学校が終わるまで時間を潰した私は、どうせなら仗助くんにもお土産に甘いものを買っていってあげようと選んでいた。
玄関の前でインターホンを押すと、中から仗助くんのお母さんの朋子さんの声が聞こえてきた。よく聞こえないが、たぶん仗助くんか誰かと何か話しているんだろう。
そのまましばらく待っていると、ドアを開けてくれたのは仗助くんだった。
久しぶりにその顔に会えて、すごく懐かしい気持ちになる。
「なまえさん、何で、」
「仗助くんに会いにきたの!あの、お話し、」
「"外"で、お願いします.....今、お袋が家に居るんで。」
「あ、う、うん」
ドアを閉められた。
どうしようなんかもう明らかに態度が冷たい。でも.....っ、くじけない。
きっと仗助くんが冷たいのには何か理由がある。
家から出てきた仗助くんと大通りの方へ二人で歩いた。
無言が続く。仗助くんからは、何も言いださない。二人きりになるのはよくあった。でもこんなのは初めてでつらい.....。だが、しかし用があるって言ったのは私だ。
きっと私からの言葉を待ってるんだな....と思いぐっと唾を飲む。
「じょ、仗助くん。何があったの?」
「何がって?」
「最近の仗助くん、私のことを避けてる感じがして.....私、何か嫌なこと言っちゃったかな」
意を決して。私はなるべく仗助くんの気に触らないように、嫌にならないように言ったつもりだった。
「気にしないでくださいよ」
そう放った仗助くんの足が、自販機の前で止まる。
ここで飲み物を買うらしい。
ポケットから小銭を出してボタンを押すとガシャンという音がした。
「.........それともあの時、承太郎が何か、」
「っ、?」
缶を拾い上げる仗助くんの背中がピタリと動かなくなる。
「スンマセン、しばらくなまえさんの顔は見たくないんで」
「.....!」
そして振り返った仗助くんは、ほとんど私の顔をみないまま肩の向こう側へ歩いて行ってしまった。
どうしよう。
これはどんどんよくない方向になってる。
仗助くんに何も聞けないまま、さらに、嫌われちゃった.....?
私は目頭があつくなった。
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