夢中ってこと



私の彼氏の仗助はとっても優しい。隣を歩いている時に、ふと横目で仗助を見ると口角をにっこりとあげてくれる。そしてこうやって頭を撫でられる。
自分は頭を触られて髪型がくずれるのを気にするくせにね。

「また子供扱い?」

「なまえは年上には見えねえって」

「仗助が大人びてるんだよ」

「お〜もっと言ってもいいぜ?」

「はいはい髪型がかっこいいですよ」

「グレート!照れるねぇ」

仗助が目を細めて笑った。その笑顔にきゅん、と胸の奥で反応してしまって顔を伏せる。かっこいい。ああ、仗助ってこういうのがずるい。

「私のことも褒めてよ」

「ちっさくて可愛い」

「バカにしてんの?」

「いやなんでそうなんだって!真面目にだろーが!」

「私のことをハムスターか何かだと思ってるでしょ」

慌てたように否定してきた仗助から顔を背ける。いつもいつも、小さいだのと言ってくるところは気にさわる...。
そのまま拗ねていると頬っぺたをつんつん、と指で何回か押された。

「ぶ、っ!は!」

「仗助!!」

ぜっったいにバカにして楽しんでる。仕返しにやにやと笑ってる仗助の脇腹を全力でくすぐりにいった。

「待て!待てなまえ!落ち着けよォ!さらに笑いが止まんねぇっ!」

そして許して!と涙目になったところで手を離してあげた。
今日はこのくらいにしてあげようかな。その代わりあとで何か奢らせよう。

「いやさ、なんつーかいじめたくなるんだよなっ」

「ふーん?」

自分の可愛い彼女をいじめて何がたのしいんだろう!仗助は!

「なまえ」

「なに」

少し冷たく返事をする。すると仗助はぐーっと体を寄せてきて耳元で話しかけてくるから困った。

「好きだ」

「.....だから?」

「大好きだって」

「やめてよ」

「(.....かっわ)」

なまえが耳まで赤くなるのを見て仗助は自分の口元を手で抑えた。
死ぬほど可愛い。
もっとなまえのいろんな反応がみたい。(だけどこれ以上やったら嫌われっかな...)
引き際が難しい、というやつである。
仗助は常に心の中で葛藤していた。

「よし、こっから歩いて俺の家でこの間のゲームの対戦の続きやろうぜ!」

「バカ仗助。その前にオーソンでしょ。奢ってもらうから....」

「なまえからキスでもしてくれんならよォ、考えてもいいぜ」

「いくらでもしてあげるから買って」

「!」

思わず仗助の足が止まる。
意外だがこいつはグレート!よ、よっしゃ今日はこのまま直行コースで異議なしってやつだぜ!

「なに照れてるの、はやくきて」

数歩先でなまえが振り返る。
仗助はいつもの調子でへらっと笑いながらなまえのその細い肩に腕を回した。

「はいはい、なまえちゃん。なーにが食べたいんスかね。仗助くん何でも買ってあげちゃう」

「....プリンたべたいかなー」

「(くっそかわいい)」







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