翌朝。
起きてみれば承太郎が昨日はいつの間にか寝てしまっていた、と謝ってきた。むしろ私は、承太郎が寝ているのにすぐ近くで喋っていたのに対して罪悪感を感じていたのに。
少しは声を控えたつもりだけど
うるさかったかな....と朝までドキドキしていたけれど、承太郎は電話の事を何も言わなかった。

「ううん、大丈夫。疲れてるのかなって思ったからいいよ。」

そう言って承太郎を部屋から送り出して、私も身支度をはじめる。
出かける前にはきちんと戸締まりやキーを確認しておかないと。

「ジョセフおじいちゃん、おはよう」
「おはよう」

ジョセフのおじいちゃんが杖をついてゆっくり廊下を歩いていたので、転ばないかなぁなんて何となく気になっちゃうから隣に並んで私もゆっくりと歩く。

「私、今日はデパートにお買い物に行くけどおじいちゃん何か買ってきますか?」
「んー?何?テキサス州?ああ、あんまり行かんのぅ」
「やだ、テキサス州じゃないってば。面白いんだから。」

ジョセフおじいちゃんは私が笑っているのを不思議そうに見上げてる。
一回で通じることはあんまりないけど、こうやって面白い聞き間違いをしてくれるのもなんだか楽しい。

あとからちゃんと聞き取ってくれて、
何にもいらないよ、と優しく言ってくれた。






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「確かあなたは」
「あっ、空条なまえです」
「岸辺露伴です。週刊少年ジャンプで連載中の人気漫画家です。」

偶然にもエレベーターでバッタリ。
特徴的な髪型と雰囲気だから何となくわかった。承太郎からも仗助くんからもよく名前があがってくるあの有名な岸辺露伴先生。自己紹介で初対面の人に自信満々で人気漫画家です、なんて言えるなんて流石だよなぁ。

「すご〜い!」

素直に感心し、パチパチと拍手を送ると、やめてくださいと止められた。

「あなたは仗助達とつるん....げふん、仲が良いですよね」

代わりの話題を振ってくれた岸辺露伴先生に、はい、とこくこく頷く。
でもそれ以上は話が広がらなくて、今度は私から話題を振ろうと岸辺露伴さんを観察した。

「岸辺さんって、とってもセンスが良さそうですねぇ。服もオシャレだし、カッコイイし....あっ、そのピアスすごい!Gペンみたい!」

全身を褒めちぎってしまったが、普通に本音ですごくステキそうな人だ。
岸辺露伴先生は大きな咳ばらいをしながら「お世辞は結構だよ。」と呟いていた。

人間関係が苦手というのは本当なのかも知れない。




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