立海メンバーがヒロインと音楽室を知っていく経緯も然り、これまたみんなが音楽室を残していく展開をどうもっていくかにも悩みました。
もっと書きたいお話しがあるのに、ここでなんでこんなのに悩むのや〜と投げ出したくなった記憶があります。
ヒロインが音楽室を残したいのか、そうじゃないのか葛藤しているシーンについて言うと、本編では幸村君と二人っきりで話していますが、立海メンバーみんなと話して答えをみつけていく展開も考えていました。『いつか永遠になる日がくるとして』の、みんな集合バージョンです。でも幸村君との密度をもうちょい濃くしたいなーと、一回二人だけを登場させて書いていったら、そっちのほうが好きになったのでみんなバージョンはボツになりました。途中で考えていなかったシーンも盛り込めたのでよかったです(みんなごめんね)。
『わからない』と『いつか永遠になる日がくるとして』は、ヒロインがなにに悩んだり苦しんだりしているのかうまく表現できず何回も書いてはやめるの繰り返しでした。自分が生んだヒロインなのに、自分も書いててわからなくなり…(え)
ストーリーの中心になるので慎重に書いてました。なんとか完成できてよかったです。
以下は喫茶店で音楽室をどう残すかみんなで話しあうボツ話です。
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今日もブン太からお誘いをもらった。
いつものように放課後なんか食べに行こう、という類のもの。
いつものように快くのった。
ついこの間行ったばかりだからペースが早いなぁなんて思いながらも、弾む気分で校門前に待ち合わせていたけれど___
「あ、あの、これはいったいどういう」
「あれ、丸井。言ってなかったのかい」
「だって言ったらビビりそうだったし」
「大丈夫か、みょうじ」と桑原君がやや心配そうに声をかけてくれる。なかなか私の顔色は悪いみたいだけど、これは同情してほしい案件だ。
だって男子テニス部のみんなが揃っていたから。
これまで関わったことのあるみんなが私の前に立っている。
なんというか、圧倒されてしまうような空気感がある。意図して私の周りに大勢が集まることなんてなかったからかもしれない。
ブン太に助けを乞うように視線を投げてみるけど、「まぁリラックスしろぃ」の一言で終わった。私の対人スキルの低さを甘く見ないでほしい。というか、それを分かっててこんな誘い方をしたのかと思うとなおも恨めしい。もっと心の準備が欲しかった・・・。
「なに食う?」
「私はなんでも構いませんよ」
「ファミレスとかのほうがいいか?」
「あそこは込み入った話をするのに適していない」
「みょうじさんは何か食べたいものはあるかい?」
幸村君が気遣ってくれるなか、「なんでもいいよ」としか答えられなかった。みんながなにやら相談し合っている隣で私の頭はいまいち追いつけていない。柳君の「込み入った話」発言がやたらと気に掛かってしまった。私はいったいなにをしたのでしょうか。
みんなが列になってどこかへ向かっていく一番後ろで、ただついていくことだけに集中した。ブン太も気遣ってくれているようで私の隣を歩いてくれる。「なにかあったの?」ひそひそ伺ってみたけれど、「後でわかるって」でこれまた終わってしまう。
前にみんなの背中を眺めていた時は、きらきらしている世界なんだと、どこか遠くでみていたような気分だった。
それは変わらずで、こうして歩いていても、やっぱり違う世界のような気がしてならない。
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着いた先はこじんまりとしたカフェだった。さらにいうなら、喫茶店といった雰囲気にかなり似通っている。
店内は決して広くなかったけれど、お客さんはほとんどいなかったために、この大人数が座れるスペースは十分にあった。いつも生徒たちで賑わっているこの辺りにも、こんな場所があったなんて意外だ。赤いソファ生地が敷かれたチェアだったり、オレンジ色味がかった照明の灯った店内がわたし好みだった。確かにここなら「込み入った話」はできそうだ。好きな場所だと思ったけれど、そんな話に相応しい雰囲気な店内というのがさらに私の不安を煽った。
テーブルをくっつけてそれぞれ適当に向かい合って座る。
隣にはブン太がいるのでわずかな気持ち程度に落ち着いたけれど、みんなに囲まれているのがやっぱり違和感でしかない。
ブン太はケーキセットを注文するみたいで、私が頼まないことを意外がっていた。こんな状況じゃなかったら、多分ブン太と同じのを頼んでいたと思う。どうせ食べるなら心休まるタイミングのときに・・・というのが本音だった。
「いきなり呼んでしまってごめんね」
「丸井君が事前に言わなかったのが悪いと思いますよ」
「どっちにしろ一緒だったって」
そんなことはないよ、と言い返したくなるけど、確かにほんの気持ち程度にしか変わらなかったかもしれない。
「あの音楽室のことなんだ」