「とりあえず貸してみろ。付けてみないとわからないだろう」
ほっそりとした繊細なネックレスを付けてもらう。 男性らしい、骨ばった長く細い指が、器用に銀色のチェーンを私の首に取り付けた。
「……これでどうだ?」
私は部屋に置いてあるシンプルな手鏡を、首元がよく見えるように持った。
「……うん、やっぱ似合わないかも……例えるなら、幼稚園児にマスカラ付けてる感じ……」
「……だったら君が中身だけじゃなく、見た目ももっと大人になればいい」
不意に耳に届いた言葉に、私は和久の方を振り返る。和久はいつもと何も変わらず、鉄仮面のままだった。 だけどその瞳に表れている穏やかな感情に、私は小さく微笑みかけた。
「そうだね。今年はもうちょっと大人になるよ」
私は和久の背中に手を回し、抱きしめる。 凄く優しくて、温かいぬくもりが、私の全身を駆け巡った。
いつの間にか雪はやみ、朝日が部屋に射し込んでいる。記念日はまだまだ始まったばかり。だけど、私の体は幸せでいっぱいだった。 和久が珍しく、私の額にかすかに触れるだけのキスをする。それがくすぐったくて、彼の腕の中でまた小さく笑う。
「プレゼント、ありがとう」
夢見る少女のように呟くと、和久が耳元で笑う。
「もう少しだけ、大人になるまで待っててね」
いつか、このネックレスの似合う女性になれる日まで、彼と一緒にいられますように。
彼のやさしいぬくもりに包まれながら、私は幸せに身をゆだね、そっと目を閉じた。