落ち着け。東方仗助。
なまえさんと海に来ているからだとか、なまえさんがいつもよりセクシーで可愛いからなんてことを考えたら終わる。いろんな意味で。

「仗助くんなに食べたい?トウモロコシ?キュウリ?」

「えっ、えっとー....何だ、焼きそば食べたいです」

咄嗟にそう答えれば、なまえさんは買ってくる!と裸足のまま走って行ってしまった。
後ろ姿が小さくなってから溜息を吐く。

「億泰のやつ.....まだかよッ」

腹が痛いと喚いてトイレに行ったまま帰ってこない誰かさんを恨む。
なまえさんと二人は嬉しいけど、そわそわして逆に居心地が悪くてしょうがねぇ....。
海に行きたいっていうなまえさんの願いを聞いたのは俺だけど、億泰っつー人間がいてやっとなまえさんと普通に話せるのに。
そのつもりはなくても、なまえさんにドキドキしてるのがバレてたりとか気持ち悪い顔とか見せてたりしないか俺...。ああ....不安すぎるぜ。


「ごめんね遅くなった....!さっきそこら辺でケガしたの」

「えっ」

そんな俺の不安をよそに、その両手に焼きそばらしいパックを持ちながら帰ってきて、私ってバカよね、なんて笑うなまえさん。
ちょ、ちょっと、怪我したってどこを。

「ッ、早く見せてくださいよ!」
「あ、っ」

急いで焼きそばを取り上げる。目をぱちぱちしているなまえさんに問い詰めればどうやら足裏を何か鋭いもので切ったらしい。ここら辺の貝殻か、ガラス瓶か何かだろうか。
とにかくなまえさんに座ってもらって、すぐクレイジーダイヤモンドを出す。

「....だ、大丈夫、俺が治してあげるっスよ」
「ありがとう.....」

皮から血が出て赤くなって、そこを砂で歩いたからじゃりじゃりになっていて痛そうだった。どうしても緊張する。優しくしないと、優しく、なまえさんに傷跡なんて残したくない。

「わあ....すごい、治ってくね!」

「こういう能力なんで....」

なまえさんにはスタンドは見えない。俺のクレイジーダイヤモンドは見えない。だからなまえさんは傷を治してあげている間はずっと俺をみててくれていて、俺のことを大袈裟なくらいに褒めてくれた。
ちょっとでも俺のスタンドが役に立ててよかった。
心底そう思った時、なまえさんが俺にもう一度ありがとう、と言った。
真っ直ぐ目を見て、仗助くんありがとうって。笑顔で。
俺はやばい!と思ってバッと目を伏せた。

ああ、どうするこれ。

なまえさんのこの白いくるぶしから手を離したくない。

ダメだけど、分かってはいるけど、

「なまえさん、」

「うん?」

「好きです」

「へ、」



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