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あれから二日後。

ぼくは原稿の締め切りを守った。
そしてぼくは次の日になってやっと、なまえに会いに行く事に決めた。

あちらからはぼくの所へ寄ろうとしない。だとしたら、ぼくがあちらに会いに行くしか"方法"がない。
ぼくはいくつかの"方法"を考えた。

そしてその中の1つに決めた。


「うわあッ!露伴先生!なんで、」
「康一くんちょっといいか?」
「いや僕今から由花子さんと....」
「いいや、ちょっとでいいんだ。ほんのちょっと。」
「えええ!露伴先生いつもそう言いますよね!?」

なまえの通うぶどうヶ丘高校には、仗助も康一くんも通っている。
高校2年生の彼らは、恋に部活にと、今が一番楽しい時らしい。
首を縦に振ろうとしない康一くんのせいで校門のすぐ前でやりとりをしていたからか、周りの学生たちはぼく達を避けながら下校していた。
なまえがいないかどうか常に警戒はしているが、彼女の姿は見当たらなかった。

「露伴先生?」
「!」

聞き慣れた声に名前を呼ばれ、顔だけ振り向くとそこにはいつもと同じような顔をした見慣れたなまえが立っていた。
ああ、会えたな。意外と簡単に。

なんでここに......って顔をしているなまえを手で招いて、ぼくは車のドアを開く。
なまえも予想通り、ぼくへと着いてきて助手席に乗り込んだ。
なまえはぼくに行き先を聞こうとはしない。ただ、だんまりと口を閉じて窓の外を時々ながめたりしている様子で何を考えているのかわからなかった。
しばらくそうして車を走らせたら、15分くらい経ってからぼくは車を自宅付近に駐めた。
エンジン音がおさまると、なまえは明らかに緊張した面持ちになる。


最初に口を開いたのは、彼女のほうだった。




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