ホテルで本を読んでいた。承太郎が持っている中でも、うんと簡単そうな本。海の中の生物たちが、綺麗なスケッチで表現されている。

「殺人鬼?」

「ああ、今まで黙っていたが、町は今かなり危険な状況にある。」

夕飯前に部屋へ戻ってきた承太郎は、着替えもまだなのに私にそう言った。
危険な、状況。
前にジョセフおじいちゃんが杜王町に来るときにも確か、スタンド使いが邪魔をしてきたらしい。
...またスタンド使いなのかな。

「.....どんな風に危険なの?」

「なまえは絶対にホテルから離れるなよ。ジジイの側にいろ。いいな?」

「うん....」

私の質問は無視された。人差し指を向ながらどんどん近寄ってきてこれでもかと念を押してくる承太郎の顔が恐ろしくて、私はそっと頷いた。

「ねぇ承太郎....スタープラチナがいるから大丈夫だよね?」

「.......ああ」

私にはスタープラチナは見えないけど。きっと承太郎のことを守ってくれるはずだ。

ホリィさんが言っていたのを思い出す。承太郎は高校生の時、ホリィさんを命懸けで救ってくれたらしい。


「だからねなまえちゃん、何かあってもきっと承太郎が守ってくれるわ。あの子は優しい子だもの。」


だから多分、大丈夫。
私には承太郎がいるから、どんな時でも大丈夫。


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