あの花はどこに咲いていたっけ
アロエ(上)
「杏寿郎ー!おかえり!」
大好きな杏寿郎が任務から帰ってきた。今日帰ってくると知らせがあったので煉獄家で待ち構えていたのだ。
「ただいま名前」
「今日は怪我してない?大丈夫?」
「名前は心配性だな」
「杏寿郎いつも怪我して帰ってくるんだもん、気が気じゃないよ」
「俺だって立派な柱だ!新しい隊士も入ってきたし負けてられん!」
杏寿郎との出会いは鬼に襲われていた私を助けてくれたところから始まった。殺されそうになった瞬間にもっと一生懸命生きれば良かったと後悔した。そんな時に現れた杏寿郎は私にとってヒーローで、熱く燃えるような赤い瞳に一目惚れした。杏寿郎は見た目通り熱い男だった。何事にも全力で曲がったことは嫌い、ルールや規律を重んじている人。意固地な彼と何度くだらないことで喧嘩したことか。私が好みじゃないとか、好きになれないなら諦めがついたが、鬼と戦う上で危険と隣合わせの人生に恋人は作れないとずっと断られていたのだ。あの時、死の間際に一生懸命生きることを誓ったのだ。死の瞬間に笑って死ねるように、後悔がないように。だから今日も一生懸命杏寿郎に恋をする。
「杏寿郎好き!私と夫婦になって!」
「何度言わせればわかるんだ!俺は名前と夫婦にはならん!」
「なんで!なんで!他に慕ってる人でもいるの?私が嫌いなの!?」
「違う!俺と夫婦になったことで名前が鬼に狙われたら悔いても悔やみきれん!」
「そしたらまた杏寿郎が助けに来てくれるでしょ」
「俺が任務でいなかったらどうするんだ」
「藤のお守り持ってるもん…」
「弱い鬼ならいいが強い鬼にでくわした時は逃げきれないだろう」
「修行するもん…」
「もんじゃない!だめだ!」
「じゃあいいよ!宇髄さんの四人目の奥さんにしてもらうから!!」
「だめだ!!!!!!宇髄に名前はやらん!!!!」
「じゃあ夫婦になってよ!!!!!!」
「ならん!!!!」
「夫婦になってくれない杏寿郎なんか嫌い!馬鹿!阿呆!頑固者!」
「俺は名前が好きだ!!!」
「私だって好きだよ!!!!!!!!」
杏寿郎も好きだと言ってくれるのに何故夫婦になってくれないのかわからない。毎度毎度行われるこのやりとりは鬼殺隊で有名だった。
「しのぶちゃ〜〜ん」
「こんにちは名前さん、どうかしましたか?」
誰かに慰めてもらおうとその辺を歩いていると杏寿郎と同じ柱のしのぶちゃんに会った。
「今日も煉獄さんに振られたんですか?」
「今日こそは、と思って告白したのに全然頷いてくれないの!」
「煉獄さんも名前さんのことを好きだと公言しているのにおかしな人ですね」
「そうなの〜、両思いのはずなのに全然夫婦になってくれない〜!そもそも付き合ってもくれない!」
「先程甘いお菓子を貰いましたから一緒に屋敷で食べましょう」
「え〜〜ん、しのぶちゃん優しい」
それから一緒に蝶屋敷に戻り他のみんなにも慰めてもらった。恋に効く薬はあるか尋ねたがそんなものは幻だと言われてしまった。
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