▽ 機密作戦
ライナルトたちは顔を見合わせた
連れていきますか?
『いいえ』
→『はい』
ライナルト「…行こう。一緒に、マルファスを止めるんだ」
フローラ「ちょっと待ってもらっていい? アンタが勝手に決めてんじゃないわよ」
ライナルト「だけど、エンパスにとって大事なことだ。俺は連れて行きたい。皆はどう思う?」
シエテ「気持ちはわかります。でも無理をさせてまた傷口を悪化させたり、新たに怪我を負われたりされると…」
ケシェット「そうさせないのが俺たちの役目、そうだろう? 兄を止めたいっていう気持ちはが凄く伝わってくる。尊重してあげたいかな」
リーフ「自信ないけど、皆がいれば安心だな!」
フローラ「自信ないなら心配だわ。もっと気合い入れなさいよ」
リンアイ「あたしはどっちでもいい。マルファスを止めるだけの話だから」
シエテ「…そうですね。守るものを守れてこそ、冒険者です。僕らはきっと試されている」
ライナルト「エンパス。一緒に行こう。俺たちがいるから大丈夫だ」
エンパス「……いいのか、本当に」
アマネセル「皆さん。気を付けて行ってきてください。頼みましたよ」
《外》
リーフ「またあの花園に行くのか…いっぱいカラスがいて、猛毒の瘴気まみれの………」
ケシェット「どうしてあの花園を猛毒の土地にしてしまったんだろう。許されるなら話を聞いてみたいな」
シエテ「許されないと思います」
リンアイ「これからどうする? 何か対策していくべきだよね」
エンパス「以前も言ったが、瘴気の根本は花園にある。そして瘴気の成分は…奴の魔力だ。何も対策をせずに向かうと勝ち目はない。これからベリニル大峡谷のエルフに会う。アイツは瘴気の対策を知っているからな」
ライナルト「ベリニルの…あっ、アーノックさん!」
フローラ「そういや湧き水がどうのこうのだったわね。対策ができるってのなら、さっさと行くわよ」
《ベリニル大峡谷》
エンパス「おい、いるか」
ケシェット「それにしてもここは足場がないなぁ…」
リーフ「ワカメ先輩浮けるし問題ないじゃん」
シエテ「どうしてここを住処に選んだんでしょう」
アーノック「なんだ。傷は癒えたのか」
エンパス「いや。だが相手は待たない。そうだろう?」
アーノック「…そうだな。暗夜遺跡……花園に向かうのか?」
エンパス「ああ。そこで奴と戦う。花園の瘴気を少しでも打ち消し、奴の弱体化を狙っている。何か方法はあるか?」
アーノック「…………成る程。…俺は魔術に詳しくはないが、瘴気が魔力なら、正反対の性質で相殺すればいい」
ケシェット「えっと、つまり?」
アーノックに瓶を渡された
アーノック「この瓶を満たすぐらいここの水を汲んで、クレールスに会いに行け。マルファスの魔力は邪悪そのもの。それと正反対といえば……あとはわかるな?」
フローラ「なるほど、この手に強いわけね。ありがとう、感謝するわ」
アーノック「礼には及ばない。脅威に真っ向から立ち向かう者に協力するのは、冒険者として当然のことだ。さあ、行け。霊園を訪ねれば早いだろう」
エンパス「クレールス…アニマか。アイツに会うのは少し気が引けるが…行こう」
ライナルト「ありがとうございました。クレールスさん…この水をどうするんだろう」
リーフ「ハアハア…クレールスさん…………貴方の笑顔が…見たい……………」
フローラ「急にキモヲタになってるわね。ヲタクはマニアコだけで十分よ」
ケシェット「それはマニアコに失礼じゃないかなぁ?」
《アレーン・カドリー霊園》
リーフ「クレールスさぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああん!!!!!!!!!」
リンアイ「霊園では静かに」
霊園にたどり着いた。
ライナルトたちはクレールスを見つけた
クレールス「…!! 生きていらっしゃったんですね…! 貴方のことはずっと心配でした。ご無事で何よりです」
エンパス「……お前は相変わらずだな。何の因縁か、私の兄が以前の私と同じことを考えている。スウィフトに聞けば、これを持ってお前に会えと。ティヴァウムの花園…そこの猛毒の瘴気をどうにかしたい」
クレールス「……まあ、そうなんですか………わかりました。その水、少し貸していただけませんか?」
ライナルトたちは瓶をクレールスに渡した。
クレールスは瓶を開け、一粒の涙を落とした。
瓶の中が淡く光り出す
ケシェット「うわ。見てるだけで心が穏やかになるスゴイ物が出来た。直視しすぎると堕天使じゃなくなりそう」
ライナルト「翼が白いケシェット?見てみたいかも」
フローラ「違和感しかないと思うけど」
クレールス「…はい。出来ました。湧き水の効力もあって、極めて強い浄化作用を持つものになりました。瘴気の脅威がどういうものかは私にはわかりませんが……使い方は自由です。名付けるならそうですね……破邪の聖水、といいましょうか。どうぞ、持っていってください」
破邪の聖水を手に入れた!
エンパス「…感謝する」
クレールス「貴方たちの無事を祈ります。どうかお気を付けて……」
シエテ「…そうか、エンパスにとって2人は同期なんですね。世間は狭い…」
リンアイ「ありがとう。破邪の聖水…どう使えばいいんだろう」
フローラ「あんなに広い場所だもの、一気に使った方がよさそうよね。回りの瘴気に搔き消されないように、もったいぶらずに全部使うわよ」
シエテ「僕の回復魔法も少し加えておきますか…」
ケシェット「大丈夫?濁さない??」
リーフ「オレはクレールスさんに会えて元気いっぱいになったぞ!!!もう何も怖くないさ!!!行くぞ!!!世界を守るために!!」
ライナルト「モチベーションが高いのはいいことだな。行こう!」
《ティヴァウムの花園》
ティヴァウムの花園にたどり着いた。
リーフ「やだ…来ちゃった…なんか前より気持ち悪い…」
フローラ「ええ、わかるわ。瘴気の濃度が増してる…あんまり喋らないわよ」
ケシェット「そうだね。さて…いたね。2人とも」
アスファル「あらっ! また懲りずにやってきたのだわ! それもこの地。ここであたくしたちと対峙するのがどれほどのものなのかわかっておいで?」
ケシェット「十分わかっているよ。それでアンタたちは、此処でしか勝てないから俺たちを待っていたんだろう?」
アスファル「生意気な口を聞くんじゃないわよ。貴方たちだって個人では何も出来ないくせに」
マルファス「策に乗せられるな、アスファル。…客人。改めて貴様たちをこの地に歓迎しよう。誰もが生きてたどり着けなかった死地へ、よくぞ」
リンアイ「褒めてくれるのは悪役の典型的な形だね」
ライナルト「嬉しくないな」
エンパス「…………」
マルファス「貴様も随分と執念深い。怪我を負ってなお私を止めんとするか。いや、来ないはずがないな」
エンパス「わかりきったことを言うな。今の私が貴様に恐れを成すなど有り得ない」
マルファス「ほう? 随分と威勢が良い。恐怖を忘れるほどに、他人との仲良しごっこが楽しいか? 私と貴様は相容れぬ存在のようだ。
まあ、いい。此処でまとめて始末すれば何ら問題はない。我が花園、我が瘴気。この暗黒の中で貴様たちがどう足掻くのか見物だな」
シエテ「そう簡単にやられませんよ。まさか、僕らが何も対策せずに此処に来たとは思っていませんよね?」
マルファス「……何?」
フローラ「アンタたちには今から倒れてもらうわよ!」
リーフ「いっけぇ!!ぶちまけろ!!!!」
ライナルト「のりゃあああああああっ!!!!」
\パリーン!!!/
ライナルト「これでも喰らえ!!!!!!」花にぶちまける図
マルファス「あれは!」
アスファル「させませんわ! きゃあ!?」
濡れたところから眩しい光が溢れてくる!
光が瘴気を吸収し、暗闇が少し晴れた!
ケシェット「! 凄いぞ!」
シエテ「まるで息苦しさが…これならいけます!」
リンアイ「凄い浄化作用だ…!」
アスファル「この! いくら小細工したところであたくしたちには勝てないわよ!」
マルファス「クハハ! そう来たか! 何かの差し金かは知らんが、随分と協力者がいるようだ。人とヒトの絆……くだらんが貴様たちは面白い! 貴様たちの勇姿がどれほどのものなのか、見せてもらおうか!」
エンパス「今だ、叩き潰せ!」
フローラ「さあ、倒れてもらうと言ったからにはブッ飛ばすわよ!」
リーフ「久しぶりに聞いた!フローラちゃんの『ブッ飛ばす』発言!オレも全力で戦う!!」
リンアイ「妹からも潰していい許可出たからね、本気でぶっ潰そうか!」
ライナルト「覚悟しろマルファス!もうお前の好きにはさせない!!」
▼ENEMY▼
マルファス Lv50×1
アスファル Lv48×1
<戦闘勝利>
アスファル「くうっ…やるじゃない……だったらあたくしが」
エンパス「させるか!」
アスファル「きゃあああッ!!」
シエテ「…観念してください。ここで終わりですよ」
フローラ「威勢がいいのもここまでね」
マルファス「…………。……」
マルファスはその場に片膝をつく
マルファス「………わからない。何故貴様たちは世界のために動ける? 妹よ、同じ道を辿りながら、何故人を思う? 何故人に手を貸す?」
エンパス「私の行動は人のためじゃない、自分のエゴだ。お前のその憎悪は本来、世界に向けられていなかった。お前を正しい方向へ導いてやりたい。踏み外した道から戻してやりたいだけだ」
マルファス「更生させるだと? やり直せるものか。私は自らの意思で堕ちた。差し伸べられた手を取ったところで、私の心は照らせまい。それが例え愛した者であっても」
ケシェット「…そうやって君は離れようとしていくんだね。彼女のように手を差し伸べてくれている人がいるというのに。寂しいことだと思わないのかい?」
リーフ「ワカメ先輩、急にどうしたの?」
ケシェット「俺は真面目なんだけど??」
エンパス「いいや、まだ間に合うさ。そうでなければ私はお前と対峙しない。戻ってこい。私の唯一無二の兄…──ルシアノ」
マルファス「!!」
ライナルト「!?」
マルファス「………ああ……その名は…私の……………」
そのとき、ライナルトたちの鼓動が大きく跳ねた。
マルファスに魔力が集まっていく。
力の流れが強く脈動し、周囲の空間が歪む
フローラ「なに、これっ…酔いそう…ッ」
リンアイ「何するつもり……うわっ?!」
エンパス「下がれ!!」
リーフ「のわっ、なに!?」
シエテ「下がってくだ…眩し…っ!?」
ケシェット「防御姿勢をとるんだ!」
ライナルト「……、晴れた」
リーフ「え…何…どうなってるの…?」
ひらり、と黒い羽が舞い落ちる
フローラ「…アンタ?」
ケシェット「え、俺の…? 確かによく抜けるけど…でもこんな大きくは…」
リンアイ「!! 空を見て!」
リーフ「黒い羽?空…? …あ!?」
シエテ「あれは…!まさか、いや、そんな…!」
ライナルト「黒い翼…頭のはよくわかんないけど…!…マルファス、お前は…!」
ケシェット「……堕天使…ッ!!」
マルファス「その名を封じられた私の記憶は大半が失われていた。私がこの場に至る生涯の経緯、全てはその名にあった。…故に憎悪もより深く刻まれることになる。やはり世界は虚無に還るべきものだ」
リンアイ「名前を封じられた、記憶を失っていたのか」
リーフ「なにあれ…マルファスってディアボロスじゃなかったっけ…?」
フローラ「…! 空がまた暗くなり始めたわよ…」
マルファス「………………オスクーロ。貴様が知り得なかった事実を一つ、教えてやろう。
我らが父………母を宿怨に狂わせ、我々に憎悪の種を残していった父は、セレスティアだ」
エンパス「ッ!! 何……!?」
マルファス「だが純白ではない。悪しき思想に支配され非道の限りを尽くした堕天使、正真正銘のフォーリン・セレスティアだ。そんな父と母が出会い、我々は産み落とされた。
父は貴様の物心がつく前に、セレスティアに“裏切り者”として殺された。まるで見せ物のようにな。あの絶対的正義を重んじるセレスティアが殺しに手を染め、不都合なものを排除した。裏切り者は死を以てして償うという一つの思念により我々の生涯が狂わされたのだ」
エンパス「…それで、その姿はセレスティアの血か」
マルファス「我が体には堕天使の血が色濃く流れているらしい。それとも父からの思念だろうか。父が成せなかったことを代行する。それが今の私の役目なのだろうな。親から子へ継ぎしもの、かつて貴様が母の思いを継ぎかけたように」
エンパス「ッ…それを言うな」
ライナルト「…」
マルファス「……所詮、戯言。貴様たちにはどう足掻いても理解されないことだ。だがこれだけは刻んでおけ。世界が忘れても貴様たちは忘れるな。貴様たちが望みを果たすまでに、数多の者を踏み台にした事実があることを。…………また会おう」
マルファスは空の彼方へ飛び去っていった……
ケシェット「……堕天使の血、か」
リンアイ「凄まじい邪気だな…まさか親に堕天使がいたとは」
リーフ「エンパスはその血を受け継がなかったのか?」
フローラ「そんなことよりアスファルは?」
エンパス「…敵は捕らえておくことにしよう」
フローラ「ギッチギチに縛るわね…」
エンパス「魔法も唱えられないようにしておく。コイツの魔法は厄介だ。何なら喉を潰してもいいんだぞ」
シエテ「別に潰しても構いませんが生きて捕らえましょう」
リンアイ「…瘴気が花園を覆う前に帰ろう。瓶の中は使い切ったんだから」
リーフ「ハァン、そんなにキツく縛っちゃ興奮しちゃうぅん」
ライナルト「ちょっと黙っててもらっていい??」
リーフ「すみませんでした」
ケシェット「さて……帰らないとね」
《ハイル荒野基地 司令室》
アマネセル「……よくぞ戻られました。アスファルは我々で厳重に監視しておきます。マルファスについて重要な情報を持っている人物です。魔力供給のない部屋に収監したので、おそらく攻撃はしないでしょう」
ケシェット「それ死なない? 大丈夫?」
アマネセル「殺さないように調整するので問題ありません。彼女のことは生かします」
リンアイ「アスファルを捕らえることができたのは大きな収穫だ。いい情報源だから殺さないようにしないとね」
フローラ「ほんとよ」
アマネセル「…………ルシアノ。彼についてはまた説明する必要がありますね。ひとまずは休んで、次の任務に備えてください」
エンパス「待て。…お前、ルシアノの名を知っているのか」
アマネセル「……! ……」
エンパス「答えろ。お前は何を知っている」
リーフ「あの、ちょっと」
アマネセル「…そのことも含め、後日説明します。私も想定外のことに多少困惑するものです。今はそっとしておいてくれますか?」
エンパス「……。…深追いはしないでおく」
アマネセル「…今日は解散とします。今後、より激戦化するものと見られます。無傷ではいられないでしょう。覚悟の上、任務に臨んでください。頼みましたよ」
シエテ「わかりました。今日はもう部屋に戻って休みましょう」
ライナルト「マルファス……なんか、アイツの思うことって単純じゃない気がしてきたな」
ケシェット「うーん、そうだね。ただわかるのは、アイツがやっているのは世界のためにはならないということだよ」
フローラ「なんか父親がどうとか言ってたけど、家族そろってヤバい奴ばっかなの?」
リンアイ「あの話にはエンパスも動揺していたな…深入りする必要はないんだけど、理由はありそうだよね」
ライナルト「俺はさ…あの、記憶失ってたって言ってたじゃん。そのときの様子が、自分の意思だけで行動しているようには思えなかったんだよな。なんか、こうしなきゃいけない!みたいな強迫観念に囚われてるっていうのかな」
リーフ「えー…?うーん……考えすぎじゃないか??」
シエテ「それが事実だとして、僕らにできることは何でしょうか?もはや話し合いでは解決できないところまで来ていますよ」
ライナルト「ソッスネ」
リンアイ「あんたはお人好しだな……まあ、その気持ちは持って損はないと思うけど。同情のしすぎには注意しなよ」
フローラ「ま、どっちみちアイツはぶっ潰される運命なんだし、そのあとに生きてたら理由を聞いてみるのがいいかもしれないわね」
ケシェット「君は物騒だなぁ」
リーフ「あー!もうこういう暗い話はやめだやめ!明日も任務あるだろうから寝よう!じゃあな!!」
フローラ「私も疲れてるのよ。それじゃあおやすみ」
シエテ「とりあえず解散ですね。ライナルトさん、あんまり深く考えてはだめですよ」
ライナルト「うん……」
機密作戦を完了しました!