Yシャツは週に1度、まとめてクリーニングに出す。悟空のシャツと、私の制服のブラウスも。

家でアイロンをかけるくらい大した仕事ではないと思うのだけれど、やはりプロの仕事には敵わない。
襟の外側はぱりっと美しく、首に当たる内側はふわりと柔らかく。
自分のものはともかく、会社での立場がある三蔵には確かに必要なものだと実感した。
だから、全てのシャツは週に1度、金曜の夜に集荷に来て日曜の夜に届けてくれるクリーニング業者に頼んでいる。

とはいえ、やはり1日着ていたものを最長で4日も放っておくのもなんとなく落ち着かない。
特に夏場などはそんなに置いていたら落ちるものも落ちなくなるのでは、という気持ちもあり、一旦洗濯機で回したものを改めてクリーニングしてもらうようにしている。

悟浄には、何も好きこのんで仕事増やさなくたって、と笑われたけれど。



そんな理由で、いつも通りに朝起きて、最初に洗濯機を回そうと脱衣カゴからシャツを引き出した。

その、途端。
ふわりと、知らない匂いがした。

三蔵が吸ういつもの赤いパッケージの煙草とはまた違う、葉巻のように深くてほんの少し甘い、それから麝香のような女性的な、匂い。


瞬時にのっぺらぼうの女性――なんとなく、セクシーでかっこいい大人の女性の姿が脳裏に浮かぶ。


なんだ、これ。


いや、別に女性のものと思われる匂いが三蔵のシャツからしていること自体はそこまで問題ではない。彼だって色々あるのだろう、大人の男性なのだから。

問題なのはどうして、どうしてこんなに胸がざわつくのか。




これはもしかして、そうなのか。

ずっとそうではないと、目を逸らしてきたような気がする。

だってそんな、そんなことになるわけがないのに。



「光織、俺そろそろ顔洗って――光織?」



悟空の声に反応することもできずに、私はシャツを片手に立ち尽くしていた。



私、三蔵が好きなのだろうか。



end

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