あの花はどこに咲いていたっけ
ワスレナグサ
それからは休憩を挟みながら夕方までバスケに夢中だった。春先で陽が落ちるのも遅くなったが夜はまだ寒い。風邪を引く前に帰ろうと伝えると少し残念そうだったが明日も来ようというと嬉しそうに笑った。家に着いてから汗をかいていた二人をお風呂へ促す。その間に私は夕食作りだ。今日は中華の気分だったので唐揚げ、麻婆豆腐、春雨スープ。唐揚げを揚げていると良い匂いに釣られた火神が台所まできた。
「一口くれ」
「熱いから気をつけてね」
少し前に揚がった程よい大きさの唐揚げを口へ運んであげる。
「ふわぁい」
「美味しいなら良かった」
肩にタオルをかけた黒子も近づいてきて大きく口を開けた。まるで雛鳥に餌をあげているようで可愛い。もう一口と火神に迫られたがすぐできるからと完成した料理を運んでもらった。ご飯を食べ終わりソファでくつろいでいる二人を横目に私はお風呂へ向かう。昨日はバタバタしていて落ち着けなかったので今日はゆっくり浸かろうと湯船に身体を沈めた。夢のような出来事で二人との生活はすごく楽しいが、彼らからしたら帰りたくて堪らないんだろうなと想像する。何とかしてあげたいが何ともできない虚しさ。何だかセンチメンタルになってしまったがここにいる間は楽しく過ごして欲しいなと思った。お風呂から上がると黒子は寝ていた。火神はまだ大丈夫そう。
「火神くんは眠くないの?」
「眠いけど苗字が出てくるの待ってた」
「寝てくれて良かったのに、でも待っててくれてありがとう」
そう言って黒子を抱えて寝室を目指す。黒子の横に寝そべった火神も布団へ入ると大きな欠伸をしていた。
「いきなりのことで俺らもどうしていいかわからねーが苗字は良い奴だし、飯は美味いし、バスケもできるし、色々とありがとな」
「こちらこそ何が何だかよくわからないけど二人と過ごせてすごく楽しいよ」
いきなりお礼を言われて吃驚したが素直に受け取った。少しお喋りをしてから火神の瞼が半分くらいまで落ちていたので挨拶してから電気を消した。
朝起きるといつの間にか火神を抱き枕のように抱いていた。子供は体温が暖かくて気持ちが良い。じっと火神の顔を見つめる。二股の眉毛ってこうなってるんだ。ボーッとしながら見つめていると火神の瞼がうっすらと持ち上がり数秒固まったあと火がついたように顔が赤くなった。
「!!!!!!」
「あはは、火神くん顔真っ赤じゃんおはよう」
「おはよ、、うじゃなくって!ちけぇ!」
「黒子くんまだ寝てるから静かに」
火神の大きな声に黒子も目が覚めたようだ。
「おはようございます火神くん、苗字さん」
「おはよう」
「早く離してくれ!」
火神は恥ずかしいようで急いで布団から飛び出していった。その後も少し緊張していたようで普段通りに話してくれたのは昼過ぎだった。
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