あの花はどこに咲いていたっけ
ワスレナグサ
「しゃぶしゃぶは失敗したわ…」
「美味しかったじゃ〜ん」
「美味しかったけど食べ過ぎた」
「名前さんは少食ですね」
「二人が異常に食べてるだけだと思うけど、あんなに食べてこの後バスケできるの?」
「よゆー」
「なら良いんだけどさ」
この後運動するのに食べ放題の選択は間違えた気がしたが二人は満足そうなので問題無しとした。
公園に移動してからストレッチをする二人をベンチから見守る。私も混ざって遊びたいが少し休憩してから動かないと美味しく食べた料理をもどしてしまう。今の紫原と氷室は体格差がかなりあるためいつも通りの1on1はできないようだ。
「ダンクできな〜い」
「今の敦には無理だと思うよ」
「いや普通はダンクできないから」
漫画では当たり前のようにダンクのシーンが多かったが高校生であんな試合をできるのは彼らだけだ。ゾーンというのはスポーツ界で似たようなものがあると聞いたことはあるが、特殊能力に似た力は普通ありえないだろう。
「名前ちんダンクしたことないの?」
「いや、できないよ身長足りん」
「名前さんやってみます?」
「え?できるの?」
「ちょっと来てください」
何かを思いついたように氷室がコートから手招く。どうやってダンクするんだろうと思いながら彼の元まで近寄るといきなり抱き上げられた。
「え?え?何何何、こわいこわい」
「ほら、これで届きますよね」
「いや届いたけどボール持ってないからただゴール触る人なんだけど」
「じゃあ今から俺がゴールにボール投げるから名前ちんがダンクして決めて」
「待ってどうやんの、早い早い言いながら投げないで心の準備が」
氷室に抱き上げられてゴールは触れそうだが肝心のボールが無くダンクができないと伝えて見れば下から紫原がボールを投げてきた。急だったのであたふたしてしまったが紫原のシュートが的確だった為ゴールに向かってくるボールを触るだけでダンクができてしまった。
「できた!できた!初めてゴールを触った上にダンクまでしちゃった!」
二人のおかげで、というかほぼ二人の力だが初めての経験に気分が上がった。
〜〜♪
私のポケットから着信音が流れた。画面を見ると元職場の同僚からだった。二人から少し離れて応答ボタンを押す。
「もしもし?」
「お疲れ様ー!名前ちゃん今平気?」
「久しぶり、どうしたの?」
「急で悪いんだけど明日暇?」
「明日?暇ではないけど…用事によるかなあ」
「いつも預けてる園でノロが流行っちゃって一時的に休園することになったんだけど、明日はどうしても休めなさそうで良かったら1日だけうちの子預かってもらいたくて…」
「あ〜あのポンコツ園長は前日の休み取らせてくれないもんね」
「申し訳ないんだけどこっちで頼める人いなくて…」
「うん、それならしょうがないし1日だけならいいよ!いろいろお世話になったし」
「ほんと!?本気でありがとう〜!名前ちゃんに断られたらどうしようかと思ったから、助かる!詳細はあとでメールするね」
暇なわけではないが事情が事情だし仕方ない。たしか子供は小さかったはずだし何とかなるはず、彼らには悪いが明日はその子と遊んでもらおう。このことを伝えるために二人のもとへ駆け寄った。
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