あれから何日か経った。私はずっとホテルに缶詰めだ。ホテルの中をうろうろすることさえ控えろと言われていて、ジョセフおじいちゃんがちょっぴり勘違いをして部屋を間違えたまま1日別の部屋に泊まってしまった時の承太郎なんて、もう、そんなに怒らなくたっていいのにってくらい......。
すごく申し訳なさそうにしているジョセフおじいちゃんが可哀想になってしまった。

「承太郎は今、ピリピリしてるのよ....だからルームサービスを頼んでケーキでも食べようね。」

「モンブランがいいのう....」

ジョセフおじいちゃんがゆっくり呟いた。私はテーブルの引き出しからメニューを取り出す。
フレッシュフルーツの盛り合わせはこの間頼んだばっかり。フレンチトースト、シリアルのオールブランとヨーグルトもつけて食べたし、ホームメイドベーカリーのブルーベリーパイも食べたわ。

「.....んー」

モンブランはないみたい。フロントに「本日のケーキ」を問い合わせたらレモンを使ったチーズケーキだと返ってきた。
仕方ない。あんまり気は進まないけど、スピードワゴン財団の人に内緒でお願いして買ってきて貰おう。


「?あら、仗助くんだ」

近くのケーキ屋さんを調べようと携帯を手に取れば、仗助くんからの着信。
私はすぐに応答した。

「久しぶり!仗助くん!」

『なまえさんどうも!実は今、近くまで来てるんで、ちこっと顔出せますか?』

「えっ、ほんと!?」

仗助くんが来てる、というのを聞いて驚く。すぐにバタバタと走って行って窓に張り付いて階下を見ても、なかなか仗助くんの姿は分からなかった。
当たり前か....。ここからじゃ。

「わかった!いま行くわ!待ってて!」

通話を切って、適当な服に着替える。
ジョセフおじいちゃんには「少しだけ部屋を出るけど承太郎には内緒にしてね」ときちんと言っておくのも忘れない。

私は少しだけドキドキしながらエレベーターに乗って、仗助くんの待つ場所へと向かった。





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