「仗助のやつそんなことを?」

「っ、うんん.....なまえさんの顔はみたく、ないっで、え」

「やれやれ....」

仕事が終わってなまえの部屋に訪れれば、そこには半泣きのなまえが居たのだから流石の承太郎も驚いた。
詳しく事情を聞いてみればどうやらこういう訳だったらしい。

「なんで私ッ、可愛い弟みたいな、仗助くんになんにもしてないよっ」

「俺にも原因は分からねぇぜ....」

ああどうしよう〜嫌われた〜とぐすぐす泣いているなまえに承太郎は深い溜息を吐いた。
泣くな鬱陶しい、とも言えずにただ自分にはそばに居てやることしかできない。
さてどうしようかと考えているとなまえがくいっと承太郎の袖を引っ張った。


「でも、仲直りしたいよ....仗助の好きな食べ物、教えて?」

なまえはゴシゴシと目をこすりながらそう聞いてくる。

「....さぁな。財団から送られてきた資料で身長や体重なんかは分かるが...個人的な部分は何も知らない。」
承太郎がそう言うと、なまえはそっか....と少し残念そうに離れていった。
眉を下げるなまえに、承太郎も何となく胸の内がもやもやする。

「....じゃあ、康一くんに聞いてみる。」

「ああ。そうしてくれ。」

なまえが呟いたのを聞いて、承太郎は少なからずホッとした。
仗助が何をむしゃくしゃしているのかという部分には承太郎の気も及ばないが、自分の叔父と妻がうまくいかないというのもまた困る。

「うう、承太郎〜....」

「おい、鼻水はつけるなよ」






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