情報×専用×狩人の酒場
◆◇◆◇◆◇◆◇
もう朝か、何だかいつもより布団が暖かいな。ん?いくら何でも暖か過ぎないか……?
いや、この暖かさは俺だけのものじゃねぇぞ……?
ペラ……っと布団をめくり上げれば俺の大好きな人間がいた。
「え?」
状況が理解できないぞ。思い出せ昨晩を……。そうだ!確か薄暗い廊下で夜景を眺めながら考え事してたらゴンに声をかけられて……。
そうか、その時にもっと俺を頼りにしてよねってゴンに言われてだな。それで悩みが本当に消しとんじゃって、その後だ!
俺が一緒に寝ようとか言ってゴンをお持ち帰りしちまったんだ!
「それだけで終わってるはず。妙なことはしてないはずだ」
そそくさベッドから降りれば顔を洗いに行く。ほんと、自分のやったことだけど、どさくさに紛れて何やってんだか…。法に触れるようなことはしてない筈だから大丈夫だと思うけど。
スッキリすることも含めて顔を洗い部屋に戻る。
ベッドの方をチラリと見ればゴンはまだ眠っているのが確認できた。可愛いけど、その愛くるしさが俺を大きく狂わせている。間違いなくな。
「ん……あれ?」
ベッドからゴンが起き上がると辺りを見渡していた。それと目が合うと一瞬、硬直したようにピタッと動きが止まった。
「お、おはようロウ……」
「おはようゴン」
今、一瞬何で俺が居るんだって思ったろ。
ゴンは苦笑いを浮かべながらベッドから降りると「んじゃ、俺顔洗ってくるね」と言って洗面所に向かっていった。なんだ、その気まずのうな態度は……。
そうだ、朝ごはんても作っておこうかな。
部屋にあった冷蔵庫を開けてみるもののドリンク以外は何も入っていない。なぜ?いや、最近はミトさんがいたから自炊なんてしてなかったけど。
「そっか、ここ飛行船だもんな」
食材なんて買っていないからあるはずがない。ここが昨日乗ったばかりの飛行船であることを忘れていたよ。
パタンと冷蔵庫を閉めてゴンが戻ってくるのを待つことにするか。戻ってきたら船内のレストランで朝ごはんでも食べに行こう。
その後、ゴンが戻ってきたらキルアとも合流し朝食を済ませて目的地に到着した飛行船から降りた。
目の前に広がるのはリッチなマンションは高層ビル。こりゃすげーな。
そこからは徒歩で目的地に進むらしい。
「取り敢えず兄貴が伝書鷲でメッセージ送ってくるから、指定の建物の屋上に向かうぞ」
「おう、やっぱり結構な距離があるのか?」
「いや、ここからならそう遠くないと思うぜ」
地図で道を確認しながらキルアは答える。まぁ、キルアがそう言うなら割と近いんだろう。
チラッとゴンの方に視線を向ければ俺と目があう。実のこと言えば、今朝からやたらとゴンに視線を送られてる気がするんだ。
「どうした?」
「ロウの表情、やっと元に戻ったと思って」
やっとと言うことは結構前から思いつめた顔でもしてたのか俺……?確かに、くじら島にいる時は自分の記憶の手掛かりを血眼で探して、記憶を取り戻さないといけない責任感も感じてで生きた心地は無かったけど……。
いや、もう一つあるな。ゴンの好きな奴が気になり過ぎてるせいかミトさんに『眉間にシワ寄ってるわよ』なんて言われた始末だしな。
「言われてみれば…最近のロウの顔、最初にあった頃とは別人みたいになってたしなー」
うわ、キルアにまで思われてたのか……。まぁ、ゴンに面と向かって笑っていてなんて言われて、難しい顔する訳にはいかないしな。
俺の第六感も今は笑っていて良いって伝えてきてる気がしたし。
「ちなみに……いつから?」
「えっと……くじら島に来てすぐ……かな?天空闘技場に来て暫くしてからも怪しかったけど」
あぁ、確かに天空闘技場ではゴンの好きな奴って誰だろうって考え過ぎてて顔が怖かったのかもしれない。
くじら島に来てすぐはガルの残したメッセージを見て、俺には何らかの使命があるのだと感じて荷が重くなってきて。あと、ガルの墓を無断で荒らした罪悪感も少なからずあったな。
ガルが俺だとミトさんに言われてからは、その罪悪感は一気に消え去ったけど。言っちゃえば俺の墓だろ?
代わりにミトさんに記憶を取り戻して会わなきゃって言う責任を背負ってしまった訳だが。もちろん、ゴンの為にも記憶を取り戻さなくちゃならなくて……。
ハンター試験受けてた時も記憶を取り戻した後の自分は俺で居られるかってことで悩んではいたけど。逆に言えば、これだけだったからな。
「言われてみりゃ、確かにゴンの言う時期くらいに色々抱えてたな」
「んでも、俺的にはロウが大人しくて楽だったんだけどなー」
「それ、どういう意味だキルア」
まるで苦悩してた俺を惜しむみたいな言い方しやがって。確かにハンター試験の時は若干の暴走を起こしたことがあるけどよ。
「俺はロウのこと頼りにしてるよ?俺ってばロウに何ども元気付けられちゃってるし」
「それはロウが過保護なだけなんだと思うけどなー」
いや、確かに過保護だとは思ったことがしばしばあるけど……そんな含みのある視線で俺を見て言うことはないだろーが!
「ま、俺もゴンと同意見だぜ?ロウが柄にもなく気難しい顔してたらロウじゃねーみたいで違和感マックスだし」
あれ……これはツンデレかな?まさか、キルアにそんな事言われるとは思わなかっただけに意外だ。キルアじゃないみたいで違和感マックスなんだが。
指定された建物の屋上に着けば、ゾルディック家の伝書鷲がメッセージを脚に着けて飛んできて、キルアはメッセージが入っているビンを手に取った。
伝書鳩じゃなくて鷲なんだな。何ともゾルディックらしいな。
「アドレスさえ分かれば専用サイトにアクセスできるぜ」
「そこでグリードアイランドについて?」
「一体、どんな秘密が隠されてるんだろうな」
ちょっと、そのサイト俺も興味あるな。俺の情報とか漏れてる可能性は高い。
まぁ、漏れてたところでどうにもならないと思うけど。
ネットカフェのような店に入れば、先ほど受け取ったメッセージに書かれたアドレスとハンター証を用いて専用サイトにアクセスをする。
「でたぜ」
キーボードで入力したキルアはサイトにアクセスした。ディスプレイには狩人の酒場と表示されている。ログインにはハンター証を用いるようだ。
「ゴン、ライセンスナンバーとハンター証を」
キルアがそう言うとゴンは不慣れな手つきでキーボードでナンバーを入力する。カードリーダーにハンター証を読み込ませれば画面が変わった。
ディスプレイには酒場のような絵が映し出されており、そこにいる人が何かの情報を握っているのだろう。
「いろいろカーソル合わせてみろよ」
ゴンはバーテンダーにカーソルを合わせれば『どんな情報がお望みだ?』とコメントが表示され、このバーテンダーが情報屋だと判明する。
そこからゲーム欄のグリードアイランドについての情報を要求するが、2000万ジェニーが情報提供料として必要となった。
「……情報だけでも2000万も必要なんだなぁ」
ボソッと呟けばキルアに「なんせ58億のゲームだからな」と返される。そう考えたとき、2000万という金額が安く感じてしまうのがおっかない。
「なんか金銭感覚マヒしてくるなーー」
ゴンは支払い手続きを済ますと、バーテンダーは情報を提供し始めた。内容は驚くもので念能力者が作ったゲームであるということ。
製作者の目的は不明で、スタートするとゲームは念を発動するらしい。そのゲームは、ゲームの中にプレイヤーを引きずり込むようで危険が伴うと言えるだろう。
他にも様々な情報があったが、どれも危険を感じさせるような情報ばかりだった。今になってハンター専用のゲームという理由がわかった。
「本当かな」
「ハンターサイトの情報だぜ。まず間違いない」
ゴンはさらに情報を見ていくとヨークシンのオークションについての情報も語られていた。現在までに7本のグリードアイランドが競売申請登録されている模様。
最低落札価格は89億ジェニー。
「俺たちの全財産合わせても足りねーじゃん!!」
思わず声を荒げてしまう。ゴンもキルアも同様の反応で頭を抱えていた。やっぱり、今の持ち合わせの倍は必要だよな。
「ねぇ、これって俺達も参加出来るのかな?」
「あ!?見ただろ最低ても89億!!今のままじゃ参加しても無駄だ!!」
俺もコクリと頷けばゴンは首を横に振った。
「買うほうじゃなくて売る方でだよ」
成る程な。それで80億近く稼げば十分に戦える金額になるだろうな。だけど8億もどうやって……。
「俺達もお宝探して競売に出すんだよ!」
ゴンの提案に俺もキルアも息を飲んでしまう。上手くいけば意外と80億くらいなら稼げるかもしれない。けど、世の中そんなに甘いもんじゃない気がする。俺の勘だけど……。
「取り敢えず俺たちの8億を元手に増やせるだけ増やしてみるか。最低でも150億くらいないと心許ないもんな。
それに失敗しても、ロウの80億があればまだ何とかなるはずだしな」
「おい、いつから俺が80億も出すって言ったよ」
あくまで50億なら出すって言ったのに俺から全財産奪うつもりか……。
いや、まぁ金の使い道がピンとこないからいいか。念能力者の作ったゲームと言うのも気にはなるし。
「ん、どしたゴン?」
やけに真剣にディスプレイを見るゴンに、俺も覗き込めば面白い事が書いてあった。
総合入手難易度__G(易しい)
だから、こんな真剣な顔で見てたのか。所詮は金で手に入る難易度ってことなのか。俺は俺が調べるべき事を調べておくか。ゴンの隣の席に座れば、その席のパソコンからも狩人の酒場へアクセスして自分のハンター証を用いて入った。
(生物の欄から……危険生物……お!あったあった天狼の情報もやっぱり載ってるか)
情報提供料は1000万ジェニー。意外と安値で扱われてるんだな。大した情報が載ってないだけかもしれんが。
支払いを済ませれば情報を見ていく。
地球外生物と噂され、おおいぬ座のシリウス付近の惑星から贈られたと言われる動物。
人間を守るように、人間の指示を受けるように命令されており安全だと思われていた。
1902年5月1日にとある事が念能力者の能力で発覚したらしい。天狼が地球に贈られた真の目的。
(真の目的?人間を守る為じゃないのか……?)
画面をスクロールさせていけば目を疑うような事が書いてあった。
人間は守る為でも実験材料として保護している事が判明した。シリウス付近の惑星に住む異星人が、それを目的に天狼を贈ったと考えられる。
しかし、今現在まで地球に天狼を贈った異星人が攻め立てた事は一度も無いため、その星が既に滅びた可能性も考えられている。
以上のことからDASは天狼を第一級隔離指定種に値するとハンター協会に申し立て、申請が通り、DAS代表取締役ジェイド=エクイト氏による天狼虐殺が始まった。
その際に、念能力者が天狼を絶滅させまいと100年後の世界に天狼を送った者も居ると言われている。
現に、ここ近年で天狼の発見報告が数件報告されており怪盗ルミナがその代表例だろう。
天狼の生態については、地球に贈られた個体は5匹〜10匹で一つの群れを形成しており、当時の国は最低でも軍事用に1つの群れは確保していた。
群れの構成は隊長とボス不在時の二番隊隊長と、その他で構成されていたと言われる。その他は、群れによって役職が異なっており、確かな情報は残っていない。
隊長クラスの実力は小さな島そのものを破壊する力を持っており、二番隊隊長もそれに近い力を持っているとされている。
情報はここまでで俺についての事は載っていなかった。と言うよりも俺を天狼と知る者が、わざわざ外部に情報を漏らすメリットがないだけの様な気もするが。
「はぁ……」
横目でチラッとゴンを見ていると上手くいっているのかニヤリとした表情でパソコンをカタカタ操作している。
案外金儲けって簡単にいくもんなのかな?まぁ、キルアとも相談しながらやってるみたいだし大丈夫そうだけど。
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