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私には好きな人がいる。

どんな人かと言うとそれは、ピンクダークの少年という漫画を週刊誌で連載している岸辺露伴先生だ。

え?なぜそんな大物と知り合いになったかって?

それはね、あんまり特別な理由じゃないの。
広瀬康一くんという友達がいて、その子に紹介して貰ったのが始まり。康一くんについて行って何度かお家にお邪魔するようになって、自然と暇さえあれば1人でも遊びに行ったりして.....私は勝手に、露伴先生って人は、素敵だなぁって思うようになっていた。

どんな風に素敵かって?
うーんと、例えば、先生が漫画を描いてる時、の、顔とか、目つきとか。先生の仕事中、その横顔をこっそり盗み見ているとき、私はすごくドキドキする。露伴先生は仕事人間だ。
私は一日中ずっと漫画を描いている露伴先生しか知らない。
たまに口をきいてくれるけれど正直言って露伴先生は、他の人への態度があまり良くない。というかひどい。
違うの、性格が悪いって言っているんじゃなくて.......なんだろう。
その、人の気持ちをグサグサと傷つけてくることがある。嫌味なことも言うし、けっこう意地悪だし、自信過剰だし、人のことを小馬鹿にするし...ぜんぜん親切じゃないし。(あれ、私なんで露伴先生が好きなんだろう)


「おい、気色悪いな。あんまりこっちを見るなよ。」
「え、あ!すみません先生!」

ボーッと見つめていると、私は先生に怒られてしまう。こうやって露伴先生のことを見ているのが好きなのに、やっぱりこっそり盗み見ないとかな...。
でもすごく冷たい目でじぃっと見られるのが怖かったのは最初だけで、もうだいたい慣れてしまった。
露伴先生って誰にでもこういうひとなんだろうな、と自己完結。

仗助なんか先生にすごく嫌われてるみたいだし、先生はあんまり人と関わるのが得意じゃないのかも。
きっと私がこうして先生の仕事場に通うのだって良くは思われてないんだろうな....と思うと少し凹む。
そう思っても仕事場に通ってしまう私はやっぱり露伴先生のことが大好きなのだった。




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