ふわり。
雪が花びらのように舞っている。
あぁ、もうこんな季節なのか。私はぼんやりと自室の窓の内側から、外を見つめていた。この町で迎える、始めての冬だった。ここ数日、ちらちらと降っている雪を見るたびに、複雑な想いを抱いてしまう。
母親の仕事の都合で転校してから数か月。新しい町で、何とか平和に過ごしているも、心の内側にある違和感やわだかまりは未だ消えそうにもない。
「ミユキー? 今大丈夫?」
下から母が私を呼んでいた。意識がそちらにずれ、私は慌てて立ち上がる。階段に出ると、その下で母が私を見上げていた。
「何? どうしたの?」
「買い物に行ってほしいんだけど……お母さん、これから職場に電話しなくちゃいけなくて」
「わかった」
私は頷くと部屋に一度戻り、コートとマフラーを手にする。それらを着ながら階段を下りると、母が買い物メモと財布を渡してきた。メモの内容はリンゴ3個とだけ書かれている。……これだけ短いんだったら、わざわざメモに書かなくてもいい気がする。
玄関でスニーカーを履いていると、リビングの方から母が電話先の相手と話している声がした。その声を聞きながら、ふとまた思いが巡ってきた。
母には転校してからの、私の不安な胸中について詳しく伝えていない。母子家庭のため負担も多いのに、これ以上余計な不安など持たせたくなかった。