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「ダンさんなんか…違う」

「は?なにがや?」

「雰囲気?が違う…気がします」

「?あ、髪下ろしてるからちゃうか?」

「いや、そう言うんじゃなくて…んー…なんだろ」

「なんやねんそれ」









久々に朝風呂を温泉でしたいなー…
髪もあっちでセットすればええし、行くか


そう判断しテッツの家の温泉風呂に入りに来たら番頭に座ってるテッツがそんなことを言い出した。意味分からんくてそのまま無視して服を脱ぐとあ!!と、大きい声を出しやがった。今度はなんやねん


「コブラさんチワっす!」

「え?こ、コブラ!?」

「…うっせぇんだよ」


め、珍しいにも程があるやろ
滅多に来ぉへんやんか…


小さいバック片手にやって来たコブラ。ホンマにここに来ないしましてやこの時間、珍しくて大きい声を出してしまった。文句を言いながら俺の隣来て、カゴに自分の荷物を入れ服を脱ぎ始めた…って、う、わ…っ


「…あ?何見てんだよ」

「あ、いや!べ、別に!!」


別になわけない…
こ、コブラのら、裸体…っ
綺麗に入った腹筋
俺より小さい体なのに逞しい肩幅
広背筋は大きく…


あかん…っ


「さ、先入ってます!!」


ガラガラっ!!
バン!!


「…なんで敬語なんすか?」

「…知るかよ」





ーーーーーーーーーーーーーーー





「あ、アカン…かった…」


も、もう少しで勃つとこやった…
目に毒やで全く…

つか治まれ俺…
男の裸体なんてそんなええもんやな…


『一八…』


…って!広斗の体を思い出すな俺!!!
た、確かにコブラより背が高いし
筋肉も凄いけど…って、これがあかんねん!!


お湯ではなく水を被って一気に冷やし
色んな熱を放出させると
落ち着いていく股間にホッとしてため息が漏れた


「…はぁー」

「なにため息ついてんだよ…」

「うへぇ!?な、なんやねん!隣座んなや!」

「どこに座ったって変わんねぇだろ」

「そ、そうやけど…」


今ちょうど落ち着かせてたんに来んなよアホ!
もう色々心臓に悪過ぎる…


「ダン」

「…ん?」


結局隣に座ってきて無言で体を洗い始めてると頭を洗いながらコブラが問いかけてきた


「…テッツが、お前の雰囲気が違うって言ってた」

「雰囲気…?…あぁさっきそんなん言うてたな…お前から見てもどこも変わってないやろ?」

「確かに変わってねぇな」

「そうやろ?アイツ何言うてんねん」

「…」

「…コブラ?」


急に黙るコブラの名前を呼ぶと
俺をジッと見てきた…なんやねん


「…変だな」

「あ?何がや?」


変ってなんやねん失礼やろ


「…やっぱ変だ」

「ん、こ、コブラ…っ?」


ほんとに…ほんとに不意にやった
コブラが…俺に…俺の髪に触れてきた


「…髪下ろしてると幼く見える」

「、え?」

「…お前はやっぱ髪上げてねぇとらしくねぇ」

「!…なんやそれ」


マジでこういう時、困る
言われて嬉しいはずなのに
なんとも答えづらい

嬉しいを前面に出したい
でも、そんなんしてバレるのも怖い


『俺がいる時は下ろせ』

『俺はこっちがいい』



!ま、また広斗を思い出してしまった…っ
なんでこのタイミングでアイツを…


「っん…おま…!」


意識が削がれてる時に急にくる感覚
髪をかき上げられたんや
驚いて変な声出てもうたやんか…!


「…変な声出すなよ」

「なっ、う、うっさいわ!!アホ!ボケ!」

「そこまで言われる筋合いねぇ」

「うっ…」


心底嫌そうな顔すんなや…
…少し、傷つくやろ…


「…はぁ」

「…なんだ」

「なにが…?」

「なんか言いたそうじゃねぇか…」

「…そんなん無いわ」


バシャッ!と桶に入ってたお湯を頭からかけて泡を洗い流しコブラを置いて温泉に浸かる…ふーっと息を吐けば鋭い視線が真っ直ぐ俺を見てくるのが分かった。コブラも洗い終わって俺をまたチラッと見た後隣に来るようにお湯に入った


「…言いたいことあんなら言え」

「何もないって」

「言え」


言え…って、強制すんなや
言いたい事なん…言えるわけないやろ

それに…


「…そう言うて聞いてくるくせに自分の事は一切言わんのやな」


…、あ!し、しまった…
つい言ってしまった


「!…何の話だ」

「あ、い、いや…」

「言え」


…あー!もぅ!
俺の話逸らす為なら言うたったるわ!



「、お前…直美が好きなんやろ?」

「!?」

「え!?そんな驚く!?」


見たことないくらい驚いた顔をして
慌てたように怒りながら詰め寄ってきた


「な、なんでテメェ知ってやがる!!」

「はぁっ!?ま、まさか…気づかれへんと思ってたんか!?多分直美以外は気付いとるで!」

「!?なっ…」


え。マジで気づかんかったん…?
嘘やん…放心しとる


「あ、あの…なんかすまん、今のタイミングで言うてもうて」

「…あ。い、いや…ヤマトやノボルにはバレてるとは思ってたが…お前にバレてるとは思わなかった」

「あ、あんな分かりやすい態度やったのにか…!?」

「、うっせぇ!」


うわ…照れとる…!(ほぼ無表情だけど)
なんか、可愛ええ…っ!
貴重なコブラの顔にニヤニヤすると
頭を思いっきり殴られた
…けど話を逸らすことできたから良かった


「チッ…ダン」

「ん?…!」




…ニヤけていた顔を戻した

真っ直ぐな目で…俺を見てきたからや







なんやろう…




聞きたくない…
















「俺は直美が好きだ」










ズキ、ン…






…やっぱ、聞きたくなかった






でもほら…顔に出すわけいかんから
グッと堪えて、平静を装って答えるしかなかった


「…おぅ…なんで今更言い直したん?」

「…お前にはちゃんと言わねぇといけないからな」

「…は?どういう事や?」


お前"には"…?なんで俺にはちゃんと言わんとあかんと思ったんや?…俺の気持ちを知ってるわけでもなさそうやのに…全然分からん


「…」

「…コブラ?」

「お前も俺のこと言えねぇな…」


…え、どういう…?


「ダン…直美は俺が幸せにしたい」

「!?…お、おぅ」

「ヤマトやノボルやほかの奴らや…ダン、お前じゃなくて、俺がアイツを幸せにしてやりてぇ…だから」



だから…なんや?

だからサポートしろってこと?
…そういう…こと…?


…ま、そうだよ…な


「だからお前もちゃんと…」

「…」

「…ダン?」



もうコブラの言葉なんか耳に入ってこなかった






いやいや、分かってたことやんか
俺のアホみたいな想いが…実るわけないことは




分かっていたんや…





ただ…



可能性が少しでもあるかと思ってしまったんや






アイツに…広斗に会ってしまってから




アホやん俺…




「、…安心せぇコブラ」




もうお前を想うことは無い

いい加減蓋しとくわ

頑丈に紐で縛ってコンクリに埋めて

海に流したる…




2度と帰ってこないように






「…俺はお前を応援する」



お前が幸せになるんならそれでええ



俺じゃない誰かと幸せになれるんやったら



…それでえぇ




「やから安心して



告白でも何でもしてこい」



「!…お前、っ」



「頑張りや…」



「…」



「…ほな先上がるわ」



「…」










あー…ここが温泉で良かった





我慢出来なかった涙を…




隠してくれたから










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