最近の仗助くんの様子がおかしい。
前までは毎日のように連絡をくれていたし、お茶しましょう、とか、遊びに行きましょうって誘ってくれたのに。
ここの所はなんにもない。
本当にぱったりと連絡が途絶えてしまった。最後に会ったのは、カフェ ドゥ マゴ だっただろうか。
なんだか寂しいな。
杜王町に来てからというもの、承太郎はスピードワゴン財団の何とかって私の知らないお仕事で忙しいみたいだし、ぜんぜん構ってもらえない。
もちろんそんなの分かってるし、我儘も言いたくはない。
けどそんな中でも仗助くんがなまえさんなまえさんって懐いてくれるのがとっても嬉しかったのに。
なんだか大事なものを失った気分だ。
なまえはうーん、と唸った。
仗助くんが連絡をよこさない原因はいくら考えても分からない。
「どうしたんじゃぁ、なまえ」
「あっ、ジョセフおじいちゃん。なんでもないの、承太郎はどこかなって。」
「んん?レストランはどこかな?」
「ふふ。レストランじゃないわ。じょ、う、た、ろ、う。」
「おお!承太郎かぁ!承太郎なら出かけたよ。」
「ありがとうおじいちゃん。」
なまえはジョセフが杖で窓の外を指すのに頷く。遠くで承太郎らしい人影が歩いて行くのが見えた。
ああ...考え事をしてたから行ってらっしゃいを言えなかった。
行き先は知らないけれど承太郎は外へ出かけてしまったみたいだから、わたしもどこかお出かけしよう。
外の空気を吸って、美味しいケーキを買ってゆっくりと食べたい。
私はお気に入りのピアスをつけるとホテルを出て承太郎とは反対の方向へ歩いた。この前見つけたケーキ屋さんはこっち方面だったはず。
今日は平日。道が混んでいる。
タクシーを拾おうとしたが、この時間はぜんぜんつかまらないので近くのバス停からバスへ乗ろうとした。
「あれっ!康一くん!」
「わ、なまえさん!」
辿り着いたバス停で私は康一くんに運良く出会う。学校に行く途中だろうか。まだ朝が早いからか、周りには高校生がたくさん見えた。
「ねぇねぇ、康一くん。仗助くん元気?最近ね、ぜんぜん会わないの....」
「え!!!うっ、....その、」
なまえが質問すると康一はなぜか目を泳がせる。
「何かあったんでしょ....」
じっ、と疑いの眼差しを向けるなまえに康一はあたふたと手を振った。
「ち、違います!なまえさん!今は仗助くんに会わないほうがいいです!とにかく!!」
なまえは眉をひそめた。
そうやって焦る康一がますます怪しくなり、やはり仗助のことが気になる。
一体どんな理由なのか。
今は会わないほうがいい、って....。
どういう意味なのか聞こうとしても、康一くんはもう次にやってきたバスにそそっ!と乗り込んでしまった。
「......仗助くんに聞きに行くしかないかなあ」
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