あの花はどこに咲いていたっけ

ワスレナグサ


〜〜♪♪

「頭痛い…」

枕元から鳴る音楽の目覚まし音に気づき、目をうっすら開けて少し明るい方に顔を向ける。カーテンの隙間からは濁った灰色の空から雨が降っていた。頭が痛い原因が雨だと知る。眠い上に頭も痛い、朝から気分は最悪だ。充電コードから携帯を引き抜くとパッと画面が明るくなって時間が表示された。

「まだ6:00じゃん…」

昨日まではこの時間に起きて保育士をしていた。でも今日からは違う、請負ってるクラスの年長が卒業すると同時に仕事を辞めた。子供は好き、大好きだ。子供が好きだからこの職を選んだ。原因は色々あって給料と仕事内容が見合わないとか、プライベートの時間がゴリゴリ削られてサビ残当たり前とか、足りない小道具には自腹を切るとかも辛かったけど、決定打は園長からのセクハラ。チリも積もればってやつ。辞表を出したときは園長が大騒ぎで常識がないだの、子供を見捨てるだの、こんなことじゃ社会で生きていけないだの、まあブラック企業の社長が言うようなセリフを色々吐いていた。カチンときた私は今までのことやセクハラのことを訴えると言うと態度が豹変して退職金を払うから大ごとにはしないでくれと悲願された。口止め料みたいなもの。既に限界だったし貰えるもんは貰ってさっさと辞めたかった。そんなこんなで昨日仕事を辞めたので、当分はゆっくり過ごそうと思っていたのにアラームを消し忘れていた。まだ朝早いし二度寝しようと布団にすっぽり潜り込む。起きたら何をしようか考えながら本日二度目の眠りについた。

窓の隙間から風が吹いてカーテンが揺れた。3月の下旬はまだ春先で風は冷たい。でもこの少し冷たい風が吹く中で温かい布団の中にいるのが幸せなのだ。初めに起きた時より空が明るくなっていた。外が眩しくて片目を閉じながら時間を知るために携帯を探す。

「…………は?」

隣には知らない男の子が眠っていた。

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