「お前がそんな熱心にスマホ見てるなんて珍しいなー。何見てんだよ」
「え? マッチングアプリ」
ブッ!!と彼が飲んでシェイクを吹き出す。
「ちょっとアダム、汚いよ?」
と声をかけるけれど、なんだか彼はそれどころじゃない様子。
「おまっ、マッチングアプリって、はァ!? そんなのいつの間に始めてたんだよ!?」
「つい昨日のこと」
「絶ッ対! やめとけ! そんなのはな、尻軽のドスケベビッチが使うやつだぞ!? ヤリモク男がウジャウジャいるやつだぞ!?」
「でも、私の友達それでちゃんと恋人出来たし……すごく幸せそうだよ?」
「ッ……!」
そんなやり取りをした後。なぜかスマホを見ようものなら、やれ「今日はサボるか! あれだ、遊園地行くぞ!」だの「歩きスマホは良くねぇな〜 怪我させたら地獄行きかもな〜?」だの、あの手この手で死ぬほど邪魔をされる。
「……ちょっとアダム、いい加減にしてよ。どうしてそこまでして止めようとするの?」
と聞けば、う、と固まる彼。暫しの沈黙の後、彼はどこか覚悟を決めたような顔をして。
「……なぁ、お前出会いがないって言ったよな」
「うん」
「……本当に、ないのか? 胸に手を当てて今一度思い出してみろ、お前の近くにいる男の姿を……」
無駄に決めポーズをする彼を横目に、少し考えてみる。周りの男性……唯一あるとしたらアダムだけれど、まさか聞いてきた本人にそう伝える訳にもいかないしな……。なんて考え込んでいると、はぁ……、とため息をついた彼が、
「……ちなみに、相手に求める条件ってのどんなヤツなんだよ」
と訊ねてくる。
「うーん……まず、私より背が高くて、明るい性格で、なよっとしてるよりかは少し気が強めの方が良くて……あとは、私のことを気遣ってくれたり、」
「いや、待て。それはつまり……めちゃくちゃ私じゃないか?」
「……え?」
どきり、と胸が跳ねる。確かに、付き合ったら楽しいだろうな、くらいには思ったことはあったけれど、実際に言葉にし、他人に指摘されて初めて、自身の好みが彼と合致していることが分かってしまって。
「……」
「……」
お互い黙り込んでしまうという、謎の時間。正直、気まず過ぎて今すぐ帰りたい。ちらりと彼の顔を除けば、ばちりと目が合い、慌てて視線を逸らしてしまう。
「……あー、その、なんだ。そんなに私と条件が合うなら、今ここで私とマッチングしてみるか? 私の方もまあ……だいたいは条件当てはまってるしな……」
ごにょごにょと尻窄みになった言葉も、こちらの耳にはしっかりと届いていて。はじめて見た彼のそんな一面に胸を高鳴らせながら、
「……アダムが良ければ、お願いしようかな」
と答えれば、
「お、おう……」
と返ってきて。
……あれ、なんで私、人類の祖先とティーンみたいなやり取りしてるんだろう……? と我に返りかけながらも、彼との新たな関係に胸を弾ませた。