▽ 絶命危機
<最後に訪れた迷宮にて戦闘勝利>
ライナルト「これでっ…最後!」
リンアイ「すべての迷宮を回るとは…骨が折れる戦いだったな…」
シエテ「…そういやピコさん、どこに行ったのでしょうか。情報も特になかったようですが…」
フローラ「そうね。このまま帰っていいのかしら」
ケシェット「うーん…探してもいいけど、俺たちもだいぶ疲れてるから、無理はいけないと思うな」
リーフ「ああピコちゃん…アマネセル様が心配してるよ…帰っておいで…」
「クハハハハッ! よくぞウルトラビーストたちを倒して回ったな、学園からの客人よ!」
「「「「「「!!!」」」」」」
ライナルト「やはり現れたか…!!」
上空からマルファスが舞い降りてきた
シエテ「マルファス!」
マルファス「尤も、これまでの苦難を打破した貴様たちには些細なものだったかもしれん。つまらなかったか?」
フローラ「アンタね! このUB騒ぎの原因は! 何が目的よ!?」
マルファス「今更なこと。世界の全てを終わらせる。ただそれだけだ。そのためには何も手段を選ばない」
リンアイ「コイツ…悪意の塊みたいになってる。邪気を強化させたか」
リーフ「やだよぉ…なんでこんな怖い子なの…?」
ケシェット「…ひとつ聞いていいかな。アンタはどうして世界を憎むんだ? 世界を滅ぼそうとする理由は?」
ライナルト「世界を憎むことになった理由…何がお前をそうさせてるんだ」
マルファス「前に言ったな? 父が殺されていると。この世界では我々の一族は幸を得られない。だが貴様たちはどうだ? 命を絶ちたいほどの苦しみを味わったことがあるか? 不安、あるいは絶望、あるいは虚無、悲嘆、嫌悪、不満、怨嗟、憤慨、嫉妬、そして憎悪を忘れ、陽を浴び多福たる世界を歩んでいるのだろう?」
シエテ「……自分が幸せかどうかは自分で決めることです。辛いことは誰でもありますし、貴方以外にも不幸な人はいる。その人たちのことを忘れているのは貴方のほうではないのですか?」
マルファス「私は忘れ去られたものの権化。世界のあらゆる負の情を束ね、全ての復讐を代行する者。その結果として、全ての者に幸が与えられないのならば世界など不要だと考えた」
フローラ「なんて身勝手なの。これならまだシルトの方がマシよ」
ライナルト「復讐を考えてる人はいるかもしれないけど、その全員が世界なんていらないって思ってるわけじゃないだろ!幸せを掴もうと足掻いてる人だっているはずだ、それをわかってるのか!?」
リンアイ「自分が幸せに生きられないなら世界を滅ぼすだなんて。あんたの考えは極端だ」
マルファス「違うな。私の考えは、私が悪だとするならば持って然るべきもの。人々は目前に敷かれたレールの上を歩いているだけに過ぎん。そこから外れた変わり者を悪と世間は認識する。尤も、私にとって貴様たちこそが悪だがな。正義と悪の定義など些事たること」
ケシェット「…やっぱりわからないな。アンタには少しでもヒトと寄り添おうという考えはないのか。もっと平和的な策は思い付かなかったのか?」
マルファス「貴様たちが思っているより、私の心は深淵をさまよっている。さて、瑣末な話もここまでだ。貴様たちには褒美をやらねばならんな……この世の呪縛から解き放たれる死という褒美をな。我が手により葬られることを誇りに思うがいい」
リーフ「悪に悪認定されちゃった…あなたに言われたくないです」
フローラ「同感ね。アンタ、珍しくまともなこと言うじゃない」
リーフ「いつもまともじゃないみたいな言い方しないで」
ケシェット「間違ってはない。それはさておき、彼に何を言っても無駄みたいだね」
リンアイ「倒すしかない。あたしたちは本気だ。覚悟しろ、マルファス」
シエテ「そうです。ここで終わらせましょう」
ライナルト「マルファス…!」
「待ちなさい」
リーフ「ハゥアッ!?この凛とした声は…!」
マルファス「……アマネセル」
アマネセル「私の保護下にいる以上、彼らに手を出させませんよ。状況を覆しつつあります。…いい加減に降伏しなさい」
マルファス「降伏するぐらいなら私は自らの命を絶つ。約束もされていない勝利に目が眩んでいるようでは身を滅ぼすぞ。そして貴様、何か大切なことを忘れているようだが」
マルファスは掲げていた球体を投げつけてきた
それはアマネセルの目の前で、重たい音をたてて地面にめり込んだ
フローラ「!?!?」
ライナルト「で!? 質量!? でか!?」
アマネセル「ピコ……!!」
マルファス「案ずるな。そやつは時空間の扉を開き続けた後、自らその姿となった。今となっては必要ない。客人を招く余興はもう済んだ」
アマネセル「ピコの能力を知って利用したのですね…」
シエテ「え、ピコさん…ですか?繭みたいな姿に…」
ケシェット「大きさのわりにすごいめり込み方してるけど……重ッ!?!?待って持ち上げられないが!!?」
リンアイ「時空間の扉を開き続けた……お前が無茶させたんじゃないか!」
リーフ「ピコちゃんをよくも!」
アマネセル「貴方は、与えられたものを忘れたのですか? 人は誰しも孤独で生きることは出来ません。受けたものを覚えているのであれば、このようなことにはならないはずです。貴方にもかつて寄り添った者がいたのではないですか?」
マルファス「覚えているとも。…いや、正しくは思い出した、だな。確かに私は独りでは生きてこれなかった。何かの愛に触れ、一度は光の世界を見た。だが私の憎悪は消えない。美しき世界を知ったからこそ、その片隅で体を震わせ怯えている者が、生まれ落ちた世界に憎悪を抱く者がいることを忘れてはならない。それを世界が拒絶するのなら共存など不可能。ゆえに私は世の全てを悪と認識する」
ライナルト「…そうか、知ってるんだ。明るい世界を。だからこそ憎むんだな…今幸せじゃないって思ってる人の分まで。背負いすぎてる気がする」
アマネセル「…ルシアノ」
マルファス「……その名を呼ぶな。私は二度と戻らん。眠りから醒めたときから誓っていた。この世界を虚無に還すと。例えそれが、貴様の愛する世界だとしても」
マルファスは手を上に掲げた。
すると、彼の頭上の空間が突如開かれ、そこから得体の知れない黒いモンスターが現れた。
フローラ「な、なに!?あのモンスター!!」
シエテ「時空間が開いた!?ピコさんの能力でもないのに…!?」
黒いモンスターは両腕を開き、周囲のエネルギーを吸収する!
アマネセル「あれは…!!」
マルファス「一つだけ言わせてもらう。アマネセル。お前のことはこの世の誰よりも愛している。私が望む世界をお前と歩きたかった。……残念だ」
アマネセル「え…ま、待ちなさい! ルシアノ!!」
ライナルト「マルファス!待て!!」
リーフ「あーっ!ダメです!!逃がしません!!逃がしmあ????」
マルファスを追おうとするライナルトたちの前に、黒いモンスターが立ち塞がった!
ケシェット「追わせないってか!」
リンアイ「邪魔だ、どけ!」
▼ENEMY▼
ブラック Lv55×1
<戦闘勝利>
黒いモンスターは大気を震わすほどの悲鳴を上げると、再び空間を開き、そこへ消えていった
シエテ「…逃がしましたね、双方」
ケシェット「あのモンスターは何なんだろうか」
アマネセル「…ルシアノ…………事は少し複雑です。貴方たちに話さねばならないことが数多くあります。一度、基地へ戻りましょうか」
リンアイ「そうだね。戻って整理しないと頭が追いつかない」
ライナルト「…気になるな。マルファスの言葉が。光の世界を見たからこそ世界が憎いのはわかるけど…」
リーフ「この場に及んで愛の告白しちゃったね」
ライナルト「そうそれ。アマネセルさんは世界を守る立場、マルファスは世界を憎む立場。世界を滅ぼすってなると、俺たちはもちろん、アマネセルさんも…」
フローラ「優先順位がバグってるわね。愛<憎悪 って感じかしら」
シエテ「そういやピコさんは…どうしますか?」
ケシェット「持ち上げられないけど浮遊はするみたいだ。誘導できないかな」
リンアイ「そこは誰か任せた」
《外に出る》
フローラ「っていうか疲れたわ。さっさと帰……あら?もう夜だったかしら」
ケシェット「…いや。これは変だ。普通の夜にしたって、あまりにも静かすぎるし、暗すぎる」
ライナルト「人の気配もしないし、どこにも光がない…どういうことだ?」
アマネセル「! ……これは…」
サーレス「アマネセル様!」
アマネセル「サーレス! 何故AASOを出たのです!?」
サーレス「外が急に真っ暗になったので、アマネセル様が心配で心配で……他のアルガーディアンたちに留守番を任せて出てきてしまいました。ご無事で何よりです……」
アマネセル「…心配をかけましたね。しかしこれは……私の仮説が正しいとなると…とんでもないことになりましたね。
皆さん。外にいると危険です。急いで戻りましょう」
シエテ「外が急に真っ暗とは…ただの夜ではない?」
リーフ「外にいると危険なの?帰ろ帰ろ!」
リンアイ「うん。そうしよう」
《ハイル荒野基地 司令室》
アマネセル「戻りましたね。貴方たちは瘴気対策をしているので問題ないかと思いますが、体に異常がある者は直ちに医務室へ行ってください」
ライナルト「…大丈夫?」
リーフ「うん。大丈夫」
シエテ「異常はありません。皆さんは」
フローラ「まあ今のところは…」
リンアイ「あたしは元気だよ」
ケシェット「俺も大丈夫だ。瘴気対策…って言った?」
アマネセル「…大丈夫そうですね。それでは現状況について説明をします。現在、世界は暗闇に覆われています。そしてその闇に紛れ、瘴気が全世界に広がっています」
フローラ「あの一瞬の間にそんなことが!? あのモンスターの仕業なの!?」
リーフ「な、なにいいい〜〜!?!?!?超(スーパー)ビックリなんですけど〜〜〜!!!!」
ライナルト「瘴気が全世界に!?一体なんで!?あのモンスターの力は…!」
アマネセル「そう断定して良さそうです。あれもウルトラビーストの一種で、我々は
ブラックと名付け、行方を追っていました。ブラックは光をエネルギー源とするモンスターで、しかしながら一方で常に光に餓えています。あらゆる光を吸収し続けている、厄介なモンスターです。多大な力を得るために世界の光を奪ったのでしょう」
ケシェット「光を奪うだけならまだしも、どうして瘴気が広がった?」
アマネセル「それはわかりかねますが、マルファス…ルシアノに起因するものもありそうです。瘴気の対策をされていない者は外出禁止の指示を出します。瘴気の危険性は貴方たちもよくわかっているはずです。不要不急の外出は避けるように」
リーフ「世界中の光を奪って瘴気まで広げるなんて……本気の人がやることじゃん…」
フローラ「それほどまでに世界が憎いのね。まるで自分が受けた傷を人にも負わせるみたいに、この上なく苦しめて世界を潰す気だわ」
シエテ「あの、ピコさんは…」
アマネセル「過度に能力を使ったことにより衰弱し、自らを凝縮し休眠に入った状態です。ルシアノがピコを使い、ウルトラビーストを呼び出していたのは、ブラックをこの世界に呼び寄せるためだと思われます。そしてブラックを使い、本格的に世界滅亡のために動き出すつもりでしょう」
リンアイ「世界に光は、瘴気は、ブラックを倒したら元に戻る? 早くしないと大変なことになる」
アマネセル「そうですね。ですが焦って判断を誤るのも危険ですから、私が指示するまで待機していてください」
ケシェット「あのモンスターが動けている間、どこかの光が吸収され続けている、と考えられるな。光を吸収し続けてるのに、光を欲するモンスター…満腹にならない状態なのかな」
ライナルト「そんなモンスターを野放しにしてはおけない!早くどうにかしたいけど、アマネセルさんの指示を待ちます!」
アマネセル「おそらく、次で最後となります。彼をここまで追い詰めたのは至上初です。万全の態勢で戦いに臨めるよう調整します。…必ず、作戦を成功させましょう」
リーフ「…本当に最後…だといいなぁ」
シエテ「瘴気に包まれた世界は長くはもたないでしょう。僕たちも次で仕留められなければ終わりです。同時にマルファスも、後がない状況だと思います」
フローラ「ピンチはチャンスってこと?こんな状況で使いたくない言葉ね」
リンアイ「さすがに今日は疲れたな…食事だけしっかりして寝ようか」
ケシェット「俺たちが休んでいる間にも、ここの人たちが色々調整してくれたりしているのはありがたいことだな。今は甘えさせてもらおう」
ライナルト「今回の任務でわかった。戦ってるのは俺たちだけじゃない。皆で力を合わせればきっと止められる。マルファス、お前の好きにはさせない…!」
絶命危機を完了しました!