轟くんと寒い日





彼と並んで歩く帰り道。冷え切った手や体に嫌気が差しつつ(彼と笑い合ったら暖かくなるかな)なんて思案して、ちょっとしたイタズラを思いつく。それは冷えた手で彼に触れてちょっと驚かせよう、という幼稚な考え。隣にいる彼の首筋に狙いを定めて不意打ちに冷えた掌を触れさせる。すると狙い通り「お」と驚いた表情をする彼。

ふふ、と笑いながらしたり顔をしていると、そのまま無言で手繋いでくるから逆にこっちの方がびっくりしちゃう。突然の行動に困惑してると、

「?こうしたかったんじゃねぇのか?」

なんてきょとんとした顔で言われる。はい、いつも通り天然かましてきました、毎度の事ながら心臓に悪いですね。脳内で軽くツッコんでみたり。

「…驚かせようと思っただけだったんだけどなぁ」

結局驚かされたのはこっちだったから、ちょっと悔しそうに呟いてみる。彼はそれを聞くと少し寂しそうな顔をして。

「…俺は、繋ぎてぇって思った。このまましてちゃだめか?」

と天然だけに留まらず自覚無しの小悪魔発言までしてくるから本当に心臓が持たない。でも冷え切っていた手や心や体はいつの間にかぽかぽかとあたたまっているから、自然と笑みが零れていく。

「ううん。だめじゃない」
そう微笑んで彼を見上げれば、彼も嬉しそうな顔をしてくれた。彼は様々なあたたかさを教えてくれる人、与えてくれる人、共有できる人。こんな温もりを知れるなら寒さも案外悪くないって。そう思わせてくれるような相手に出会えて、私は本当に幸せ者だ。




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