正体×告白×信頼する仲間
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流石に疲れていたのは俺は暫く眠っていたらしい。俺が目を覚ませば、部屋にゴンとクラピカとレオリオがいた。ゴンのやつ目を覚ましたらしいな。
「あ!ロウ起きたんだね!」
「ゴンも起きたんだな」
「ロウ?」
「悪い、ちょっと胸を貸してくれ……」
答えを聞く前に俺はベッドに身を乗り出すゴンの上半身を引き寄せると優しく抱きしめた。やっぱりゴンの匂いは安心する。やっぱり妖怪といっても犬だからかな?
「……しかし、心配したぞ。ロウがいつまでたっても来ないから部屋を覗けば、胸に血のついた服を着て倒れていたのだから」
「……あ、確かジェイドとかいう奴に襲われて。……そうだ、クラピカ!ジェイドって人物を知ってるか!?」
全ての原因はあいつにある。俺を半殺したから俺は疲労で倒れたんだよ!
「ジェイド……。ジェイド=エクイトの事か?」
「そいつだ!」
クラピカは渋い顔をすると何かを考えている様で中々喋らない。何か知っているが言うか悩んでいる表情だな。
「そんな事より、もう時間ねーぞ!さっさとククルーマウンテンに向かわねーと、パドキア行きの飛行船が行っちまうぞ!」
「は?ククルーマウンテン……?パドキア……?」
俺の寝てる間に何があったと言うのだ。また、俺は重要な時に眠ってしまっていたのか!?
「ロウ、取り敢えず行こう?あとで全部説明するからさ」
「ゴンがそういうなら……」
俺はすぐに身支度をしてゴン達についていった。若干、駆け足という状態で飛行船に駆け込んだ。
飛行船に乗り込み荷物も整えひと段落すると俺たちはソファに座りグッタリとする。こうもバタバタすると精神的に参るものがある。
しかし、だだっ広い部屋だな。必要な物はある程度揃ってるし生活には不便が無さそうなくらい設備が整った部屋だ。
「なんだか随分と良い部屋じゃねーか。お金は大丈夫だったのか?」
予約されていた部屋があまりにリッチすぎて、富豪にでもなったかのようだ。
「そりゃハンター証で無料さぁ!これを使えば料金免除で乗り放題ってワケだぁ!!」
そういや講義でそんな使い方も出来るとマーメンさんが説明していたっけ。パドキアの国に向かう飛行船で数時間で着くとのことだ。
「ねぇロウ。2日前、何があったの?」
ジェイドの事だろうな。話すか悩むが、こいつらにも俺の正体を込みで、いつかは説明しなくちゃならない。決して信用してない訳ではないけど気を使わせるかもしれない。
「……」
「先日、あの怪盗ルミナが殺された」
俺が黙っているとクラピカが、あの時ジェイドの言った事と同じ事を口にした。情報通ならすぐに得られる情報だが、このタイミング言うということは2日前にあった出来事にジェイドが関わっていると読んでいる。その裏付けをしてしまったのは、さっきクラピカにジェイドの事を聞いたからだろう。
「クラピカ、お前たちの言うジェイドって何者なんだよ?」
レオリオは知らぬ者の話で、2日前の出来事が語られるのだと察して、ジェイドについてクラピカに聞く。
「……ジェイド=エクイトとは100年前に天狼抹殺の計画を企てた一人の人物」
「て、天狼って、まだロウを疑ってるのかよクラピカ!」
俺を庇うように言うレオリオにクラピカは黙ってしまった。その本意は本当は俺が天狼である事を確信してしまう何かがあったが、俺が隠しているから自分から証明したくないと言った心理。
「いや良いんだよレオリオ。クラピカにも迷惑をかけたな」
「ねぇ、どういうことなの?」
俺たち3人が揉めそうな雲行きで困った表情をしたゴンが俺に事情を聞いた。
「……俺の正体は天狼だ」
「……やはり、か」
クラピカは渋い表情で呟くと共にレオリオは力が抜けるように驚く。ゴンは不思議と、そこまで驚いてはいなかった。
「お、お前、本当に天狼だったのか……?」
「あぁ。いつかは言わないといけないと思ってたけど、ゆっくり言える時が今しかなかったからな」
「ロウが天狼でもロウはロウだよね?」
俺に真っ直ぐな眼差しを向けて言うゴン。その言葉は俺にとって強い支え。俺は天狼でも俺は俺。俺である事には変わらないんだ。
「ロウが何者であろうと私は気にしない。だが……」
「く、クラピカ!?まだロウに文句があんのかよ!」
「私はロウに文句を抱いたことはないぞ!だが、ジェイドがまだ活動を続けていたことが分かったから心配しているんだ!」
そのクラピカの言葉に再びジェイドの話に戻る。一気に沈まらかえる空気にゴンが口を開いた。
「クラピカ、そのジェイドって?」
「先程も言った通り、100年前に天狼を抹殺する計画を企てた一人。それも代表だ」
「だから怪盗ルミナが殺されたのか……。って事は2日前にロウが倒れてたのはジェイドに狙われたって言うのか!?」
話が繋がりレオリオは青ざめた表現で驚愕する。俺が死にかけてたんだからな。まさか、ヒソカに助けられるとは思わなかったけれど。
「まぁね。レオリオの言う通り俺はジェイドに殺されかけた」
「しかし、ジェイドが殺すとしたら確実に死を確認するはず」
「実は心臓を貫かれたから胸から血が滲んでたんだ」
あの服は胸の中心に穴が開いた挙句に血まみれになったから捨てちまったけど。
「えぇっ!じゃあ今は大丈夫なの!?」
「……いくら天狼でも、流石にそれは死ぬのではないのか?」
ゴンとクラピカが動揺して医学をかじってるレオリオも渋い顔をしている。
「……まだ、隠してる事があるんだ。」
「な、なんだよ隠してる事って……」
唾をごくりと呑むレオリオにつられゴンとクラピカは息を呑んだ。
「既に俺は死んでる」
さばっとして言って見せればレオリオとゴンはビクッと反応する。
「じゃあ、お前はお化けかぁ!?」
「えっ!?本当!?」
レオリオの言葉にゴンもつられて凄い反応をする。さっきまでのシリアスな空気はどこに行ったんだよ!
「話しが読めないな。もっと具体的に説明は出来ないのか?」
「一言で言えば妖怪の類になる」
「妖怪か……。本当にそのようなものが実在していたとは信じられんな」
そう言うクラピカに俺は力一杯に左腕をもぎ取って見せるとレオリオは大声で驚く。
「なっ、何の真似だロウ!!」
「でも、これを切断された部分に元通りにくっつけると……ほらね」
実際にやって見せれば、千切れた断面からは細胞レベルで癒着していき元通り左腕は繋がり指も動かして見せた。
「……嘘ではない、か」
「ロウってそんなこともできたんだ!」
ゴンがキラキラした目で俺を見るが、一定のレベルを満たした妖怪なら出来る芸当だ。だが、再生すれば体力も失うしで必ずしも便利な物でもない。
「つまり、ジェイドはお前の心臓を潰して殺したと思い込んだが、強いお前の生命力が心臓を蘇生させた……と言う事か?」
「まぁ、心臓は治ったけど心臓以外に妖怪特有の核が存在していてだな、それを潰されない限りは、あるいは他によっぽど酷い外傷を喰らわない限り死なないって思ってる」
未だにレオリオは信じられないものを見ていると言った様子だ。でも俺を拒絶しているわけではない。
「じゃあロウが生きてるってバレたらヤバイって事?」
「流石は俺のゴン!そう言うことだ!」
笑顔でゴンの頭をわしゃわしゃ撫ぜてほめるとクラピカもレオリオも、いつも通りの表現に戻った。
「やっぱりロウはロウだな」
「あぁ、ロウだな」
クラピカとレオリオは確かめるように顔を合わせて言うとクスッと笑う。でも、こんな化物の俺でも受け入れちゃうとは、やっぱり俺は良い仲間を持ったんだな。
「話を戻すがジェイドには気をつけろ。奴は外来種を根絶やしにするハンター。つまりDASの一人だ」
「DAS……?」
「デストラクション(※1)・エイリアンスピーシーズ(※2)の略で外来種を撃滅する事を目的とする組織だ。その組織は機密事項が多く知られていて一般には公開されてない情報が多過ぎる。残念だが私には説明ができない」
※1…撃滅の意味
※2…外来種の意味
成る程な。とんでもない奴に目をつけられてしまったと言う訳だな。しっかし100年前から天狼を追ってるって歳は幾つだよ。
「まぁ、奴は俺のことを殺したと思い込んでるし身を隠しとけば大丈夫かなって」
「メディア関係には気をつけろよ。ニュースに載っちまえば一発だかんな」
確かに、あの手のもので報道されれば確実に生きていることがバレる。しかし、奴は俺が妖怪である事に気が付かなかったから驚異の再生能力は推測してない筈。ただ、それでも千切れた腕が元通りにした所を見られたからな、どのみち身を隠す必要はあるな。
「ねぇクラピカ、DASってどんな人達が集まってるの?」
珍しく渋った顔つきのゴンがDASの事をクラピカに聞く。それは丁度俺も気になっていたことだ。今後、手をあわせる可能性のある相手だから情報は必要不可欠。
「奴らは生物ハンター、珍獣ハンター、保護ハンター、国防ハンターなどが集まった組織で、外来種からこの世界を守る事を目的としている」
「なるほど、それで俺を含む天狼が危険視され駆除の対象となった訳か」
「あぁ、トリックタワーでも言った通り天狼は人々の戦争の道具として扱われるようになった」
全く先代の天狼達は人間に忠実だな。この様子だと何でも言うのとを聞いてたに違いないな。
「でも酷いよ。ロウはなんも危害を加えたりしないのにいきなり殺しにくるなんておかしいよ!」
「あぁ……。そもそも人間が天狼との接し方に、もっと重視しておけばこんな事にならなかっただろうな」
「おいロウ、もし何かあればすぐオレ達に連絡しろよ!」
全く馬鹿みたいに優しいな。そんな奴らだから連絡出来るわけない。みすみす殺されてしまいかねない事には巻き込ませたくない。
もしDASという組織の連中がジェイドクラスの実力者ならば尚更だ。俺が感じ取っただけでも、あのジェイドという奴はヒソカに匹敵する。オーラの絶対量も体術も知能面においても俺は奴に劣っていた。
「ロウもしかして俺達を気にして連絡しないって思ってない!?」
「うぉ!?え、そんな事ない……ぞ?」
「嘘だな」
まさかゴンにバレて、俺の間抜けな反応でクラピカにまでバレてしまった。流石に今の反応は自分でも阿呆な自覚はある。
「俺、ロウが居なくなったら嫌だ。俺に協力できる事なら何でも言わないと絶対駄目だからね!」
「……ゴン。わかった。何かあれば伝えるよ」
これが仲間というものか。素晴らしいものなんだな。心が暖かくなるのが分かる。なんだか胸がジーンとするんだ。
「私にも連絡しろよ」
「俺だって協力するぜ」
「クラピカ、レオリオ……。あぁ、必ずお前達に助けを求めるよ」
心の何処かにあった人間とそうでない者の心の壁という物が今壊れた気がする。無意識ながら、何処かに距離を置こうとする障壁あったが、彼等は俺にとって信頼できる仲間なんだ。だから俺が心配する必要なんてない。
「……ありがとうな」戻る
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