別れ×目的×それぞれの夢
◆◇◆◇◆◇◆◇




帰りも列車に乗り空港に近い来た時の駅まで向かう。キルアも戻ってきてゴンも元気になった様で良かった。

夜も更けて、俺とゴンとキルアは列車の窓側に頭を向けてうつ伏せで横になる。やっぱ、こいつらが居ると無性に俺は安心する。

「ねぇ、ゴトーさんって良い人でしょ?」

「ん、何でそう思う?」

ゴンが列車から見える外の景色を見ながら呟いた。俺も悪い人じゃないとは思ったな。

「なんとなく」

「俺も同じく。目を見たとき悪い感じがしなかったんだ」

「へぇ、良いかどうかは分からないけど曲がった事は嫌いだな」

だからか真っ直ぐな目をしていたから、正直な人だと思えた。

「怒ると恐そうだよね」

「こえーよ。あの眼で追いかけられちまったら夢見ちまう」

「ちぇ、俺もゴトーのヤクザ面を正面から見たかったなぁ」

俺が広間を覗いていた場所は位置的にゴトーの後ろだったから顔があんまり見えなかったんだよね。

「そういや、ロウは何であそに居たんだ?」

「あぁ、シルバに呼ばれてさ」

「え、親父に?……ってハァ!?」

「向こうから来たんだよ!それに悪い人じゃ無かったと思うよ?」

何かを企んではいるかもしれないけど悪い感じはしなかった。

「で、お前大丈夫だったのかよ?」

「俺に稽古付けてくれたし」

「ま、まじ?嘘だろ……おい」

「最初はサシで闘ったんだけどさ、中盤は俺が押してたんだけど、その中盤で全て見切られて最後はコテンパンに乗せられちゃって」

でも楽しかった。そう思って言えばキルアは気味悪そうに俺を見る。多分、キルアもシルバの実力がヤバイって気づいてるから、そこそこ渡り合った俺もヤバく見えるんだな。

「お前も変わってるよなぁ。親父の機嫌がやけに良かったのはそれが原因だったのか」

「あ、それゼノって人からも聞いた」

「じっちゃん……」

キルアは色んな意味で呆れていた。多分、その原因は俺とシルバとゼノだろう。でも、割と俺には全員フレンドリーに見えた。けれど今のキルアの反応を見る限り普段はそんな事ないんだろうな。

「ねぇ、ロウはどんな修行してたの?」

ゴンは興味本位に俺がシルバとやった修行内容について聞く。けれど、キルアには授業内容言うなってシルバから口止めされてるし言えないな。

まだ念を覚えさせるのは危険かもしれないって言ってたし流れに任すつもりだ。だから、今は秘密にしておこう。

「ヒ・ミ・ツー!」

「えー!教えてくれって良いじゃん」

「駄目なもんは駄目なんです」



今こういう雰囲気が青春してるよなぁって感じる。少し心はむず痒くて、それでいて心地が良い。

「そういや、キルアにも俺の正体明かしとかないとな」

「あ、確かに。あの時キルア居なかったもんね」

「え、ロウの正体?」



説明はゴン達にした様な物で初めは人間じゃなく天狼である事を明かせば口を開けて「マジ?」見たいな表情で俺をゆっくり見た。

「ほらこの手」

手だけをフォルムチェンジさせて見せればキルアは「通りで親父が興味持つ訳かぁ」とシルバの下りの所為もあってか余り驚いていない。

「あのな、俺はただの天狼じゃなくて、妖怪要素も加わってるんだよね」

「は?」

割とマジで何言ってんだコイツって顔で見られたけど俺は、手っ取り早く理解して貰える方法をとる。

「ほら」

「す、すげーな。意味不明すぎて頭痛くなってきやがった」

人差し指を千切って、再び指を繋げて動かしてみれば渇いた感想が届いた。

「ロウ、ちょくちょく言ってたもんな。自分が魔界から来ましたとかふざけて」

「あ、アレはだな……」

「そう言えば冗談だと思って聞いてたけど、そんなこと言ってたね」

ゴンにまで言われて、そこまで悪いことしてないのに何故か俺は追い詰められている。とりあえず話題でも逸らしておこうか。

「ほらほら、星空が綺麗だぞ?」

「お前、話題を逸らすのには無理があんぞ」

「ロウ、俺達に言っても分からないって思ったから、そうやって馬鹿にしてたんだね」

「いや、違うぞゴン!?」

「ひでーよなー、きっと俺たちの見えない所で馬鹿にしてたに違いないぜ」

「おいキルア!デタラメ言うな!ゴンも嘘泣きするな!」



あれから暫く馬鹿にしてたんじゃないのか見たいな、友達特有のふざけ合いのやり取りを暫く続けていた。こう言うのも、何だか悪くなかった。



いつの間にか眠ってしまった俺は朝になると起きる。というより、窓側に頭を向けていたから太陽光が眩しかった。外の景色を眺めていればゴンが目を覚ます。

「おはようゴン」

「……おはようロウ」

キルアとレオリオはまだ寝てる。クラピカはここにいないという事は顔でも顔でも洗いに洗面所かな。

「ロウこれからどうするの?」

「俺か?俺はゴンに着いて行くさ。目的もヴェルムケーヴを探すことだけど何一つ手掛かりないし」

「そっか。よろしくね」

「あぁ、よろしくな」

なんだから照れくさいのでベッドから降りると俺も洗面所に向かう。案の定、クラピカが顔を洗っていた。

「おはようクラピカ」

「あぁ、起きたんだな。おはよう」

「ゴンも起きてたよ」

なんだかソワソワするんだよな。理由は今日を最後に暫くは全員揃わなくなる。それが妙に寂しくて俺はソワソワしていた。多分、ゴンも同じ気持ちなんだろうな。

「気をつけるんだぞ」

「え、何が?」

「有名になればジェイドに追いかけられる。私が蜘蛛の手掛かりを探している時に、お前情報が万が一手に入ったら驚くからな」

「ははっ、じゃあ驚かすために有名になってやるぜ」

冗談交じりの会話をしていると洗面所にゴンも来た。

「おはようクラピカ」

「あぁ、おはよう」

俺は蛇口を捻り水を出すと顔を洗い、髪も水で流してスッキリする。タオルで拭けば、今日も一日俺の決まった顔が輝く。キメ顔をゴンに見せれば苦い顔をされた。

「レオリオみたい」

「全くだ」

鏡の前で顔をビシッと決めるとゴンとクラピカからシビアな意見を投げ付けられた。ゴンに言われるのは結構ショックが大きいぞ。




ひと段落ついて俺達は空港に着く。ロビーで立ち止まると俺たちは顔を合わせる。

「これからどうすんだゴン?」

レオリオは、これからのゴンの目的を聞く。やはりジンを探す旅に出るのかな?

「父親を探すのか?それとも故郷に?」

クラピカはそういうとゴンはポケットから何かを取り出し俺たちにそれを見せた。この見せたものは44番のプレート。つまりはハンター試験でのヒソカプレートだ。

「このプレートを顔面パンチのおまけ付きでヒソカに叩き返す!それをしない内は父さんの事もミトさんの事も後回しだ!」

なるほどなぁ。意志が固いというか単純に頑固というか……。まぁ、そうところ含めて俺はゴンを好きになったんだけどさ。

ん?ちょっと待てよ。こいつ、ヒソカが何処にいるのか知ってんのか?

「おい、お前はヒソカの居場所は分かってるのか?」

「あっ!!」

やっぱり何も考えてなかったか……。

「アホ……」

「やっぱりなぁ……」

そのゴンの様子にキルアもレオリオも分かっていたけど呆れている。俺は、そういうところ含めて好きだよ。……うん。

「私が知っているよゴン」

クラピカも同様の反応を見せていたが、口を開けばクラピカは知っているとの事だ。しかし、なぜクラピカが?

「え?本当?」

「あぁ、本人から直接聞いた」

あれ実はクラピカとヒソカってそういう関係なのか?もしそうなら、少し嫌だなぁ。

「9月1日ヨークシンシティで待っているとの事だ」

「ヨークシンシティだと?」

レオリオは何かを考えるように聞き返す。

「そこに行けばヒソカが……?」

「あぁ、間違いなく現れるだろう」

「でも随分と期間が空くな。半年以上あるぜ?」

俺がそう言えばゴンも頷く。それにキルアは「ヨークシンシティで何かあるのか?」聞けばレオリオはビンゴと言わんばかりに指を鳴らした。その様子だと何かありそうなんだな。

「おっ!世界最大のオークション!」

「おーくしょん?」

何だそれは。まだ人間界の事を知り尽くしてないから普通に知らない言葉もある。

「お前そんな事も知らねーのか?」

まさかレオリオに馬鹿にされる日が来るとはな。かなり心外だが知らないものは知らない。

「仕方ねーだろ。俺だって人間界の言葉頑張って覚えてんだよ。基本的な事ならまだしも、そんな名詞なんて覚えてねーよ」

「あぁ言われてみればそうだな。オークションってのはなぁ、欲しい物品があったら、欲しいもの同士で競り合うんだよ」

つまり金が多いものが商品を勝ち取るという事か。だけど、金額も考えておかないと多額で買い取る事になる。オークションって奥が深いな。

「話を戻すが9月1日から10日までは世界中の珍品、希少品、国宝級の貴重品が集まる。それらを目指して海千山千の亡者達が欲望を満たすためにやってくる。世界で一番金の集まる場所だ」

「幻影旅団もか……」

レオリオはそう言う。そう言えば、ハンター試験合格後にクラピカとラウンジでティーをしていた時に、そんな事を言っていたな。同胞の仇のため。その相手こそが幻影旅団だと。

「可能性はある。少なくとも関わりが深い連中は五万と来るだろう」

じゃあクラピカとは9月1日まで会わないかもしれないのか。この期間は仇の情報を得るのには十分な期間だしな。

「クラピカは、その期間まで幻影旅団の情報収集をするのか?」

「あぁ、キルアとも再会できたしな。これから本格的にブラックリストハンターとして雇主を探そうと思う。仕事の中で幻影旅団の手がかりも掴むさ」

「じゃあ少し寂しくなるね」

別れを惜しむようにゴンは言う。俺だってクラピカと別れるのは惜しい。良き相談相手だったし、何気に一番親密な会話をしている相手かもしれない。

「それじゃ、俺に故郷に戻るぜ。俺にははなから医者になるっていう目的があるからな。国立医大に受かればこれで馬鹿高い授業料は免除されるから、帰って猛勉強しねーとな」

ひと段落ついたと言ったレオリオは、ハンターライセンスをキラリと見せて言う。

こうやって見ればみんな夢に向かって前進しているんだな。俺もゴンと旅をする中でヴェルムケーヴを見つけ出さないとな。

「そうだな、次は……」


「9月1日ヨークシンシティで!!」

ここにいる5人は顔を見合わせて、右手を重ね合わせ約束した。
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