
「ふーん。清光、お前それ…一目惚れってやつ?」
「え、一目惚れ…?」
一目惚れ、なのだろうか。格子の隙間から見た、酷く哀しそうに微笑む彼女から目を離せなかったのは、そう言うことなのだろうか。
助けてやりたいと思った、それもまた、一目惚れってやつの所為なのだろうか。
安定に話すのは何だか恥ずかしい気がして嫌だと思ったが、あまりにも真剣に聞いてくれるから、俺の唇は動く事をやめなかった。
「また明日会いに行くんだろ?でも明後日は出陣だから、忘れないでよね。」
「うん、解ってる」
出陣の事をあまり考えたくなかったのもあり、何時もより早く布団に潜る。次に目を開ければ明日になっていて、彼女に会える。
安定が本の頁をめくる音を聞きながら、夜に溶けた。
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