ルーク達が待つ一室に案内されたセリーヌは、ドアを開け中に入る。

『お待たせしてすみません、ルーク様、ティアさん。』

「そんなに待ってないわ。気にしないで。」

「それより、結構買ってるみたいだけど、何買ったんだ?」

『あ、そうでしたね。実は、お店の方がお安くして下さったので、色々買い揃える事が出来たんですよ。とりあえず、グミやボトル等の薬類に、食材ですね。』

「食材?」

『此処を出るならば、自炊は必至ですからね。』

「自炊なんてした事ねーよ。」

『料理は私にお任せ下さい。・・・・・・と言っても、ルーク様にご満足頂ける腕ではないかもしれませんが・・・・・・。』

「ま、しゃーねーか。」

『後は・・・・・・、私の戦闘用の服です。こちらは、もう今日は着ないので、しまっておきますね。そしてこちらは、ルーク様に。』

「ん? 何だ?」

今までの品物が入っていた袋とは別の一際大きな袋を手渡した。

「何かちょっと重てーけど・・・・・・。」

ルークが袋を開けると、そこには剣と防具が入っていた

「おぉ! これ、本物の剣か!」

ルークは嬉しそうにしているが、反面セリーヌは複雑な表情を浮かべていた。

『本当はルーク様をお守りするのは私の役目ですが、もしもの時の為に持っていた方が良いと思ったんです。切れ味は少し弱いようですが、木刀よりは役に立ちますから。』

「へへ、やっぱり武器はこうでなくっちゃな!」


 夕御飯も食べ終わり、三人は明日の計画を立てていた。

「明日は、カイツールの検問所へ向かいましょう。橋が落ちた状態では、そこからしかバチカルには帰れないわ。後は旅券をどうするかね・・・・・・。」

『どうにかして手に入れる方法は無いのでしょうか・・・・・・。』

「・・・・・・なんか腹の虫が治まらねぇ。このままじゃ、帰るに帰れねぇぞ!」

「呆れた。まだ怒ってるの?」

「当たり前だろ。泥棒呼ばわりされたんだ!」

結局、この時点では結論が出ることはなかった。

 そして就寝前、三人は未だ行き先を話し合っていた。

「なぁ、チーグルって知ってるか?聖獣って言われてたけど。」

『東ルグニカ平野の森に生息する草食獣ですね。始祖ユリアと並んで、ローレライ教団の象徴になっています。ちょうど、この村の北辺りにありますよ。』

「明日になったらその森に行く。」

「行ってどうするの。」

「そいつらが泥棒だって証拠を探すんだよ。」

「無駄だと思うけど。」

「うるせぇな。もう決めたんだ!」

「・・・・・・。」

ティアが呆れている内に、ルークは言うが早いか、寝息を立て始めたため、セリーヌ達も就寝することにした。


 結局、未だ怒りが収まっていないルークの提案、というよりは半ば強制的な決定により、行き先はチーグルの森に決まった。

「しっかしセリーヌの奴、結構遅えな・・・・・・。」

「着替えに少し時間が掛かってるのよ。きっともうすぐ来るわ。」


『お待たせして、すみません。』

「ったく、何してたん・・・・・・。」

部屋から出てきたセリーヌを見たルークは、目を見開いて驚いた。

今までの服装とはうって変わっていて、軽い素材のトップスにショートパンツという、全く違う印象だった。

『これで動きやすくなりましたね。どうでしょうか?似合ってます?』

変貌ぶりにルークとティアは言葉を失う一方で、当の本人は、新しい服を触りながら嬉々とした様子で答える。

戸惑っていたルークとティアだったが、気持ちを切り替えて、宿を後にした。


村を出て真っ直ぐ北へ行くと、あっという間に森に着いた。

「おい、あれイオンって奴じゃねえか!」

そして森へと足を踏み入れてすぐ、目の前に魔物に襲われているイオンが見えた

「危ない・・・・・・!」

ルーク達が助太刀する間もなく、イオンは譜術を使って魔物を追い払うと、その場に倒れ込んだ。

「おい、大丈夫か。」

三人は慌てて駆け寄り、ルークが声を掛けると、イオンは少しふらつきながらも起き上がった。

「だ、大丈夫です。少しダアト式譜術を使いすぎただけで・・・・・・。貴方方は、確か昨日エンゲーブにいらした・・・・・・。」

「ルークだ。」

「ルーク・・・・・・。古代イスパニア語で、聖なる焔の光という意味ですね。良い名前です。」

「私は神託の盾騎士団 モース大詠師旗下情報部 第一小隊所属 ティア・グランツ響長であります。」

『!!』

「! 貴方がヴァンの妹ですか。噂は聞いています。お会いするのは初めてですね。」

「はぁ?! お前が師匠の妹?!じゃあ殺すとか殺さないとかって、あれはなんだったんだよ!?」

「殺す・・・・・・?」

「あ、いえ・・・・・・。 こちらの話です。」

「話を逸らすな!何で妹のお前が師匠の命を狙うんだ?」

「それは・・・・・・。」

ティアが言い淀んでいると、一匹のチーグルが通り過ぎるのが見え、森の奥へと消えて行った

「ンのヤロー!やっぱりこの辺に住み着いてるんだな!追いかけるぞ!」

『ルーク様! 一人では危ないですよ!』

ルーク一人で追いかけて行くのを、ティア達の方を気にしながらセリーヌは慌てて付いて行った。





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