やるもんか


「康一くんのところには何を持ってく?」

「えー露伴?その画集を持って行くのは迷惑な気がするけど」

なまえが僕の手元へ目を下ろして嫌そうな顔をした。なんだってんだ。
この画集はウフィツィ美術館で買ったやつだぞ。迷惑どころか泣いて喜ばれたっていいっていうのに。
なまえには価値が分からないらしい。僕はそっと康一くんへ持っていくお土産の山に画集を置いた。

「仗助にこれでいい?」

「ッハァァ!馬鹿か!?やめろよ!!」

目を離した隙になまえが僕がコンドッティ通りで買ったフェラガモの財布をそのまま仗助にやろうとした。
勢いよく没取したが、僕のイライラが収まらない。

「アイツには何一つやりたくないね」

「結婚式にも来てくれたのに...」

なまえに視線で咎められても、僕はふーんと知らんぷりをした。

「大人気ないんだから」

後ろでそんな声が聞こえても、僕はまだ旅行の片付けをし続ける。

「ン?」

すると、なまえが買ったもののバスグッズの中に怪しいローションが入っていた。....これってあれだよな。

「なまえ、こんなの買ったのか?」

「そそ、それは、」

僕の部屋へ帰ってきたなまえをすぐに問い詰めると、案の定彼女はそれが何だかちゃんとわかっている反応を見せる。なんだなんだ。こうなったらにやにやが止まらない。

「へえ?これを買ってどうしようとしてたんだ?ん?」

「ち、ちが、」

言い逃れしようとする顎を引き寄せて、顔を上へ向かせる。
なまえの可愛い顔がこっちを向いた。我慢出来ずに唇へかぶりつく。
なまえの抵抗なんて気にしない。だってこんな都合の良いことがあるかよ。
器用にワンピースを脱がせて露わになった白い肌へ舌を這わせればなまえは体を仰け反らせる。
僕の興奮は益々高まるばかりだ。

「は、ぁっいや、」

「なまえ、力を抜けって」

この体勢が立ったままだからか、僕の身体にギュウッとしがみついているなまえ。僕からするとこのままでもめちゃくちゃ気分はイイが、あとからなまえに言われるのが面倒で僕はその小さい身体を抱き上げて寝室へと運ぶ。

「ローションなんていらないくらい濡れてるな」

「っ、」

僕に言われて真っ赤になりながらおし黙るなまえ。なんだよこれこそイタリア帰りの最高のご褒美じゃあないかい!!?
イライラしていたが、あの仗助のやつにはなまえのあられもない写真でもやれば喜んで......
いやいやダメだ!あんなやつにこんなに可愛いくてエロい僕だけのなまえを見せるかよ!

「ひ、ぁっ、あ、ろ、はん、ばか、性格悪いよっ」

「そんな僕が?」

「ばかぁ」

なまえに涙目で睨まれて、僕はいよいよ無意識に口角をあげてしまっていたらしい。

愛してるよなまえ。

そう耳元で囁いてから始めようか。


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