恋人に振られ自暴自棄になって夜街でテキトーに誘った相手が彼だった(上鳴電気)





「おにーさん、良かったら遊びませんか?」
「…へ?もしかして、俺?」

自らを指さし、きょとんと目を丸くする彼に、軽く頷く。すると彼は 「あー…」 と少し困った顔をするが、次には 「…うん、 いいよ。じゃ、遊ぼっか!」と笑いかけてくれたので、内心ガッツポーズをする。やっぱり見た目チャラ人に声掛けて正解だったな、と思いながら率先して進む彼の後ろについて行く。

この人慣れてそうだけど実際どうかな、とか。そういえば結構顔かっこよかったな、とか。そんなことを考えつつ、この人に声を掛けてよかったと思っていた。のに。

「いやーめちゃくちゃ楽しかったね!やっぱとことん遊ぼうと思った時はゲーセンに限るよなぁ」

……結果。まさかそっちの意味でめちゃくちゃ遊ぶ羽目になるとは思いもしなかった。正直こんなにゲーセンで遊んだのは初めてだったかもしれない。少しぐったりとしていると、唐突に彼が真面目な顔つきになって。

「…何があったか知らないけどさ、そんな簡単に身を許すような真似しちゃダメだって。もしかしたら、危険な人だってこともあるし。もっと自分を大事にしてやってよ。な?」

思わずこくりと頷くと、満足そうに笑って、軽く頭を撫でる彼。“遊ぶ”の意味も最初から全部わかってたんだ、と感心しつつ、めちゃくちゃ紳士だったこの人…と見た目で判断したことを反省した。優しく諭された後、そのまま別れてしまった彼だけど、もう一度会えたらな、と思ってしまったりして。帰宅後にバッグの中を整理していると、見覚えのないメモが入っている。


『 xxx-xxxx-xxxx

ちゃんとまっすぐ家帰った?笑』


一瞬で彼だってわかって、くすりと笑ってしまう。結局あの人は、紳士なのかチャラいのか。とりあえず連絡先を「金髪チャラ紳士」で電話帳に登録したけれど、本当の名前を知るのはわりと近いうちの話になりそうだな、と胸を躍らせた。




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