▽ 乾坤一擲 1/2
レベル:★★★★★★★★★★
記入者:アマネセル
「これで最後にします」
ライナルト「おはよう!皆、体調は大丈夫か?」
フローラ「絶好調よ。今なら何でも出来るわ」
リンアイ「コンディションがいい感じだ。任務が入って…るね」
サーレス「
乾坤一擲ですね。マルファスとの最後の戦い、心して向かってください。失敗は許されません。世界の命運は貴方たちにかかっています。
貴方たちなら必ず、この作戦を成功させると信じています。頑張ってください」
ケシェット「乾坤一擲…負けられない戦いってことか」
リーフ「よ、よよししし!!オレたちが世界を救うぞ!!負けてやらないぞ!!!」
シエテ「司令室…今回で最後になると思うと…」
《司令室》
リンアイ「失礼します」
フローラ「あら、エンパスもいるわ」
エンパス「…来たか」
アマネセル「先日はお疲れ様でした。掲示板に書いたとおり、今回で全てを終わらせようと思っています。その前に、マルファス……もといルシアノについて、貴方たちに改めて話さなければなりませんね。彼の妹として話されては困る内容などはありますか?」
エンパス「……問題ない。好きなだけ話せ」
アマネセル「そうですか。では…。
ルシアノは彼の真名です。ですが彼はルシアノの名を拒絶していました。記憶と共に、自らの真名を忘れたのでしょう」
ケシェット「記憶を失っている、という話だったね。覚えているのは、この世界を厭悪する理由のみ、と」
ライナルト「名前まで忘れて、拒絶するほどになるなんて。マルファスの名は自分で決めたものなんだろうか」
フローラ「自分で決めるってなるとちょっと情けないわね…誰かにつけてもらったんじゃない?それこそアスファルとか」
ライナルト「…名前似てるんだよなあ2人……」
アマネセル「私は幼少の彼を少しの間だけ保護したことがあります。彼は酷い虐待を受けて育ちました。私が保護した当時は酷い人間不信でしたが、次第に私の元が安全であると認識すると、少しずつ心を開いてくれたのです。
…ですがある日、彼は姿を消しました。聞く話によると、禁忌に手を出し、冒険者に封印されたそうです」
エンパス「その封印がアスファルによって解かれた。その後はカラヴィヤスを襲撃し、AASO本拠地を奪った。そういった流れになる」
リーフ「アスファルが解いたの〜!?余計なことしやがって!」
リンアイ「これ以前にも禁忌に手を出していたのか。懲りない奴だな…よっぽど世界が憎かったのか?」
シエテ「そんなマルファスの封印を解くぐらいですから、アスファルも相当憎悪を募らせていたはずですね。もう話は聞けませんが」
エンパス「あれから80年…随分と下準備に時間がかかったものだな」
アマネセル「機会を伺っていただけで準備は済んでいたかもしれませんよ。あるいは、刺客を送り込まれて焦ったか」
フローラ「後者だったら情けなさを極めてるわね」
ケシェット「さあどうだろうね? そういう風に見せているだけかもしれない」
リーフ「ダサくないといいな」
ライナルト「そうだな」
リンアイ「何故あいつは記憶を失くした? 何で自分の名前を受け入れられないんだろう?」
アマネセル「封印された折に何かがあったかもしれません。ただ、彼を封印した冒険者はもうこの世にはいないのです。当時は今のような力を持っていなかったため大きな戦いにはならず、記録にも残されていないようです」
シエテ「その冒険者も、まさかこうなるとは思っていなかったでしょうね…尻拭いと考えると気分は良くないですが、僕らに出来ることをやるまでですね」
フローラ「ほんとよ。尻拭いさせられてるわよ」
ケシェット「まあ今さら何言っても引き返せないね。乗った船だし」
ライナルト「今回で全部終わらせるんだ。世界のためにも」
アマネセル「それでは本題に移りましょう。前回の任務から数日が経ちましたが、花園にも姿を見せません。ルシアノが逃げた先はおそらく、以前のAASOの本拠地…今の彼の本拠点。これより貴方たちには、花園よりも向こう側にあるそこへ向かっていただきたいのですが――――」
突然、司令室の明かりが全て消えた
ライナルト「えっ!?」
リーフ「のわあああーーー!!?!?真っ暗!!!!!」
フローラ「な、何よ!?」
シエテ「落ち着いて! 攻撃が来るかもしれません!」
リンアイ「攻撃が来る!?どこだ…!」
リーフ「悪意センサーリンアイ先生!!何か来てますか!?」
リンアイ「わからない!!」
ケシェット「構え…いや、防御姿勢の方がよさそうだ!備えよう!」
シエテ「何が起こって…いえ、静かにしましょう。わかることがあるかもしれません」
……
…………
(パチッ)
ライナルト「…あ。ついた」
リンアイ「…何もわからなかったな」
フローラ「な、なんだったのよ…何か変わったことは?」
リーフ「(キョロキョロ)………あっ!?」
エンパス「! アマネセルがいない!」
ケシェット「一体何が…!?」
シエテ「アマネセルさん!?どこへ!?」
リーフ「まさか誘拐!?いやーーーッ!!!!!」
フローラ「アンタが喚くんじゃないわよ!!」
ケシェット「まさか…」
「ククク……」
アマネセルのいた場所に、マルファスの姿が浮かんだ
ライナルト「マルファス…!!」
エンパス「! 貴様…何をした」
マルファス「何をした? 見ての通りだ。わざわざ聞くことでも無かろう」
エンパス「あれほどの醜態を見せておいて、よくも姿を現せたな。後が無い状況でまだ足掻きたいか」
リーフ「そーだそーだ!!さっさと観念しろー!!」
フローラ「ホント、しつこいわね。粘着質な男は嫌われるわよ」
シエテ「元から嫌われてると思うんですけど…」
マルファス「後が無いのは貴様たちも同じではないか? 世界は闇に包まれ、瘴気に覆われている。このままだと1週間と経たずに世界が滅ぶだろう。貴様たちの労力も徒爾に終わることとなる」
リンアイ「そんなことはさせない。だったらあんたの苦労を無駄にしてやるよ」
マルファス「面白い。正義の味方を名乗る者たちはそうでないとな」
ライナルト「正義とかいうより、お前のやってることが非道すぎるだけだ!アマネセルさんをどこに、何が目的で浚ったんだ!教えろ!」
マルファス「アマネセルを、世界に光を取り戻したくば我が城まで来い。無論、学園からの客人、貴様たちもだ。だが一つ、我が城へ来る前に、
終わりなき闇の洗礼を受けてもらう」
シエテ「終わりなき、闇…?!」
マルファス「貴様たちと遊ぶのはこれで最後にしてやる。アマネセルもそのつもりだったのだろう? 貴様たちが勝てば私はおとなしく身を引こう。だが私が勝ったその時は…わかるな?」
ケシェット「…わかっているとも」
マルファス「世界は生きるか、死ぬか。花園の奥…
暁の城で待っているぞ」
マルファスの姿は見えなくなった
フローラ「…相手もそのつもりだったのね。手札がもうないのよ」
リーフ「こんにゃろ〜〜〜〜………慈愛の女神アマネセルさんを……許さねぇぞ…!!」
シエテ「落ち着いてください。一歩間違えれば身を滅ぼすことになります。そして世界も」
エンパス「…
終わりなき闇。ティヴァウムの花園の先にある、辺り一面暗闇に包まれた迷宮だ。奴の脅威が始まってから突如現れ、その先への行く手を阻んでいる。今まではどうしても開かなかった迷宮だが、そこの封印を解き、自分の根城に人を招き入れるとは…奴も相当追い込まれているな。
私も同行する。アマネセルと奴の言うとおり、これで全てを終わらせるんだ。絶対に負けられない…大勝負といこうじゃないか」
リンアイ「…ああ。もちろんさ」
ライナルト「アマネセルさん…必ず俺たちが止めてみせます!」
終わりなき闇の封印が解かれました!
★ 終わりなき闇 ★
───そこにあるのは、深い深い闇だけ
《終わりなき闇『愛おしき者たちよ』》
ライナルトたちは明るい場所に出てきた。
目の前には祭壇のようなものがある。
リンアイ「ここだけ明るいな…何だろう」
フローラ「なんかちょっと、凄い多くの気配がするんだけど。気のせいかしら…」
シエテ「……僕も感じるということは絶対気のせいじゃないです。何かいます」
リーフ「…なんか聞こえない?」
謎の声「―――マルファスに歯向かう者。我らの望みを聞き入れてはくれまいか」
シエテ「ヒイッ!!?」
フローラ「ぎゃっ!?」
ライナルト「な、何者だ!」
老夫の声「痛い、苦しい、助けてくれ、ここから出してくれ」
少女の声「冒険者になりたかったよう…」
ケシェット「あの声に混ざって、いろんな声が聞こえてくる…奇妙だな」
リーフ「フローラちゃんオレの服に隠れても守れませんよ…」
フローラ「このモフモフ防御力高そうだもの!!!」
謎の声「―――我らを倒し、かの者の支配から我らを解放してほしい」
女の声「世界がこんなに暗くて重たいなんて…」
少年の声「怖いよ…助けて…助けてお母さん…」
謎の声「―――我らはマルファスの城の鍵を持つ。鍵がなければ、あの城には入れぬ」
男の声「帰りたい…家族のもとに…」
老婆の声「何故貴方たちは生きているの? 冒険者でもない貴方たちが、何故あの驚異を乗り越えられたの?」
謎の声「―――望みを聞き入れてくれるのなら、鍵を渡そう。良いか?」
『はい』
『いいえ』
『いいえ』
ケシェット「心の準備が必要な者が2人いる。ちょっと待っててもらっていいか?」
謎の声「―――我らはここで待っている」
リーフ「大丈夫?」
シエテ「過呼吸起こすかと思いました………どうやらあれを倒さないと進めないみたいですね…」
ライナルト「マルファスの支配から解放してほしい…か。アレは何なんだろうか」
ケシェット「色んなものが凝縮された何かに思えるな。自制してるように見えるけど、それがなければただの脅威だろうね」
リンアイ「そうだな。あたしの悪意センサーが反応してる。悪意というか、怨霊というか」
フローラ「もう自分で言っちゃってるわこの人。でも実際正しいのよね、そのセンサー」
ライナルト「それで、2人は大丈夫?」
シエテ「あと10回ほど深呼吸すれば多分」
ケシェット「この世界において幽霊苦手なのも困ったものだな」
《再度話しかける》
謎の声「―――我らの望みを聞き入れてくれる気になったか?」
『はい』
ライナルト「ああ。それでお前たちが救われるなら!」
▼ENEMY▼
封じられし魂の群れ Lv50×1
<戦闘勝利>
魂たちは散り散りになっていく。
祭壇の前に何かが落ちている…。
暁の城の鍵を手に入れた!
リンアイ「これを使えば城に入れるんだな」
リーフ「……さびっさびやな」
ケシェット「磨けばピカピカになるよ」
フローラ「使われてこなかったってことかしら。マルファスはどうやって出入りしてたの?」
シエテ「ヒント:マスターキー」
ライナルト「あの魂の群れ……どうか安らかにお眠りください…マルファスは俺たちが食い止めます!」
★ 暁の城 ★
天を貫く山に聳える城、元AASOの本拠地。
終わりなき闇を超えた冒険者は未だかつて存在しないため、全てにおいて未知数。
《暁の城 突入時》
ライナルト「ここが……空気が重い…」
リーフ「なんか物理的に重いカンジするな…動くのが億劫になるぜ…」
エンパス「……流石は、瘴気の持ち主の根城だな。外でもないのに凄まじい瘴気だ」
シエテ「花園よりも濃い瘴気が?」
フローラ「ええ。なんか気持ち悪い気がするもの。長時間いるのは危ないわよ」
エンパス「お前たち、当然だが石はあるな? それを手放す、あるいは石が守っている範囲を抜けた瞬間、死ぬと思え。絶対に勝手な行動をするな。行くぞ」
ケシェット「1個につき半径5メートルだったね。俺たちのとエンパスのとで石は2個あるけど、エンパスはよく動くから、俺たちはなるべく離れないようにしよう」
リンアイ「エンパスの動きについていける人が一緒に行動すればいいんじゃない?」
シエテ「素早さでいうならフローラさんなのでは?」
フローラ「え、私?あの人かなり予測不可能な動きをするんだけど……同じ動きができるアンタが行けば?」
リーフ「オレぇ!?やだやだ一緒に行こうよ〜〜〜!!」
ライナルト「石がもう1個あればよかった気もするけど、貴重なものだからな。それにもう時間もない。リーフとフローラは頑張ってエンパスについて行ってくれ」
リーフ「ふえぇ」
フローラ「変な鳴き声あげるんじゃないわよ」
ケシェット「ここに来てもいつも通りか。……まあ、変に緊張するよりかはいいんじゃないか?」」
シエテ「そうですね」
《暁の城『その声は脆く』》
ライナルト「3階……」
リーフ「ボス級に強いモンスターがゴロゴロいるこの城なに?構造複雑すぎん??帰りたいんだけど」
リンアイ「全部と戦ってたら骨が折れるな…こんなのを自分の城に住まわせてるマルファス、モンスター界のカリスマか」
フローラ「何よそれ」
シエテ「…一つ聞いていいですかね。君は、保護されなかったんですか?」
エンパス「家を出なかったからな。ルシアノはある時突然行方不明になった。その先で保護されたんだろう。だがアマネセルに心を開いても、奴の憎悪が消えることはなかったんだな」
ケシェット「幼い頃に受けた心の傷は、大人になっても消えない。そう考えると、それを象徴するみたいな姿だよね、彼は」
リンアイ「…そうか。2人きょうだい…保護されたのはマルファスだけ。エンパスはずっと…」
フローラ「エンパスも一度は世界を滅ぼしかけた身。…同じだわね、心の傷は消えないのよ。一生ね」
エンパス「虐待を受けていたのは…世界を憎んでいたのは私も同じ。その後の境遇が少し違っただけだ。私は……昔は散々後悔したが、今の行動全てに後悔はない。先へ急ごう」
ライナルト「境遇が違った、か……救われたか、そうじゃないか、ってことかな。エンパスは仲間たちに助けられたけど、マルファスは自分からいなくなった。アマネセルさんのもとから。助けを求めていない?」
リーフ「アマネセルさんに心を開いてたのに?恩知らずか?」
ケシェット「いずれ世界を滅ぼす、というのが最初から目的だったらどうだろうか。その心の傷を形成するものが、そもそも世界への憎悪だったら。助けを求める必要もないし、助けられたくもないかもしれない」
シエテ「そうして一人になるんですね。アスファルのことも自分で殺してしまったし…こちらから歩み寄っても彼は離れていくだけです。歩み寄れないなら敵対する…今はそうするしかありません」
フローラ「アマネセルはマルファスを更生させるつもりみたいだけど、エンパスはどうかしら。刺し違えても食い止める覚悟、ねえ」
リンアイ「説得が無理なら殺すしかないって思考」
リーフ「それリンアイ先生じゃん」
リンアイ「あたしはそこまで過激じゃない」
ケシェット「全ての者に幸が与えられないならば…ってマルファスは言ったけど、それって幸せじゃないのは果たして自分だけなのかな」
シエテ「どういう?」
ケシェット「妹…エンパスは幸せだろうか?同じ屋根の下で虐待を受けて育った身。救われたとはいえ贖罪のために粉骨砕身して生きてるわけだろう?自分も妹も幸せじゃないと嫌なんじゃないかな」
フローラ「アイツがそんなことまで考える?アンタが考え過ぎよ」
リーフ「そうだぞワカメ先輩。マルファスは自分から離れていくし、挙句の果てには寝てる間にアマネセルさんのこと忘れるしな!」
ライナルト「今は真名を受け入れられないぐらい世界が憎いってことか…?そんな世界に妹を生かすのがイヤだとか」
シエテ「シスコンですかね」
リンアイ「封印されたときに何があったか気になるな。でも本人覚えてないし、封印した冒険者もいないし」
フローラ「どうでもいいけど、そんな話をしてる間にエンパスがあんなに先にいるわよ」
リーフ「いや〜〜〜〜ん待ってくださ〜〜〜〜〜い!!!!!!」
ケシェット「迂闊だったね。急ごう」
《暁の城『光亡き者の玉座』》
城の頂上にたどり着いた。
窓から見える空は暗く、花園とは比べ物にならないほどの瘴気が渦巻いている。
もちろん、この場もとてつもない瘴気だ。
黒く燻された玉座には、マルファスが座っていた
ライナルト「…マルファス。来たぞ」