あの花はどこに咲いていたっけ

ワスレナグサ


朝からこんな眩しすぎるオーラはキツい。氷室のオーラで干からびてしまうと大きな声で騒いでいれば紫原が目を覚ました。

「うるさ〜い」

「った、助けて、紫原くん!」

「ん〜?室ちん大きくなってない?」

「そんな敦は小さくなっているね」

「あれ?本当だ」

「室ちんだけ大きいの狡い」

起きた紫原と普通に会話しているが氷室の腕は私の腰に強く巻きついたままだ。そこそこのイケメンなら楽しいだろうが芸能人レベルのイケメンにいきなり迫られてみろ、羞恥で死にたくなる。消え入りそうな声でもう一度と頼むと日本の女の子は謙虚だねと言ってやっと解放してもらえた。氷室から解放されてベッドを見てみると本当に小さくなった紫原がいた。二人とも大きくなってしまったらどうしようと考えていたが杞憂に終わって良かった。

「うわ、小さい紫原くん可愛い〜抱っこしていい?」

「え〜、ん〜、いーよ」

彼から許可がおりたのでそっと抱き上げる。それにしても小さい子は本当に可愛い。紫原は大きくても可愛かったが。肌はすべすべで弾力のあるほっぺた、思わず頬擦りをしたくなる。

「流石保育士をやっていただけありますね」

「んー?」

「子供の抱き方に安定感があります」

「そりゃ働いてましたから」

「子供好きの女性って良いですね」

「っへ?何だか今日の氷室くんグイグイ来すぎじゃない?」

「そうですか?」

腕の中の紫原が大きくあくびをした。

「まだ眠い?」

「眠いけど腹減った〜」

「じゃあご飯にしようか」

紫原を抱いて洗面所に向かう。小さくなった彼には手が届かないようで紫の歯ブラシをとってあげた。身支度をある程度済ましソファへ降ろす。

「じゃあご飯作ってくるから待っててね」

「昨日は役に立てませんでしたので挽回させて下さい」

「昨日も手伝ってくれたじゃん、でもありがと」

氷室が横に立って朝食の手伝いをしてくれるがイケメン辛い。ほんと辛い。次に使う材料を予測して渡してくれるし、使った器具を洗ってくれるしスマートすぎる。やることなすこと全てが格好良いし、なんなら見なくても格好良いのが伝わってくる。人生で初めてイケメンは関わるものではなく、見て満足するものだと知った。みんなで手を合わせて料理に手をつける。一人暮らしだった時には感じられなかった暖かさがそこにはあった。

「お腹いっぱい〜」

「やっぱり身体が縮んだから食べる量も減ったね、いつもの敦なら考えられない量だ」

「エコだね」

「その分沢山お菓子が食べられるから良い〜」

「紫原くんが良いなら、いいの。それより今日はストバス行こうよ、二人の見てみたい」

「昼寝してからならいいよ」

「じゃあ少し休憩して氷室くんの靴買いに出かけたらそのまま行こう」

朝食を食べた後ゆっくりしていたら何だかんだ昼になってしまい昼食は外で食べようと車へ乗り込んだ。紫原には地毛を隠すために帽子を被ってもらったが、氷室は地毛が暗いから要らないだろうとマスクだけしてもらった。

ショッピングセンターに着いてから周りの目線が気になる。ああ、マスクでも彼のオーラは隠せなかったか。流石に氷室辰也だとは思われていないだろうが背も高いし少しだけ見える顔も綺麗に整っている。彼がイケメンだというのは雰囲気でわかるのだろう。二人は周りの視線に慣れているのか平然としている。気になっているのは私だけみたいだ。

「紫原くん何食べたい?」

「パフェ」

「それデザートじゃん」

「じゃあ沢山食べられるもの」

「しゃぶしゃぶの食べ放題にする?デザートも食べ放題になると思うし」

食べ放題と聞いて紫原の足が少し早くなった気がした。

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