0.夢と現

ここは、日本の現在の最高気温は35度を超える。人が倒れて命の危機に襲われるほど危険な暑さが続く中、高校生一年生である私は、高校生で初めての夏休みを迎えていた
沢山ある課題という名の宿題を消化するべく私は図書館に入りしたっていた

一人で集中できるように隅っこの席に座りレポートを仕上げるために本を探していた
二冊ぐらい手に取ったあとにふと、何か違和感を覚えて視線を向けると沢山並ぶ本の中で一冊だけ白い表紙のものが淡い輝きを放っていた

近づいてみると、淡く輝いている白い表紙には何故か本のタイトルが記載されていなかった。怖いとか思うよりこれは、なんだろうか?という疑問という名の好奇心が勝ち体は勝手にその本を手に取っていた

手に取った瞬間に淡い輝きは消えた。そしてページを開いて見えると“青い羽根”が挟まっていた
とても綺麗な羽根で見たことがないものだ…。その羽根から不思議な力を感じたのだ

「…綺麗な羽根…なんの羽根だろう?」
手に取ってみてみようと羽根に手を伸ばそうとするが、手に届く前に意思があるかのようにふわりと浮き出し自分の方へ吸い寄せられていた
そして自分の中に何故か青い羽根は入っていた

ふわっという浮遊感は一瞬だった。その時に脳内に浮かんだのは
広々とした和風的な家と、泣き叫んでいるような一人の男の子と口から血を流して倒れている綺麗な女性だった。

ずきずきと頭が痛むこの光景をどこかで見たことがあるような気がするんだけど思い出せない…。
痛む頭は次第に弱くなっていくが、考えるのをやめようと持っていた本を閉じようとした瞬間に、一瞬にして暗闇に包まれた。

周りに人がいたはずなのに、すでに誰もいない。
どこを見渡しても漆黒の闇の中…音も聞こえない無音の世界だった
このままここにいたら気がくるってしまうかもしれない…。

「えっ?!何、どうなっているの?!だれか、誰かいませんか〜!?」

急な展開に混乱していると低い男性の声が空間に響きわたる

「…時が来た、“次元を超える旅が今始まる”…」

「だ、だれなの?!」

声がした方向を見るとガタイがいい、怪しげな男がこちらを見ていた。

「…あなたは、だれ?」
「お前が知る必要はない…お前は“存在するはずのない異分子”だからだ」

男は忌々しそうに私の方を見て指をさした
異分子、存在するはずのない…わからない…この男は何が言いたいの?
そんなことないと反論したかったが何故か言葉が出なかった
その時、男の指先から何か光りだした何かが私を狙っていた
足元が急に明るくなった、下を見てみると月の絵が描かれたアニメに出てきそうな魔法陣が現れた。

魔法陣が現れたのと同時に私に向かって男の指先から何かが放たれたが魔法陣から出てくる不思議な透明の壁が私のことを守る様に放たれたものをかき消した
何が起きたのかわからないでいると、男は心当たりがあるのか舌打ちをしながらこちらをにらんだ

「っチ、あの魔女の策略か!?逃がさんぞ!!」
再びぱぁああと指先が光だしまたこちらに向かってくる
しかしその攻撃も先ほどと同様に防がれた

どうやらこの魔法陣は私のことを守ってくれているらしい
誰か知らないけれどありがとう。

「忘れるな!お前は“存在してはいけない存在”だということを!!」

その言葉を最後に私は意識を手放した
あの男は、わたしを殺そうとしていた。それほどまでに私のことが憎いらしい
だが、しかし私はあの男は初対面だし、会ったことがないはずなのに…
悲しすぎる…一粒の涙が目から零れ落ちていた

そして気を失った私を魔法陣が包み込んで暗闇の世界から忽然と姿を消したのだった

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