「岸辺露伴と仲良くなった、だと」

承太郎が思わず聞き返すと
なまえからはうん!と元気の良い返事が返ってくる。

「そう。露伴先生ってすごく面白くてね、みてよこれ!コミックス1~5巻もらえちゃった。ふふ。」
「相変わらず凄いな、お前は」

なまえは誰とでもすぐに打ち解ける。だがこうも性格に難のある奴もうまく惹き付けてしまうのか。
それが良くも悪くも承太郎には心配で仕方がなかった。

「えへへ....褒めてるの?」

褒めてはねぇぜ、と言いかけたが承太郎は口を閉じた。

「良かったな。」

いつも通りのコートに袖を通すと、なまえがさっきまで座っていた場所から立ち上がってそばまで近寄ってきた。

「杜王町って素敵な町。わたし、この町にずうっと居たい気分。」

「...........」

心の底からそう言っているのだろうか。承太郎がなまえの目を覗き見ると、彼女はどこかうっとりとしていた。






「あっ、そうだ!承太郎、明日は仗助くんとね、海に行くの。」

「海?」

「そう、海!億泰くんも誘ってくれて、浜辺でフランクフルト食べるんだ。」

「浜辺でフランクフルトか」

なまえはいつも食うことばっかりだ。食うか、寝るか、笑うか、俺の名前を呼びながら走ってくるか。

「承太郎ともまた行きたいなぁ....海」

無意識なのだろうが、そうやって誘うような眼差しを向けてくるなまえの頭をぐしゃっと掴む。
いやあ!とふざけて抵抗する頭の髪の毛をぐちゃぐちゃにしてやれば、いよいよ怒られた。
「承太郎!」とこっちを睨んでくるのが面白い。そして容赦なく殴ってきやがるところも悪くない。

「海、行くか。」

「!.....うん」

そしてこうやって俺の目の前で
たまらなく幸せそうな顔をするのが、好きだ。





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