「好きな人いるの?」って聞いてみた(死柄木弔)





ソファーに座る彼の横に腰を下ろし、唐突に質問してみる。

「………」
「…無視?」
「…答える理由ない」
「えー」

でも否定はしないんだな、なんて思いつつ拗ねた表情をしていれば、仕方ないと言った様子で 「…じゃあさ、質問の意図教えろよ」と聞いてきて。

え?、と聞き返せば、「返答によっちゃ答えてやるかもな」と言ってくるから、答えない訳にはいかない。

「…好きな人いたら面白いな〜…みたいな?」「…………寝る」
「なんで!?」
「不合格」

そんなぁ、としばらく意気消沈していると、短いため息が聞こえてきて。なんだかんだ甘い彼の優しさを感じつつ耳を傾ければ、「…俺さ、」と切り出す。

「よっぽどの理由ない限り一般人をここに出入りさせたり、わざわざ変な質問に付き合ってやったり、…こうやって隣に座らせたり、しないんだけど」

予想外の話を持ち出されて、彼の言葉をうまく咀嚼できない。呆然としながら彼の方を見れば、紅い双眸がこちらを捉えていて。

「…それとも何?もっとトクベツなことされないと、分かんない?」

いつもより幾分か低い声で口角を上げられたら、赤面するしかない。




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