仗助くんは笑っていた。
まるで何もなかったかのように、顔を合わせてもこちらへ人懐っこく寄ってきてくれる。それは私が承太郎と一緒に居る時でも同じだった。
仗助くんは私を見つけると、手を振ってくれる。
....本当に私のことを好いていてくれてるんだな、と心の中で思うと、やっぱり嬉しい。

「仗助くんは学校帰り?」

「っス!承太郎さんとなまえさんは、どこか行かれるんですか?」

「ううん、ちょっと外に出ただけでもう帰るの」

へえ、と頷いた仗助くん。美味しいケーキ屋さんで承太郎にケーキを買わせようとしたけど売り切れてたのよね。
残念だけどこのまま引き返すしかない。

「仗助、その怪我はどうした」

「この間のッス」

承太郎が指摘したのを聞いて、初めて仗助くんのことをじろじろと見る。
どうしたの?と確認しようとしても、腕をさっと背中に隠されてしまった。
怪我....。そうか、仗助くんもスタンド使いだから、やっぱりスタンド同士で闘い合うのかな。

「....クレイジーダイヤモンドで治さないの?」

なまえが恐る恐るそう聞くと、隣で承太郎の眉がピクリと動いた。

「いやァ、治さないっつーより、"治せない"っつーか....」


自分の怪我は治せないんスよね、と仗助くんが苦々しく言うのを聞いて私は「そうなんだ....」と呟くしかなかった。
確かに、他人も治すことが出来て、自分も同じように治せたら、それこそ凄すぎるのだ。
私もスタンド使いになれるのなら、仗助くんや承太郎のような凄いスタンドが身につくのかな....。身につく気はぜんぜんしない。

仗助くんと別れてから承太郎とホテルに戻る途中で、ケーキの代わりにコンビニでプリンを買ってもらった。

「ねえ、スタープラチナじゃ、傷は治せないの?」

「治せないな。スタンドにはそれぞれの能力ってもんがある。俺に仗助のクレイジーダイヤモンドのような能力がなければ、仗助にスタープラチナのような能力はない。無理なものは無理だぜ。」

「ふうん....」

スタンドって奥深いのね。
聞いた話によればジョセフのおじいちゃんもスタンド使いらしいし、康一くんも億泰くんも、露伴先生もスタンド使い。
私もみんなの力になりたいけど....私の役目は承太郎を支えることだから...出来ることをしないとよね...。

「ところで、お前が何で仗助のスタンドの能力を知ってる?」

「ああ!海で足裏を切ったの。呑気してたのがいけなかったんだわ。仗助くんが治してくれた!」

「.....なるほどな、やれやれだぜ。」

ふう、と帽子を被り直したあと、
承太郎は静かに目を瞑った。




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