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「…んっ」
目が重い…けど、覚めてしまった
てか、いつ寝たんやっけ…?
「起きた?」
「ん…っ、…!?ひ、広斗…っ」
誰かの声…横向きになってた体を声がした後ろの方に振り向かせると俺の隣に座ってて、ペットボトルの水を飲んでいる広斗がいた。なんでここに…っ
「お前気失ったの、覚えてる?」
「気…あっ」
、そうや俺…
「俺…っ」
俺、コイツにまた抱かれたんや
しかも抱けなんて言ってしまった
コイツに求められ…流されて…
俺…なんてこと…っ
どうしよう…
今になって罪悪感がすごく増してる
誰にって…山王のみんなに…っ
俺…っ
「…つか風呂入らね?一八の精液でベタベタする」
「なっ」
こっちは悲観的になってるというのに…そんな事はもちろん無視で、広斗は俺の精液らしきものがあるお腹を指でさしながら笑いやがった
「一八も中が俺でいっぱいだろ…?」
広斗は俺の方に体を向けてそう言う。布団で隠れてた下半身がはだけて見えそうで見えないラインが目に入ってドキッとしてしまった
「…っ、う、うっさい…、んっ」
思わず逸らす目…だけど頬を引き寄せられ優しいキスをされた。啄むキスから…舌を絡ませて、上顎を舐められる。でも激しくなく、優しい…ひどく優しいものだった。なんと言うか、セックスの時とは違う…気持ち良さを感じた
「入ろう…」
なんて甘い声を出すんやろう…
優し過ぎて…何でも許してしまいそうになる
「…分かった、けど何もすんな。もう無理…」
「はぁ?」
はぁ?って、まだヤるつもりなんか…
どんだけやねん
俺にはそんな体力なんあるわけない
「…あかん」
「…チッ、わーったよ」
しょうがねぇな…なんて言いながら俺の腕を引き上げ風呂場へと連れてってくれた
「…怒んなよ」
「…あかん言うたのに…お前っ」
結果的に言おう
結局1ラウンド追加やわ
中のを出そうとしたら俺がする言うて聞かなくて、渋々任せたのがいけなかった
「あんな声出されたらするだろ?」
「…お前が出させたんやろ」
我慢出来ず声が出たことに関しては俺が悪いところもあるかもしれないが、良いところを何度も撫でられればそりゃ声くらい出る。多分、いや間違いなく分かっててしたんだ
もういい…もう怒る気力もない
脱衣場で口論なんてしてたら風邪引く。俺は自分の部屋着を用意して…新品のパンツと一緒に広斗に渡すと少し驚いた顔をし、1回顔をうつむかせたあと静かに受け取って着替えた
俺も水が飲みたくて居間に戻りペットボトルの水を飲む。乾かしていない髪がへばりついて気持ち悪い…バッと髪をかき上げると手を掴まれた…何やねん
「な、なんや」
「…お前さ、髪下ろせば?今時いねぇよリーゼント」
か、髪…?
あぁ…そういう事か…でも
「…これは、あかん」
これはコブラが昔、まだ好きになる前に乱れた髪を見たコブラがワックスを付け、強引にリーゼントにさせたのがキッカケやった。『こっちの方がお前らしい』そう言って滅多に笑わない笑顔を俺に向けてくれたのを覚えている…だから…下ろしたくない
「…ご主人か」
黙っているとギロっと睨まれ、何かまた言われるんやろうかと肩を竦めたら大きくため息を吐いて…またあの日見た寂しそうな目をして掴んでいた手を強く握り直した
「…じゃあ俺がいる時は下ろせ」
「…えっ、?」
「俺はこっちがいい」
なんでそんな悲しそうな顔をして言うんや
まるで…コブラに嫉妬してるみたいな…
いや、それはないか…
だってそれはつまり
俺のことを…
「んっ」
掴まれていた手を引かれ抱きしめられた
俺の家の洗剤の匂いが鼻を掠める
でも僅かに広斗の匂いが混ざってて
…何故か、安心する
頭を撫でられかき上げた髪は下ろされ
頬に髪がつくけど…直すことはしなかった
したくないと…どっかで思ってしまった
「…つか、腹減った」
話を変えるようにそう言って
強く抱きしめられる
「俺やってそうや、今何時やと…」
もうこんな時間やし
はよ寝て明日も仕事……
ん?
「…!!!?ぁああっ!!!」
「っ、うっせぇよ…なに?」
「も、もう11時やんか!あぁっ、仕事終わってへん!」
ヤバい
こいつ来たせいで忘れてた
今日検品せな
明日入荷出来ないやんか!!
は、早くしないと…っ!
「いっ!っつー…っ、」
い、痛い…っ!
今になって鈍痛ヤバい…
こ、腰が…っ
「…寝れば?」
「あ、アホか!明日の朝までには終わらせなあかんねん!…っくぅ…、」
「…」
寝てなんていられない
お、終わらせないと…!!
「つかお前帰れよ…、用は…済んだやろ」
チラッと広斗に目を向けてそう言った
したかっただけなら帰れ
服もそのまんま着て行っていいから
「…帰らねぇよ」
「は、はぁ!?、」
か、帰らんって…!
そんなのあかん!
アイツらにバレたら俺は…っ!
「…朝には出てく、それでいいだろ?」
「な…っ」
あ、朝まで…
「…あー!もうっ、…じゃあ朝帰れ…」
朝やったらギリ、バレへんかもしれない
ここで反論してもきっと聞かへんやろうし
仕方ないが朝帰らせよう…
バレないことを願うしかない
「飯は食わねぇの?」
「食ってる暇ない!」
「俺腹減った」
「、お前…っ!」
こっちは切羽詰まってるのに
誰のせいやと…っ!
えっと…っ、あった!
「…これ!廃棄やから食ってええ!」
店の方に走って行き(鈍痛がヤバかった)廃棄になった食べ物を集めてカゴに入れそのまんま広斗に渡した
「じゃあ食う」
素直にカゴを受け取るとその場にしゃがみ込んで中のパンだったりオニギリを吟味し始めた。よほど腹が減ってるのか沢山持ってる…ええけど
「…あと朝まで居るんやったら着てた服…濡れとるんやからハンガーかけとけ。それと暇やったらテレビでもなんでも見ててええから。んじゃそっち行ってろ」
とりあえずそれだけ伝えとけばええやろ
さっさと検品せな!
「一八、何時に終わるの?」
「え?…4時間あれば終わるやろ!」
「…そんなかかんの?」
まぁな、店のモン全部チェックしなあかんからな。どれがどれくらいあるか確認して入荷するかどうか決めなあかん。それは親父がいた頃から決まってることや
「1人やからな、とりあえず食っとけ!」
「…」
そう言うと黙ったまま居間の方に戻って行き、ホッと一息を置いて…そういえばよく俺の言う事聞いたなと一人になって思った。俺も思わず素が出たし…案外アイツは素直なのかもしれない
って何アイツの分析してんねん
アホか俺…仕事しよ
1回広斗の事は忘れて
仕事モードに切り替えよう
片手にノートとペンを持ちながら
俺は商品を確認し始めた
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