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「お、美味しいいい!」

ジェラートも美味しかったけど、レストランは格別だった。
イタリアに来る前に、あらかじめトニオさんからオススメのお店を聞いてきたのがよかった。「イタリア料理ならワタシだってどこにも負けまセン」とは言われたけど。ピッツァ・マルゲリータやフレッシュトマトを使ったトマトソースのパスタはナポリが発祥の地らしい。露伴は食べ飽きてるからといって素直にマルゲリータを頼まないけど、いざ食べさせると「なかなか美味いな」なんて言っていた。
本当に素直じゃないんだから。

「ばかなまえ。騒ぐなよ。」
「だってえ!」
「さっきも生ハムのパニーノを食べ歩きして喜んでただろ?まあ、そこまで喜ぶなら来た甲斐があったな。」

「幸せ...」

デザートのレモンチェッロのシャーベットが美味しい。さっぱりしていて、すごく口当たりが爽やかだった。

「ぼくは君のそのバカみたいに幸せそうな顔がみたかったんだ。」

ふん、といつものように鼻を鳴らして笑う露伴だったがなまえを見つめる目は愛しいものをみるそれだった。
なまえは胸がいっぱいになる。
露伴のことが好きすぎて、このままどうにかなるんじゃないだろうか。

「露伴〜〜っ、すき〜っ、だいすき〜!」
「やめろ、うるさい」

照れ隠しにグラスに手を伸ばした露伴の耳が真っ赤だ。

「ふふふ」

幸せだ。すごく幸せ。
大学1年の時、授業の課題で幸せってなんだろうと考えたことがあった。
あの時はまだよく分からなかった。
何が自分の幸せなのか。
何が愛する人のことを幸せにできるのか。

だけどもうわかる。

生まれてきてよかった。
露伴に出会えて、本当によかったと思う。




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