予想外の年明け
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今日は12月31日。とは言っても、あと数分で今年も終わるのだ。自宅で一人で年越しする予定の俺はコーヒーを飲み静けさ余る部屋で息を吐いた。
息を吐いたことには意味があった。実は先日ゴンの奴と酷く喧嘩してしまった。と言ってもゴンは怒ってるんじゃなくて悲しんでるかもしれない。原因はクリスマスにあって、ゴンから貰ったプレゼントを目の前で破壊してしまった。
貰ったものはマグカップだったんだ。キツネグマのイラストが入った可愛らしいマグカップ。俺の家でクリスマスを二人で過ごし、夜も更け冷えた時に貰ったマグカップにコーヒーを注いだら、ヤカンがぶつかってしまってな…。
笑って誤魔化しだらゴンが酷くショックを受けてしまって、そのクリスマスは台無しだ。それから、しばらく沈黙が続いて、時間も時間という事でゴンは帰ってしまった。それから一言も話せてない。
俺のこと嫌いになっただろうな…。その時に壊したマグカップは何とか修復した。けど、割れた形跡は一目瞭然だし、俺って本当に駄目だな。
今飲んでるコーヒーも、修復したマグカップで飲んでる。水漏れはしないから使用する分には問題ないんだけどさ。
「……ゴン。……ごめんな。」
「別にいいよ。俺別に怒ってないから。」
……え?いやなんでゴンの声がするんだ?そうだ、これは幻聴だ。許して欲しいが余りに幻聴が聞こえるんだ…。
「ねぇってば!!」
両肩をゴンに掴まれると、後ろに倒され真上にはゴンの顔が見えた。なんで…いるんだ…?
「ど、どうやって…?」
「合鍵貰ったじゃん。それより、直してくれたんだ。」
素人が直したのが丸わかりなマグカップを見たゴンは微笑んだ顔で言う。もしかして、もう許してくれたのか…?
「ゴン…ゴン!!」
「っうわっ!?な、なんでそんなに泣いてるの!!」
「俺ゴンにマジで嫌われたのかと思って…。」
「大好きに決まってるじゃんか!嫌いになる筈ないよ!」
ゴンは真剣に言ったつもりだけど、次第に言ったことの熱愛振りに気づいて顔が熱に染まっていく。
「…俺も大好きだ。そのマグカップごめんな。」
「ロウらしくないから元気出してよ。」
俺の恋人は世界一優しいかもしれない。自信持って言えるよ。子供っぽいけど優しくて、優しい時は大人よりも大人っぽい。
「愛してるぜゴン。」
真上にあるゴンの顔まで頭を上げて、柔らかなリップ音を奏でてみせた。起き上がってゴンを見てみれば真っ赤な顔で俺を見ている。
「…ず、ずるいよ!いきなりするなんてさ!」
「ど、どうしてそこで怒んだよ!?お前の沸点可笑しくね!?」
悪くない一時。クリスマスは駄目だったけど年明けは良いスタートだったと思う。こういう風に笑ったり怒ったり出来るのは本当に仲がいい証拠なんだな。
「んっ!?」
言い合いになり唐突に俺に近づいてきたゴンは背伸びして俺に口付けをした。あまりに唐突だったから心臓が妙な跳ね方をした。
「…仕返し!これでおあいこだね。」
「恥ずかしい。」
「えっ、だってロウからしたじゃん!」
「俺はいいの。まぁ、ゴンからの時も良かったかな…?背伸びして可愛かった。」
ゴンのこと言えないくらい俺の顔も真っ赤だけど、ゴンは俺の言葉を聞いて顔を背けてしまった。
「今年もよろしくな。」
「うぅ…うん。よろしくね…?」
【終われ】
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