想い×共通×約束
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飛行船ではゴンと船内の探検をしていたが、探検というより抜け道探しをしているようだった。先ほど重い話をしてまった後だったので雰囲気の口直しにはちょうど良かった。

その後、飛行船でパドキアの空港に到着すれば次はデントラ地区に向かう列車に乗り込む。これも予約済みの席らしい。それも今回も特等席だ。

ゴンが割り当てられた部屋のドアを開けると「わぁ!」と声にする。その部屋を見た俺も思わず驚いた。

「これが特等席なんだな」

目に入った赤いソファにゴンは座るとスプリングの反動を楽しんで軽く跳ねて遊んでいた。

「うはははは!あ、あれ?」

余程、ソファがフカフカしていたのかゴンは軽くソファに飲まれる形になっていた。

「随分とふかふかそうなソファだな」

「そうだけど、これじゃあふかふか過ぎて動きにくいよ」

そのゴンの言葉を受け俺もゴンの隣に座ってみれば次第に体が飲まれていき、どうにも浅い座り方になる。

「おぉ、確かに動きにくい」

「でしょ〜?」

列車が出発すれば街中から、随分とローカルな場所に出て行く。窓を眺めて俺とゴンは景色を堪能していた。

「揺れないもんなんだな。列車というのは全部こうなのか?」

「いや違うぜロウ。この席が特等だからだ。三等のイスじゃまともに眠れないからな」

やっぱり、これだけの速度で移動してるのに揺れない訳ないのか。この特等席の部屋が揺れ防止などの対策が取られてるんだな。

「そんな時には良い方法があるぞ」

「あぁ……?」

「三等の椅子での寝方だ」

クラピカの知識が本領発揮しそうなところで俺は視線を景色に戻した。せっかく、特等席にいるのに何故に三等の椅子での寝方を教わらないといけないのか……。

しばらくクラピカの説明にゴンだけが真剣に聞き入っていた。確かにクラピカの説明って聞いててワクワクするけどさ。



日が暮れると夜になる。レオリオから聞けばデントラ地区に着くのは明日の朝らしい。飯は注文できるから問題ないとの事。

「肉あるかなぁ……」

また肉ばかり食べたらゴンに怒られるかもしれないけど。多分、今回はクラピカもいるからクラピカにも指摘されそうだ……。いや、よくよく考えればもう良いんだ。俺が狼である事を明かした以上、肉ばかりを食うことは不自然じゃないんだった。

ソファに座り喋ることもなくなり、ふとゴンに聞いてみたい事があったのを思い出す。寝言で言っていたガルという名前。

「なぁ、ゴン」

「ん、なに?」

無邪気な顔で俺に振り向く。もしかしたら、俺は以前からこの顔を知っていたかもしれない。記憶にはないけど、第六感がそう言っている気がする。

「ガルって言う奴は……知り合いか?」

「……え?」

凄い動揺したゴンの表情。俺が何故それを知っていると言う驚きの顔つきで見る。そして、一瞬の闇を感じ取った。底が見えない暗い感情。その感情と良く似た想いは、以前の俺が良く知っていると第六感が伝えてきた。

「ゴンが寝言で呟いていたんだ。もしも、聞いて欲しくない事なら答えなくても構わない」

「あ、あぁ。俺ってば寝言でも名前呼んでたんだね」

その感情と言うのは深い悲しみに、自分に責任を感じる強い怒り。だが、今のゴンは平静を繕っては、少しはにかむ様に笑った。その様子、普段からは考えられない素振りに俺含めてクラピカもレオリオもポカンとしていた。

「ガルって言うのはロウにも言ったけど、俺が小さい時に助けた狼のこと。とは言っても俺が勝手に呼んでただけなんだけどね」

「あぁ、あの狼の名前だったのか」

その狼のことは俺も気になっている。時系列的に言えば天狼の可能性は低いけど、妙な感覚が俺の心を騒めかせるんだ。

「あ!もしかしてゼビル島の時の狼ってロウだったの!!」

突然、思い出すかの様に声を上げるゴンは俺が隠していた事を言い放った。とは言えゴンに隠していた事だったから困らないがバレてしまった。

「え、いや……その」

「あの狼の匂いって誰かに似てるなって思ってたけど、ロウの正体は天狼だったし間違いないよね!!

匂いだと……!?そういや、咄嗟のことだったから、そこまで考えてなかった!確かにゴンにならバレても可笑しくはない……。

「なんだゴン。ゼビル島で何かあったのか?」

「レオリオ、晩御飯のメニューを見に行かないか?」

クラピカはゼビル島でゴンに何があったのか知っていたのか、気を使ってくれてレオリオを連れて部屋から抜けていった。

「って事は俺……あの時もロウに助けられちゃったんだ」

「……」

やっぱり、そう思うよな。少し俺のエゴが過ぎてるかもしれないって前々から散々思ってたのに、ゴンが危険な時には体が咄嗟に動いちまう。

「一次試験の時にヒソカから守ってくれたし、軍艦島の時も同じ……。そしてゼビル島でも助けてくれてたんだね」

「その……ごめん」

「え、なんでロウが謝るの?」

多分、ツラい顔でゴンは言っているんだろうと思って謝れば、ゴンは不思議そうに俺が謝った意味を聞いた。

「あれ?てっきり気を悪くしたのかと……」

俺は顔を上げてゴンを見てみれば、少し微笑んだ表情をしていた。それは、どちからといえば幸せそうな表情。

「ううん、違うよ。今振り返ればロウに凄く大切にされてたんだなって思って」

「あ……いや」

そんな笑顔で言われても滅茶苦茶恥ずいんだが……。どうして、そんな真っ直ぐな目でそんな事言えるんだよ。絶対今の俺、顔が赤くなってる。

「俺、これからもロウと一緒に居たいなって思っちゃって。その……駄目かな……?」

ゴンは両手の人差し指を、くっつけたり離したりと俺の返答に緊張してるのが伺えた。

「……ゴ、ゴンなら良いよ。お前は俺の一番だから」

「……え?」

「い、いや!一番って言うのはだな!!」

「えへへ、嬉しいよ!ありがとう!」

本心だけど変な意味だと取られたと思い言い直そうとしたが、その時にはゴンが俺に抱きついて一言それだけ言った。

「俺こそ、ありがとう」

「ロウ……約束だからね!」

もし、ゴンと会えなかったら今頃俺は何をしていたのだろうと虚無感さえ感じる。だからゴンと会えて本当に良かった。一緒に居たいのは俺だって一緒さ。
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