01
一言で言ったら可愛い。
なまえはとても可愛いんだ。
その触ったらふわふわしてそうな髪の毛も、冗談を言ってくすくすと笑ってみせる顔もイイが、そこまで良くはないスタイルだって愛おしく感じるし、なんだったら彼女の後ろ姿はかなり美しいとも思う。
例えば、もしぼくが後ろからおもむろに抱き締めたらどんな感触かを想像するだけで身の毛もよだつほどおそろしい。
ああ神よ。ぼくはなんておそろしいものを自分の脳に飼ってしまったというのだろうか。
だが気がついたらぼくは彼女を視界に捉えるたびにそんなことおそろしいことばかり考える。おそろしい想像ばかりする。
一時期は自分は欲求不満かと心配したものだがそんなことはないんだ。
他の女を見ても、こんな気持ちになることはない。決して。
けれどだとするとぼくはやっぱりおそろしい状況に陥っているとは思う。
ふう、とため息をついて視線を上げると目の前になまえが居て、こちらを見ていた。
「(おいおい、いつから居たんだコイツ)」
ぼくはその顔を見てギクッとして、顔から汗が噴き出しそうになる。
お前はこっちを見るんじゃない!という意味合いを込めながら軽く睨んでやると、なまえはすみません、と慌てて謝った。彼女がぼくから注意を逸らしたのを見届けてから、ぼくは仕事を再開する。
仮に、だ。
絶対に、絶対にあり得ないはずだが、
ぼくのこの気持ちを彼女が知ったら....?
拒絶するだろうか、気持ち悪いと言われるだろうか、それとも笑われる?
そう考えはじめたらぼくは、どんどん自分自身がこわくなってしまうんだ。
こんなことは誰にも言えないが。
誰か助けてくれる人を探している。
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