ああよかった。嬉しい。
私は一日中ずっとニコニコしていた。

康一くんが教えてくれたプリンスのCDの効果があったのか、つい昨日、仗助くんから私に連絡をしてくれたのだ。
この間のことを謝ってくれて、それからこれからも良い友達でいましょうねって言われて、私は勿論、うん!と答えた。

「嬉しいことでもあったのか?」

「そうなの!」

承太郎は、夜なら私が寝る前に必ず一度は私の部屋に来てくれる。やっぱり長年の勘というやつなのか、部屋に入ってきたその一瞬で機嫌の良さに気付かれてしまった。

「仗助が、普通に接してくれるようになったの....!」

「そうか。」

枕をぎゅーっと抱きしめながら、ベッドを転がり回る私に対して、承太郎はクールだった。自分で聞いたくせに!
まあいいけど。

「あのね、私もプリンスって人の曲を聴くようになったら、すごくいい曲があってね、承太郎にも聴いて欲しいの!待ってて今、持ってくる」

ぴょんとベッドから飛び降り、小走りでテーブルの上にあるCDを手に取る。そういえば歌詞カードをどこにおいたんだろう。
私はそれをキョロキョロと探して、床の上に膝をついた。
しばらく探しても歌詞カードは見つからないのでとりあえず承太郎の元へ戻ることにする。

「....承太郎?」

ベッドの上に、大きな体がこちらに背中を向けたまま横たわっていた。
まわり込んで顔を確認すると、綺麗に瞼をピッタリと閉じていた。

「......寝てる。疲れてるのかな。」

ぽんぽんと頭を撫でてあげてから、私はそのまま寝かせておくことにした。

「私も寝よっかな」

承太郎の隣に横になり、携帯を手に取って時間を確認する。
すると、その時、「23:01」と表示されていたディスプレイが一気に変わる。
着信だった。
しかもよく見ればそれは仗助くんから。

私は嬉しくなった。
すぐに応答ボタンを押せば、しばらくしてから仗助くんの声が聞こえた。


『もしもし、なまえさん?』

「こんばんは、仗助くん。どうしたの?」

仗助くんからまた電話くれて嬉しい。
私はその電話越しに完全にゆるみきった顔で話していた。

『あの、ほんと、すみませんでした。俺....なんか自分の事情で勝手にイラついてて、なまえさんの気持ちとか考えずに、』

「いいのよ!大丈夫!それよりね、今、プリンスのアルバム聴いてるの!」

ジャケットを眺めながら仗助くんに必死にあれこれ説明すると、流石に仗助くんはプリンスのファンだから
あれは、これは、とすごく詳しく教えてくれた。
そしてなんだかいつもよりイキイキしている仗助くんに新鮮な気持ちになって私はやっぱり嬉しさでいっぱいになった。

「ふふ、うん。そう、わかる!そうだよね、うんうん....」

そのまま私は、1時間以上は仗助くんと話していたと思う。


楽しいなぁ。
ずっと仗助くんと話してたいな。





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